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ゼネコンの枠組を超えて進化を目指す!
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準大手ゼネコンの前田建設工業と前田道路、前田製作所3社の共同持株会社としてインフロニア・ホールディングスが設立された。国内の建設市場での請負市場は縮小する傾向が予想されるなかで、体力強化を狙うだけではない。
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業界の薄利受注という体質の中で、インフロニアは従来のゼネコン請負けシステムから総合インフラサービス企業へと方針変更する。2030年度には営業利益を現在の倍の1000憶円にするとの野心的な計画を発表している。
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ゼネコンは過去「請け負け」業から脱却したことがない。
日本の建設業では、工事を発注する「発注者」がおり、その工事を請負って工事全体をまとめる元請の「ゼネコン」が存在し、元請の下に「名義人」がおり、名義人の下で各担当の工事を請負う構造なのだ。
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発注者と請負ゼネコンの間で、工事を始める前に請負契約を取り交わす。請負契約は、発注者と合意した契約額と完成工期或いは引渡工期が明記してある契約形態で、設計変更や追加工事などが発生して当初の契約条件が変わらない限り、発注者から支払われる金額は変わらない。
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工事は複数年にわたることも多いため、工事期間中に資材価格や労務費等のコストが上昇するリスクがある。また工事開始後に予期せぬトラブルが発生して、工期が長引くリスクも少なくない。
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請負契約の場合、物価変動リスクによる追加コストはゼネコンの負担になることが多い。また、工期は延長されないのが一般的である。工期の延長を回避するため、人員多数投入して突貫工事を行うこともあるが、そのコストもゼネコン負担である。
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このように工事に関わるリスクをゼネコンが負担する契約形態を、建設業界では「請け負け」と表現している。
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2021年度決算でも、工期遅れで多量の人員投入、資材コスト高騰で現場赤字などで大手ゼネコンの赤字決算が多く見られた。根本原因は、業界が薄利で工事を成功している実態が多く、受注段階での「同業他社との叩き合い」が原因なのだ。発注者の仕様で工事をするなら、どのゼネコンが施工しても同じものが出来上がるからだ。今では、工期短縮とコストを下げるため、ゼネコンの提案を取り入れ工費削減をする「発注者」が多くなっているのも薄利工事に拍車をかけている。
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ゼネコンは、バブル崩壊後やリーマンショック後のような経済の深い落ち込みがもたらす建設需要の低迷期には、売上を確保する目的で赤字工事の受注に走る傾向がある。ゼネコン業界はいまでも「大型工事の受注」に血の道を挙げている。
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準ゼネコンの中でも前田建設工業は大手5社の一角を脅かす存在であったのだが、官庁民間工事においては現在でも、利益率は大手ゼネコンと比べて遜色ない水準にある。
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2022年度第1四半期の単体の建築工事の売上総利益率は、前田建設工業が8.1%、大成建設が4.5%、大林組が5.9%、清水建設が5.0%、鹿島が8.9%であった。
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前田建設工業の完成工事利益率が高いのは、個々の工事の受注活動の際に、受注高(≒売上高)ではなく、受注時利益率の高い案件を受注する方針であると考えられる。
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前田建設工業採用の原価開示方式。
契約時に目標とした工事価格に加え、元請として受け取る報酬や資材費、下請に支払う報酬など、実際に支払ったコストのすべてを発注者にリアルタイムで開示する。
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実際にかかったコストにフィーを載せて契約するため、この契約方式は一般的には「コストプラスフィー」と呼ばれる。原価を開示することで工事価格に透明性が確保され、それにより顧客から信頼を得ることができ、結果として適正利益の要求が受け入れられやすくなる、との考えが原価開示方式の背後にある。
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2005年9月に導入して以降、この契約方式は、国土交通省が入札契約として導入するなど、徐々に市場で認知されつつある。
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前田建設工業は「脱請負」を経営戦略の柱としているが請負のビジネスをやめてしまう訳ではない。
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従来の建設工事の請負のビジネスに加えて、社会インフラの運営プロジェクトの事業主体となり、事業リスクを取るビジネスを拡大して利益成長したいとの意思が込められている。具体的には、空港や上下水道、有料道路のような社会インフラの運営権を一定期間取得するコンセッション事業を拡大し、社会インフラの施工(EPC)のみならず、開発・出資に始まり、竣工後の運営・維持管理(O&M)から売却まで、インフラ運営に関わるすべてのビジネスを一気通貫に手掛けて成長するとの計画だ。
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高齢化と人口減少が加速する日本、戦後に構築された社会インフラの老朽化が進み、それらの維持管理や更新にかかるコストが増えるという読みがある。そのコストを公的資金だけで賄うのは財政上困難なため、政府は官民連携の手法であるPPP/PFI(コンセッションを含む)の推進アクションプランを策定し、2022年から10年間の事業規模目標を30兆円と設定している。
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前田建設工業は2011 年に脱請負を宣言後、愛知県有料道路や愛知県国際展示場、仙台空港などのPPP/PFIを受注。最近では、大阪市の工業用水道のコンセッションが2022年4月にスタートし、2023年4月から神奈川県三浦市の下水道コンセッションがスタートする予定である。
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現在のところ、国内のコンセッション事業で実績を積み重ねつつあり、会社は総合インフラサービス企業への道を着々と歩みつつある。
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コンセッションやM&Aに大きな資金を投じることは、バランスシートが拡大することを意味する。今後どうバランスを取っていくのか注目される転換事業だ。
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