.
高利回り金融商品に続々と問題発生!
.
人民元下落を容認!
.
.
中国が経済政策の軸足を構造改革から景気配慮に移しつつある。中国人民銀行(中央銀行)が6月24日に決めた金融緩和措置では、増えた手元資金を債務の株式化に回すよう大手銀行に求めた。1兆元約17兆円)超の株式化を実行し、過剰債務に悩む国有企業の経営を支える。市場で進む通貨人民元の下落も容認する。米国との貿易摩擦の激化や、消費や投資の弱含みをにらんだ措置だ。
.
<債務の株式化>とは、不振企業の債務を株式に切り替えること。
.
銀行からの融資について、その一部の返済を免除してもらう代わりに、企業が新たに発行した株式を受け渡すこと。経営不振の企業が経営の建て直しに向けて実行する。企業の経営が苦しいと、銀行から受けた融資の返済もままならない。過剰な債務が経営における自由度を奪い、経営の再建はいっそう難しくなる。銀行側も、焦げ付いた融資の回収は半ば諦めかけている。
.
このような債務を株式に転換することは、企業側にも銀行側にも互いにメリットがある。企業から見ると、利息をつけて返済をしなければならない借入金が株主資本に切り替わるため、企業の有利子負債を圧縮できる。一方の銀行は、経営再建に成功するという条件つきながらも、将来、融資を回収する以上の利益を受け取ることが可能だ。株式の新規発行によって、既存の株主にとっては1株の価値が下がるというデメリットも発生するが、債務の株式化は、銀行など債権者に向けた企業の経営再建の手法として使われることが多い。
.
.
最近、中国で高利回りをうたった金融商品プラットフォーム運営企業の問題が表面化している。経営者逮捕、強制捜査、資金ショートにより突如運営停止になるなど事態は深刻だ。昨年の中国当局の規制強化によりこうした問題が次々と表面化してきた。
.
銭宝網(宝网)、雅堂金融、連璧金融など高利回り金融商品販売企業に問題が出ている。
.
中国国内で経済統計が悪化し、投資や消費などの内需が弱含んでいる。国有企業の債務1兆元(17兆円)を株式化にし、預金準備率を引き下げのニュースなど、中国マクロ経済動向の景色が半年前と変わってき。
.
中国で高利回りをうたい投資家から資金を集めていた金融商品販売会社にも相次いで問題が発生している。中国では、2017年11月にP2Pレンディング事業者を対象に監督行政が強化されたが、対象はP2Pレンディング業者に限らず、広範囲な形で金融監督が強化されているようだ。ここ数ヶ月で新たに問題となりつつあるのは、投資家に高利回りをうたい投資資金を集めていた運営企業である。
.
.
金融商品プラットフォームに相次いで問題が発生し、強制調査へ発展している。
.
最近でも銭宝網、雅堂金融、連璧金融などが中国メディアに取り上げられ、その運営スキームに問題があるのではと問題視されている。
.
連璧金融は、6月21日から、運営する金融商品プラットフォームへのアクセスができなくなり、ユーザーから大量の投資資金返還依頼があるものの返済は行われていない。中国メディアの報道では、連璧金融の親会社となる上海聯璧電子科技(グループ)有限会社が公安当局からの査察を受ける事態にまで発展している。公安は、連璧金融の役員を含むスタッフを召喚し調査活動を行っているが会社資金や関連口座の凍結などの対応を行っており事件性を帯びている。中国では被害者30名以上、被害総額100万以上、元本保証約束をうたい資金を集めた場合などに該当すれば、捜査当局が強制捜査を行う権限があるのだという。
.
.
2017年12月26日、銭宝網の実質的な経営者で張小雷は、南京市の公安機関に自首した。2018年1月21日になされたCCTVの報道によれば、警察の暫定調査で銭宝網が高金利を標榜し投資家から集めた資金は300億元規模になりその大半が返済不能だという。2018年2月1日には、検察当局が張小雷を含め関係する人物12人を公衆の預金を詐取した罪で逮捕する事態に発展している。
.
銭宝網は、2012年に南京で設立された企業である。彼らが運営するサイトには、彼らが提示する簡単なミッションを遂行することで毎月4000-10000元の収入が得られることが標榜されている。簡単な商品アンケートに協力するなど誰でも手軽に行える軽作業である。
が、最初のメンバー登録時に10万元のデポジットを支払う必要がある。このデポジット合計300億元(5100億円)が返還されない事件に発展している。
.
.
今年1月23日、雅堂金融はプラットフォーム上で突然の事業の清算を発表した。清算の理由は当局の金融規制が厳格になったという一方的な理由であった。雅堂金融の親会社は、2012年に設立されたホームリビングに関するEコマースを行う企業。中国メディアである「国際金融報」の報道によれば、雅堂金融は2016年5月までに金融商品販売プラットフォームにおいて95億元(1615億円程度)にのぼる金融商品を販売し、30万回に及ぶ取引がなされ、25000人の投資家を集めたという。しかし、その資金の貸出先はわずか2418人(法人)であり、関係者を優遇する自己金融だったとの疑惑を持たれている。中国の法律「インターネット貸出仲介業者の事業活動管理のための措置第10条」でも、自己ビジネスや関係者に対する貸し出しは禁止されている。
.
.
中国国内では金融商品販売のトラブルをめぐる話題がメディアを賑わせている。上記以外にも多くの問題が発生しており、水面下により多くの問題が潜んでいるのかもしれない。2017年には、銀行監督庁は合計で3452に及ぶ処罰を事業者に対して行い罰金総額は30億元規模にのぼるという。これは対前年比で10倍以上に増加している数字で中国史上最大の規模となっており明らかに異常値を形成している。
.