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147機購入のF35とは別計算!
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最終的な開発費は2兆円以上か!
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2030年代に退役が始まる空自F2。その後継ステルス戦闘機を防衛省は自国主導で開発するため、具体的な金額を明記せず来年度の概算要求に開発費を計上する。
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機体がステルス性を備えている上に、長距離巡航ミサイルを搭載。遠い場所からでも発射可能で、敵のレーダーに探知されず、敵基地を攻撃できる。国産初のステルス戦闘機になるという。軍事問題に詳しいジャーナリストの田中稔氏が言う。
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「ステルス戦闘機自体、先制攻撃のためのもので、憲法の専守防衛に反します。仮にF2後継機を配備するにしても、ステルス戦闘機F35と役割がダブります。F35は米国から爆買いしトランプ大統領にいい顔をして、F2後継機は国内で開発し、国内の防衛産業を潤わせるということです。三菱重工など防衛関連企業は防衛省の重要な天下り先ですからね。
米国と国内“どちらも計上”なのです。こんなお金の使い方がまかり通るのは防衛費だけ。概算要求に金額を明記しないのも財務省をなめ切っている証拠。安倍政権下で防衛費は聖域化されているのです」
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147機の配備計画がある米国製F35は、機体購入費と維持費で6兆2000億円超もかかる見通しだ。F2後継機の開発費は総額1兆5000億円以上と見積もられているが、それでは済まない。開発では常に、追加費用がかさむ。後継機は約90機の配備が予定されているが、想定以上に製造コストが膨れ上がれば、数兆円など軽く吹っ飛ぶ。
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「かつて、半導体や液晶など日本の技術が世界を引っ張りましたが、例えば、5G(第5世代移動通信システム)で日本の技術はカヤの外です。これは、国の産業育成政策の失敗を表しています。安倍政権は、成長戦略をうたっていますが、中身はカジノ、原発、防衛産業です。成長産業を支える技術が育つわけがありません」(田中稔氏)
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技術大国日本は今は昔。軍事大国化で国が滅ぶのは、古今東西、歴史が証明している。
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「F2」戦闘機の後継機開発費を2020年度予算案に計上する方向で調整に入った。日本主導でステルス戦闘機の開発を目指すという。日本のステルス機開発では、当初、「心神」と呼ばれた先進技術実証機「X2」の初飛行が16年に行われ、研究が続けられてきた。将来の安全保障のためにも、世界を驚かせた名戦闘機「ゼロ戦」を生み出した日本の航空機技術力を発展させ、継承することが不可欠だ。
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関係者によると、20年度予算の概算要求では金額を示さない「事項要求」にとどめ、年末の予算編成までに開発関連費の概要を固め、具体的な額を計上する見通し。
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当初、21年度予算の概算要求に盛り込む意向だったが、自民党国防関係議員の「F2退役までに開発が間に合わない可能性がある」という意見を踏まえ、20年度予算で開発に取り組む。
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日本企業が参画し、国内技術を最大限に活用しながら、米国か英国と共同で開発する手法を検討している。具体的には、米ロッキード・マーチン社との連携を模索し、米空軍のステルス戦闘機「F22」と、空自が米国から導入する最新鋭ステルス戦闘機「F35」の「混合型」が想定されるという。
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ところで、実証機「X2」の実力はどうだったのか? 日本主導でステルス戦闘機の開発は成功するのか?
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軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「実証機『X2』のステルス性やエンジン能力は高かった。IHIはエンジンを進化させて、F22と同等の出力を持つエンジンを開発している。F2後継機の単独開発は難しいが、こうした技術は継承しなければならない。自国技術を失えば、米国などに完成機を高く売りつけられるだけになる。例えば、『日本が80%、米国が20%』の共同開発ができれば理想だ。政府・与党の頑張りに期待したい」と語っている。
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