.
計12兆円「リーマン」に似てきた!
.
.
大手金融機関が、信用力の低い米国企業向けの貸出債権を束ねた金融商品「ローン担保証券」(CLO)への投資を急増させている。CLOの仕組みは、2008年にリーマン・ショックを引き起こしたサブプライム住宅ローンの関連商品と類似する。米国の景気次第で価格が大きく下がる懸念もあり、日銀はリスクに留意するよう促す報告書をまとめた。
.
9月末時点の国内のCLOの保有額は、農林中央金庫(農林中金)が突出しており、7兆9千億円。三菱UFJフィナンシャル・グループが2兆4733億円で続き、ゆうちょ銀行も1兆5241億円に上る。この3つの金融機関の保有分が国内の残高の大半を占める。
.
3社を中心に国内金融機関のCLO保有額はここ数年で膨らんでいる。日銀が10月に公表した「金融システムリポート」によると、2018年度は3年前の2.5倍以上の約12兆7千億円で、世界全体の15%に達する。
.
保有額が増えたのは、日銀の大規模な金融緩和で低金利が続き、資金の運用難が続いているためだ。CLOは損失リスクがある一方、利回りも高いことから、収益源として重視する傾向が強まった。
.
ただ、日銀のリポートでは、リーマン・ショック級の経済危機が起きると、米国企業の破綻などでCLOの価格は2~3割程度、下落する可能性があると分析。場合によっては日本の金融機関も大規模な損失を被りかねないと、注意を喚起した。
.
.
<CLO> ローン担保証券の略。金融機関が複数の企業への貸出(ローン)債権を束ねて発行した証券。米国の金融機関が米国企業への債権を集めてつくったものが多く、その一部を日本の金融機関が購入している。