曲がり角に来た建設業界:大手の生き残り作戦は!

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大手ゼネコンは請負け契約から脱却できるか!
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政府の経済対策と自然災害に翻弄されてきた!
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ゼネコン業界ここ2~3年、色々な意味で建設業界は騒がしくなってきたのではないか。
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変なたとえだが、地震の形で表現したほうが分かりやすいのかもしれない。ご存じのように地震の種類には、大きく分けて2つあり、直下型とプレート型がある。
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直下型は、下から突き上げ、いきなり大きな縦揺れが来るが、数十秒間と比較的短い時間でおさまる。
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プレート型は、小さな縦揺れのあと、ゆっくりとした大きな横揺れが数分間起こり、広い範囲に影響を与える。巨大地震(M8を超える)のため、影響も大きい。
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建設業界は経済変動で上下し、地震など自然災害で上下し、戦争や疫病などでも翻弄されてきた。いまの建設業界は、どこかで起きている大型地震の影響で長期振動で揺れている状況なのかもしれない。揺れている最中にどのような対策が取れるのか、その揺れを人工的に止める方法はあるのか、大手・準・中堅ゼネコンは動き始めた。
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大手ゼネコンをはじめ地方ゼネコンまで経営者のトップは50代後半から60代半ばであり、バブル崩壊の1991年2月(31年前)のことを覚えている経営者でも20代半ばから30代に入ったころの人である。1980年代後半に地価は異常な高値を呼び、国民総不動産屋と言われるほど土地に群がり、株や土地を担保に銀行借入し土地を買い、それを担保にまた借りるという狂乱時代でもあった。1990年橋本大蔵大臣の土地総量規制に端を発し、地価の下落が始まり担保価値は一気に下がり、資産だったはずが負債となり俄か成金や不動産業者は次々と破綻していき、事業融資をしていた金融機関は多額の不良債権を抱え、破綻や合併が相次ぎ、大手15行には公的資金が投入された。
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2007年、米国発のサブプライムローン問題に端を発し、金融不安が世界に拡大、日本の金融機関も多額の損失を受けることになる。平成20年(2008年)の世界的な景気後退の時期に建設業も景気低迷に飲み込まれますが、阪神大震災や東日本大震災を転換点に反転上昇となりながら、政府の消費増税でまた経済は大きく低迷する。
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好不調の波を見ると、平成元年(1989年)の建設投資額は73兆1146億円(政府部門24兆2813億円、民間部門48兆8333億円)とバブル景気の真っただ中にあり、年末には日経平均株価が3万8957円の史上最高値を記録した。
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この好景気を背景に建設投資は政府部門、民間部門ともに増加し続け、平成4年(1992年)には83兆9708億円(政府部門32兆3343億円、民間部門51兆6365億円)に達した。
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平成3年(1991年)2月にはバブル崩壊となり景気は後退期を迎えた。
平成7年(1995年)1月に阪神・淡路大震災が発生したことで、その復旧・復興に向けて建設投資は平成8年(1996年)まで拡大基調にあったが、復興需要がピークを超えると、“平成不況”と呼ばれる長い不景気の時代に突入。
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平成20年(2008年)のリーマンショックは正に直下型とも言え、米国での銀行などの不良債権の債権商品化で激震が起き、世界各地に波及したが日本も再商品販売で巻き込まれ、アッというまに大津波に飲み込まれ、経済低迷から浮上できなかった。
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リーマンショック後の平成22年(2010年)には41兆9282億円(政府部門17兆9820億円、民間部門23兆9462億円)と平成不況”と呼ばれる長い不景気の時代に突入。
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好不調の波が大きい
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ところが平成23年1月の東日本大震災が発生したことで、復興工事という国策工事で大手ゼネコンを中心とし、地場業者も大きな恩恵にあずかったが、関西や中国九州地方の建設業にとっては職人不足、資材高騰などでマイナス余波が大きかった。まるで長周期振動で、直接被害は出ないが余波による長期低迷は続き、後を追いかけるように平成25年3月の消費税値上げで、一気に景気は下降線をたどった。
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内訳3業種
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息を吹き返したのは、2021(令和2年)年に開催された東京オリンピック開催のための施設整備と関連公共工事である。
気回復や東京オリンピック・パラリンピック関連工事により建設投資は拡大傾向となり、平成30年(2018年)には57兆1700億円(政府部門23兆600億円、民間部門34兆1100億円)にまで回復した。
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建設業界がどのような動きをしているのか、各種ニュースを追いかけ掲載する。
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