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経営不振のマレリに子会社と経営分離を!
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ADR申請により東京ラヂエーター製造の株式は売却する方針!
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旧カルソニックカンセイは自動車内装品や空調システムなどを手掛ける、日産自動車系列では最大級の部品メーカーだったが、投資ファンドの米KKRが2017年に買収。19年に同じくKKRに買収された伊マニエッティ・マレリと経営統合し、「マレリ」の名で事業再編や構造改革に取り組んできた。
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米投資ファンドKKR傘下で事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)申請を調整中の自動車部品メーカー、マレリホールディングスを巡り、同社の上場子会社である「東京ラヂエーター製造の大株主」が、株式売却によるマレリとの経営分離を主張していた。
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英アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)のジョー・バウエルンフロイントCEOは、「上場子会社と親会社という現在の構造は持続可能性が低く、東ラヂエタとその少数株主の利益にかなうものではないことが明らかだ」と主張。東ラヂエタの株式を企業価値を高められる新たなスポンサーに売却するアドバイザー選任などの行動を取るべきだと述べた。
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マレリは主要取引先の日産自動車の業績低迷や新型コロナウイルス禍による海外メーカーの生産低迷で業績が悪化し、早ければ3月初旬にもADR(裁判外紛争解決手続き)を申請する方向で調整している。
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「みずほの抱える3爆弾」などと呼ばれてきた大口融資先の一つが、ついにはじけた。大手自動車部品メーカーのマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ、他の2つはソフトバンクグループと昭和電工)で、3月1日、弁護士や公認会計士らでつくる事業再生実務家協会に、私的整理の一つである事業再生ADRを申請し、経営破綻した。
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マレリの有利子負債残高は約1.17兆円。取引金融機関は主力行のみずほ銀行を筆頭に、大手各行や政府系金融機関、複数の地銀に国内保険会社など26社にのぼるとされ、一部には中国をはじめとした外資系金融機関も含まれているという。
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みずほ銀のマレリ向け融資額は約3600億円。1800億~3200億円の損失を負うリスクがあるわけだ。みずほはすでに21年10~12月期決算で約2600億円分を「貸倒引当金として損失処理している」(金融筋)とはいえ、外資系の中にはみずほに保有債権の買い取りを求める動きも。
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英アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)は2021年6月の東ラヂエタの定時株主総会で株主提案を行い、マレリへの約55億円の預け金が不透明で巨額だと批判。その大半を原資として株主に1株当たり370円の特別配当を実施する案など4議案を提出したが、いずれも否決された。
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バウエルンフロイント氏は「マレリは東ラヂエタからの搾取をやめ、現在の隷属関係から解放するべきだ」と述べ、マレリの財務悪化を踏まえ、預け金の即刻回収を主張。預け金については、総会後に最新の状況を教えてほしいと要請したが、公開情報以外の詳細は得られていないとしている。
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株主提案に関するお知らせ(東京ラヂエーター製造㈱)
2021年5月25日
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東京ラヂエーター製造への株主提案
親会社のマレリへの預け金約55億円を特別配当として株主に還元すること
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剰余金の処分の件
剰余金の処分につきましては、企業体質の強化や将来の事業展開に備えるため内部留保の充実等を勘案しつつ、株主に対する安定的な配当を継続することを当社の方針としております。2021年3月期中間配当におきましては、当社を取り巻く環境や企業業績を鑑み、誠に不本意ながら見送りとさせていただきましたが、期末配当に関しては前期水準、また、2022年3月期の年間配当につきましては 2021年5月13日に公表の通り、2019年3月期と比較し、増配予定でございます。
自動車業界は大きな変革期であり、これまで以上の投資が必要と考えております。内部留保に関しては、不測の事態に備えるための十分な額を勘案しつつ、次世代製品開発を始めとした戦略を実践し、将来に向けた目標を達成していくために、相当程度の継続投資を今後行っていく予定であります。
なお、マレリ株式会社への預け金に関しては、資金の拘束性はなく、マレリ株式会社の意向に支配されているものではございません。
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車部品大手のマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が私的整理の一種である事業再生ADRを申請したことを受け、融資銀行団は3月7日、1回目の債権者集会を開いた。全26行がADRの手続きを進める方向で合意。ADRは成立の公算が大きくなり、今後は数千億円とみられる債権放棄の規模が焦点となる。再建策としてマレリは、出資する東京ラヂエーター製造の株式売却方針も示した。