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2~3年以内に正式に戦力化か!
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無人兵器の開発に邁進・中国!
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中国海軍に、世界初となる戦闘用の水陸両用ドローン(無人機)が納入された。中国船舶重工集団の子会社である武昌船舶重工集団が開発した無人水陸両用艇(無人水陸両用車ともみなせる)で、「海鬣蜥(ウミイグアナ)」と命名された。
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水陸両用ドローン「ウミイグアナ」はステルス性能を高めたトライマラン(三胴船)である。全長は12m。海上での最高航走速度は、ウォータージェット推進により50ノットとされている。海岸に上陸すると、左右の胴体内に格納されていたそれぞれ2組、合計4組のキャタピラが姿を現し、最高時速20kmで陸上を走行する。プロトタイプに装着されているキャタピラ装置を大型化すれば、地上走行スピードを高速化させることが可能とされている。
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ウミイグアナは、多くの軍事用ドローンと同じく衛星(中国固有の銀河システム)を利用して遠隔操作で機動する。電子工学センサーとレーダー類が装着されており、自律的に障害物をかわしながらプログラミングされた目標に到達することができる。戦闘用ドローンである海イグアナには、2挺の機関銃のほかにミサイル垂直発射装置も装備されており、対艦ミサイルならびに対空ミサイルを発射することができる。
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現時点では、ウミイグアナはいまだに正式に実戦配備はされておらず、プロトタイプを試験運用しながら、実戦に耐えうる戦闘用水陸両用ドローンを完成させていくものと思われる。ただし、これまでの中国海軍艦艇などの誕生速度から類推すると、おそらく2~3年以内に中国海軍陸戦隊がウミイグアナを正式に戦力化することは確実と考えることができる。
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対艦・対舟艇・対戦車ミサイルシステムなどが発達した現在、沖合の揚陸艦などから上陸部隊を発進させて、近代装備で身を固めた敵が待ち構えている海岸線に上陸させるタイプの水陸両用作戦(いわゆる強襲上陸作戦)は、実施が極めて困難とされている。
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米軍内部でさえも、そもそもそのように大損害を前提とした作戦を実施する意味があるのか? という疑問が生じているのだ。
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実際に水陸両用戦のエキスパートであるアメリカ海兵隊でも、中国軍のような近代兵器を擁する敵が布陣している海岸線への強襲上陸作戦に対しては(展示演習でのデモンストレーションは別として)極めて慎重な姿勢を示している。そのため、どうしても上陸作戦を実施する必要がある場合には、海岸線周辺に敵が待ち構えていない「ギャップ」を見つ
けて、その「ギャップ」にオスプレイや高速水陸両用車(開発はまだ成功していない)でスピーディーに上陸する以外に方策はない。
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ただし、「場合によっては強襲上陸作戦を実施する」というオプションは、やはり手にしておく必要がある。最初から放棄してしまうよりは、そのほうが少なくとも敵方にとっては厄介な相手となるからだ。
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そこで浮上したアイデアが、戦闘用水陸両用ドローンである。すなわち、ステルス性能に優れ、かつ高速海上航走能力を与えられ、ミサイル発射装置や機銃などを備えた、無人水陸両用戦闘車だ。
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もちろん、いくら海上を高速で航走するステルス水陸両用ドローンといえども、海岸線に到達するまでの海上や、敵陣に肉薄する陸上で、敵のミサイル攻撃を被ることは避けられない。しかし多数の水陸両用ドローンを一斉に海岸線めがけて接近させた場合、敵のミサイル攻撃によって多くが撃破されることになっても、その段階で敵の火砲のポジションを把握することができる。そして、それら敵の防御戦力を航空機や艦艇からの攻撃によって叩き潰すことが可能となる。敵の防御戦力を破壊したら、今度は海兵隊員が乗り込んだ水陸両用装甲車やオスプレイなどによって、海兵隊員を送り込むのだ。
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アメリカ軍では、このようなアイデアはあくまでアイデアに過ぎなかった。なぜならば、アメリカでは海上を高速で航走する水陸両用戦闘車の量産化に失敗し、現時点では、海上を高速で航走するステルス水陸両用ドローンを生み出すことはできないからだ。
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一方、日本のメーカーは、高速航走が可能な水陸両用装甲車を作り出す技術を保有している。ところが、米海兵隊がその技術に関心を持ったものの、陸上自衛隊が、米海兵隊が40年近くも使用し続けてきたAAV-7を50輌以上も購入してしまったため、日本での高速航走車両の開発も遠のいてしまった。
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このようにアメリカ海兵隊やシンクタンクなどではアイデアに過ぎなかったステルス水陸両用戦闘ドローンを中国のメーカーが開発し、すでに中国海軍が手にしてしまったのである。
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今回姿を現した水陸両用ドローンだけでなく、中国人民解放軍の海軍、空軍、陸軍、そしてロケット軍の全てが、各種ドローンの戦力化に力を入れている。アメリカ軍側では、人民解放軍は無人航空機戦力ではすでにアメリカを凌駕していると警戒を強めている。
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