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貿易摩擦緩和!
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2018年7月3日、澎湃新聞は、日本が数十億米ドルを費やして米ロッキード・マーチンから長距離識別レーダーを購入する予定だとする、英メディアの報道を伝えた。
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記事は、英ロイターが先週、防衛省が長距離識別レーダーを米ロッキード・マーチンもしくは米レイセオンから購入する計画だと報道したことを紹介。匿名の防衛官僚が3日、ロイターに対してロッキード・マーティン社から購入するとの情報を明かすとともに「強い探査能力、使用サイクルのコストが低いことが理由」としたことを伝えている。
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その上で「防衛省は2023年までに少なくとも二つの陸上型ミサイル迎撃システム『イージス・アショア』配備を完了する計画だ。これは、自衛隊のミサイル防御システムのグレードアップ計画の一部であるとともに、軍備購入により日米間の貿易摩擦緩和にも寄与する。『イージス・アショア』を二つ購入するとなれば、20億ドル(約2200億円)という予算の倍の値段となる。トランプ米大統領は以前、日本に対して米国の軍備を購入して貿易のバランス化を図るよう求めた」とした。
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記事は一方で「レーダー購入の件について小野寺五典防衛相は、公表できるような正式決定には至っていないとコメントした」とも伝えている。
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省内には米海軍との相互運用性を重視する立場から、スパイ6を推す声もあったが、関係者によると、SSRのほうが廃棄まで使用した際の総合的なコストや探知能力が優位と判断した。SSRは富士通製の半導体素子を使うことから、日本の国内産業が関与できることも選定に影響した。
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日本政府は2017年末にイージス・アショアを2基導入することを閣議決定。2018年度は配備に向けた調査費や設計費を防衛予算に計上した。来年度は米政府と装備自体の取得契約を結びたい考えで、概算要求に盛り込む方向で調整している。
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イージス・アショアは、イージス艦に搭載している迎撃ミサイルシステムを陸上に配備したもの。探知性能を左右するレーダーには複数の選択肢があり、防衛省は米海軍がイージス艦への採用を決めた米防衛大手レイセオン(RTN.N)の「スパイ6」と、米ミサイル防衛局がアラスカ州に配備するレーダーをもとにしたロッキードのSSRを候補に選定を進めてきた。
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中国中央テレビは、日本がイージス・アショアを導入する意図について分析する記事を掲載した。
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日本政府が陸上版イージスといわれる「イージス・アショア」の導入を決めたことで、日本列島全体を防御できるようになると紹介。急に導入を決めたかのような印象があるものの、実際のところ日本政府は急きょ決めたわけではなく、導入に向けて準備してきたと伝えた。
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なぜ日本はイージス・アショアの導入にこだわるのか。記事は、「日本政府は海上自衛隊の任務の負担を軽減させるためとしているが、日本の真の意図はそんなに簡単なものではない」と主張した。
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現在のところ、イージス・アショアは秋田県と山口県に配備する予定で、地理的な観点からすると「朝鮮半島での有事に備える」ように見えると記事は指摘。しかし、軍事専門家の宋暁軍氏は、「政治的な意味が大きい」と指摘する。宋氏は「まず、アジア地域における軍備競争をあおることになる。ロシアはイージス・アショアの配備は中距離核戦力全廃条約に違反すると考えている。
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また、このシステムは攻撃性の武器を発射することができ、日本の平和憲法に違反する」としている。
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さらに記事は、イージス・アショアの配備には日本の野党や世論からも「憲法九条に違反する」と反対の声が出ていると指摘。中国外交部が「歴史的原因から、アジア近隣諸国と国際社会は軍事・安全保障面で日本の動向を強く注視し続けている」とし、日本側に慎重に行動することを求めたと伝えている。
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