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際立つ不協和音 立憲「単独主義」!
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立憲民主・勢力拡大も“変わらぬ体質”!
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来夏の参院選で与野党の攻防が注目される全国32の「改選数1人区」。野党は候補者を一本化して自公政権に対抗する方針だが、個々の選挙区事情を見ると一筋縄ではいきそうにない。小異を捨てて大同団結できるのか。滋賀を例に野党共闘の「理想と現実」を追った。
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参院滋賀選挙区(改選数1)に「野党統一候補」として誰を立てるか――。1月19日夜、大津市内に国民民主党、立憲民主党、共産党、社民党の県組織幹部が集まった。国民は前知事の嘉田由紀子氏(68)、立憲は前衆院議員の田島一成氏(56)、共産は県常任委員の佐藤耕平氏(36)の名を挙げた。この日も共闘方針は改めて確認したが、一本化は難航している。
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約6年となる安倍政権。自民1強が続く要因の一つは「多弱」野党だ。最大野党の立憲民主党は無所属の会(無会)の一部の会派合流を決めたものの「単独主義」をとり、旧民進勢力の結集は否定する。参院選を前に、野党は共闘関係よりもきしみが目立つ。
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2018年11月3日、国民民主党や衆院会派「無所属の会」の幹部が、来年夏の参院選比例代表で旧民進党系勢力の候補者名簿を一本化する構想を唱えている。しかし、「揺るぎない野党第一党」を活動方針に掲げる立憲民主党は「1つにしたら票が減る」(枝野幸男代表)と応じない構えで、旧民進党系の共闘は厳しい情勢だ。
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国民民主党の平野博文幹事長は11月2日の記者会見で「統一名簿方式ができれば好ましい。『野党がまとまる』という意味では効果的だ」と、統一名簿の意義を訴えた。
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参院選の統一名簿構想は、今年5月の国民民主党結成の前後から同党内で取り沙汰され始めた。枝野氏が政党同士の合流に否定的であることを踏まえ、既存の政党を再編することなく旧民進党系を一本化することが狙いだ。
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無所属の会の岡田克也代表も、旧民進党系が1つの政党に結集できない場合の次善の策として統一名簿構想を支持している。
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もっとも国民民主党は、支持率が低迷していて、党勢浮揚の兆しが見えない。自らの党名ではなく、より集票力を期待できる別の「看板」を求めたいという思惑もある。
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参院選で国民民主党から組織内候補を擁立する電力総連の幹部は「党の支持率が5%ぐらいあれば参院選比例代表で4、5人が当選できるが、今のままでは1人の当選がやっとだ」と窮状を明かす。
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立憲民主党に国民民主党の窮状を救う考えはない。枝野氏は2日に東京都内で講演し、国民民主党と主張が異なる原発政策を例に挙げ「180度違う政策の候補を同じ名簿に載せたら(有権者は)投票しない」と述べ、同党などとの統一名簿構想に拒否する姿勢を示した。
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衆院会派「無所属の会」に所属する安住淳元財務相、江田憲司元民進党代表代行、中村喜四郎元建設相、中川正春元文科相ら計6人の立憲民主党の会派入りが12月18日、決まった。立民と国民民主党との不毛ともいえる争いはいつまで続くのか。
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「無所属の会」は、昨年の総選挙で分裂した希望の党と立民との再合流を促すために結成。岡田克也元外相、野田佳彦元首相、玄葉光一郎元外相ら13人が所属していた。
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民進党と希望は合流し、国民民主党が結党されたものの、立民との交渉は難航。結局“民主党復活”はかなわず、この日、安住氏ら6人は立民に会派入り。入党とは異なるが、事実上の立民所属に近い扱いとなる。
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立民の枝野幸男代表は「来る者は拒まず」の姿勢を見せているが、実情は違う。「立民は“枝野の枝野による枝野のための政党”といわれるほど枝野氏に権限が集中している。野田氏や岡田氏の立民入りには枝野氏の支持者からアレルギーがあり、反発の声も上がっていて、すんなりと会派入りとはいかない。また、希望結党時に公認権を差配した玄葉氏は、枝野氏からすれば“排除した”責任者。ハナから入党できるハズもないし、玄葉氏も望んでいなかった」(永田町関係者)
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枝野人気はとっくに下火だ。2018年10月に参院でも野党第1党となったものの、政党支持率は1月の7%前後をピークに下げ続けている。
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「昔の民主党と同じじゃないか、と愛想を尽かした支持者も多い」
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国民民主党も支持率は1%前後と低迷。参院選では、立民と国民民主党で競合する選挙区も出ている。野党第1党争いで共倒れが続けば、ほくそ笑むのは政権与党という構図は来年も続きそうだ。
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