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防衛省は自衛隊の運用に民間の衛星通信を利用してきたが、平成29年に初めて保有する防衛通信衛星きらめきを打ち上げ、運用を開始し、令和4年度ごろ3基態勢を整えることで独自の衛星通信網を築く。
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自衛隊の運用に欠かせない衛星の態勢整備に伴い、衛星の活用が電波を使った電子戦などで妨害される脅威を踏まえ防衛省は妨害を監視する機能を保有する。
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音声や画像・映像データを中継する衛星通信も地球上と衛星の電波の送受信で機能し、妨害で電波が遮断されると機能停止に陥る。
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衛星の電波に対する妨害には
(1)衛星自体
(2)衛星の管制などを担う地上設備
(3)衛星と地球上を行き交う電波-への攻撃が想定されている。当面は(2)の地上設備が狙われやすく、設備が送受信する電波に同じ周波数の電波を照射され混信させられる妨害の恐れが強いとみて、攻撃してくる相手の装備や妨害電波の照射方法の監視と分析に乗り出す。
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現行の電波収集装備では能力不足で、遠くまで幅広い周波数の電波を収集するため航空機搭載と地上配備の新装備を組み合わせ、常時監視できる態勢を敷く。
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2018年秋の北大西洋条約機構(NATO)の軍事演習中に起きた衛星利用測位システム(GPS)妨害は宇宙・サイバー・電磁波の頭文字から「ウサデン」と略称される「新たな領域」の脅威が顕在化したことを示している。防衛省は衛星破壊攻撃や宇宙ごみ(スペースデブリ)を監視する部隊を航空自衛隊に発足させる予定でレーダーも新設するが、新たな課題が浮上し、妨害阻止に向け米国などと連携することも急務だ。
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政府が2018年12月に改定した防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」はウサデンを陸海空という従来の領域に対する新たな領域と位置づけた。
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NATO演習中のGPS妨害は新たな領域のうち宇宙と電磁波の2領域にまたがる攻撃だった。
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「GPSを含む電磁波というものが現在の戦闘様相において攻防の最前線として重要な領域の一つと認識されるようになっている」
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2019年6月の参院外交防衛委員会でNATO演習中のGPS妨害への認識を問われた防衛省幹部はそう答弁した。ウサデンのうち頻発しているサイバー攻撃に比べ、宇宙と電磁波の領域の脅威が明らかになることは少なかったが、各国の攻防の最前線になっているとの見解を示し、「重要な軍事事象として注目している」とも述べた。
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日本にとってウサデンをめぐり脅威の源となる恐れがあるのはロシアだけではない。防衛大綱は中国に関し、「電磁波領域の能力を急速に発展」「宇宙領域の能力強化も継続するなど新たな領域での優勢の確保を重視」と明記しており、GPSや衛星通信への中国の妨害も警戒を要する。
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自衛隊は部隊と装備の位置情報の把握やミサイルの精密誘導にGPSを活用し、遠方の部隊への通信中継や指揮統制は衛星通信に支えられている。妨害によりGPSと衛星通信の機能がまひすれば自衛隊の運用は壊滅しかねず、妨害の監視と分析を踏まえ防御手段の検討にも入る。
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