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予測より2年早く・国連機関!
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国連世界観光機関(UNWTO)は、2018年の世界全体の海外旅行客数が前年比6%増加し、14億人に達したことを明らかにした。経済成長と航空運賃の下落などを要因としているが、同機関の予測を2年上回る早いペースの到達となった。
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UNWTOはスペインのマドリードに本部を置く観光に関する国際機関である。1975年に設立され、2003年に国連の専門機関となった。『AFP通信』や『CNN』などのメディアが報じた同機関の報告書によると、観光客数は、南欧、アフリカ、中東などで特に大きく増加している。南北アメリカでの観光客数の伸び率は3%で、北米だけだと4%だったが、欧州は6%、アジア太平洋地域も6%、アフリカは7%、中東は10%の高い伸びを示した。
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2010年にUNWTOは、世界の観光客数が14億人に達するのは2020年との予測を示していたが、今回の報告書で、力強い経済成長、各国が進めるビザの支給要件の緩和、航空機を利用した旅行の低価格化などが観光市場の拡大に寄与したとして、到達が2年早まった背景について説明している。
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2018年の欧州への観光客数は6%増の7億1,300万人だったが、北部では横這いだった。英国の欧州連合(EU)離脱による不安定な動向も影響した。アフリカには7%増の6,700万人が訪れ、同北部に1泊以上滞在した観光客は10%増、サハラ以南では6%増だった。アジア太平洋地域には6%増の3億4,300万人、中東には10%増の6,400万人が訪問した。
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一方、南北アメリカへの観光客数は3%増の2億1,700万人で、他地域の伸び率を下回った。特に中米やカリブ海沿岸諸国では、2017年9月に同地域を襲った2つのハリケーン「マリア」と「イルマ」の影響が続いており、2%減となっている。ハリケーンは有名観光地のバミューダ、プエルトリコ、バージン諸島などに壊滅的な被害をもたらした。
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WTOでは、燃料価格の安定による航空運賃の低価格化や、乗り継ぎの利便性の向上などの好条件が続き、2019年の世界の観光客数も3~4%増加すると見ている。また、インドやロシアなどの新興国や、アジアや中東の比較的小さな国々からの観光客数は、引き続き力強い伸びを示すと予測している。
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しかし同時にUNWTOは、英国のEU離脱を巡る不確実な情勢や、世界経済の減速、地政学的な緊張、貿易摩擦を巡る各国の対立などにより、投資家や旅行者が様子見の姿勢を取る可能性があるとして、警戒感も示している。
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