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作文の供述書がいまでもまかり通る!
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東京都青梅市発注の工事を巡り、公契約関係競売入札妨害(談合)罪に問われた元青梅建設業協会会長の酒井政修被告(63)に対し、東京地裁立川支部は9月20日、無罪(求刑・罰金100万円)を言い渡した。野口佳子裁判長は「公正な価格を害する目的を認定する証拠はない」と認定し、「被告人には、自由な競争により形成される落札価格を引き上げているとの認識はなく、公正な価格を害する目的があったとは認められない」と結論づけた。
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元会長は、2017年4月の市道改修工事で、入札価格の調整をしたとして起訴された。7月5日に警視庁捜査2課に逮捕され、警察と検察から「他の業者は全て認めている」などと言われて追及を受けた。捜査段階では否認していたが起訴され、その後も勾留が続いた。弁護人以外とは面会も手紙のやりとりもできない「接見禁止」の処分がついたため、家族と接触もできなかった。初公判で起訴内容を認めたが、第2回公判で否認した。初公判の後、すぐに保釈が認められた。
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2審から担当した弁護士は、当初は今年3月に判決言い渡しの予定で進められていた裁判が、検察官が補充証拠をいくつも出し、挙げ句に年度が替わると転任してしまい、事情が分かっていない検事が後任となったために、裁判が長引いた。「検察は引き延ばしをした挙げ句に、その担当検事がいなくなった、というのは本当に無責任で許しがたい」という。
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第2回公判で弁護士が、業者に事情を聞いたところ、これらの調書の多くが、やはり本人の意思や供述とは異なることが書かれていることが分かった。そのため、このうち3人について陳述書を作成してもらい、相反する書面を受け取った裁判所は、「直接聞きましょう」として、結局4人の業者の証人尋問を認めた。それを含めて、10人の弁護側証人が採用されている(うち2人は検察側と双方の申請)。2度も呼ばれた証人もいた。
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検察側は元会長の経営する会社が受注した工事は利益が見込め、積極的に受注したい意図があったと主張していた。判決は「元会長が積極的な受注意欲を持っていたとは言えない。採算性の高くない工事だったが、入札が不調になると市に迷惑をかけると考え(応札し)た」と認定した。
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東京地検立川支部の長谷川保支部長は「判決内容を十分検討して、適切に対処したい」とコメントした。
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事件によって、その分野に精通した弁護士に弁護を依頼する、というのは、本当に重要だという代表的な裁判になったようだ。
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