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「ほぼすべてのコンクリートはがす必要」 検討委!
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トンネル内支保工の設置位置もずれている!
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費用は浅川組(和歌山市)堀組(田辺市)に負担させる!
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和歌山県串本町、那智勝浦町を結ぶ八郎山トンネル(全長約710m)で天井のコンクリート壁の厚さ不足などの施工不良が見つかった問題で、県が設置した同トンネル技術検討委員会が11月10日、県日赤会館(和歌山市)で会合を開いた。調査結果から同検討委は「現在のトンネル内のほぼすべてのコンクリートをはがして、安全性を確認する必要がある」と判断。県は今後、施工業者と協議して工事を進める方針だが、着手時期は未定という。
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県の調査では、トンネルの中心線は通常は設計時からプラスマイナス5cmの誤差に収まるはずが最大約14cmずれており、側壁のコンクリート壁は厚さ30cm以上が必要なのに6cmしかない部分が確認されたという。
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トンネル内のコンクリートを6カ所はがし、トンネルを支えるアーチ状のH型鋼「支保工」をチェックしたところ、設計位置からずれて設置されていることも判明。トンネル幅は最大で37cnも狭くなっていた。厚さが足りないコンクリート壁を解消するためにコンクリートを上塗りした場合、道路法に定めれたトンネル断面の空間が維持できない可能性があるという。
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検討委は「設計通りにしなければならないが、施工時の測量がずさんで、ミスに気付いているのに修正せず、誤差をもとに戻していない」と不適切な施工管理を批判。「ほぼすべてのコンクリート壁をはがして、正規の位置に設置されているかや安全性を確認することが必要」と指摘した。
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検討委委員長の大西有三・京都大名誉教授は「当初の設計と違った施工が行われている。そのまま使うわけにはいかない。修正にはかなりの労力が必要」と話した。
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県は、工事を請け負った共同企業体の浅川組(和歌山市)や堀組(田辺市)と協議し、費用は両社に負担させる予定という。
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八郎山トンネルは令和2年9月に着工し、4年9月に工事が完了。2023年12月に開通予定だった。しかし、4年12月、照明設置工事の際にコンクリートの厚さ不足や空洞の存在など施工不良が発覚。コンクリート壁の厚さが調査範囲の約7割で基準を満たしていなかった。県は両社を7月から6カ月間、入札参加資格停止にした。
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