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OPEC・名目100万バレル増産で合意!
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米国が日本の原油バイヤーに対し、イランに対する新たな制裁を理由に、イランの納入業者からの買い付けを完全に停止するよう求めたと、状況を知る複数の情報源の話としてブルームバーグが伝えている。
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今週に両国政府の間で行われた交渉の結果、イラン産原油買い付けの問題に関して、最終的な決定は承認されなかった。日本の経済産業省で原油政策を担当する高官は、交渉がまだ続いているためコメントを拒否。
米国務省の代表者もコメントを拒否した。
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経済産業省のデータによれば、日本は1日当たり17万2千バレルの原油をイランから輸入し、これは国内需要の5.3%を占めていた。
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トランプ米大統領は5月8日、核計画に関するイランとの合意から米政府が離脱すると宣言、イランに対する全ての制裁の復活を発表した。復活が発表された制裁の中には「2次制裁」、つまりイラン政府とビジネスを行う他国に対する制裁が含まれている。
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石油輸出国機構(OPEC)は22日ウィーンで開いた総会で、7月からの原油増産に合意した。イランが増産に反対し拒否権発動をちらつかせていたが、ぎりぎりの妥協にこぎ着けた。ロシアなど非加盟国も合意に加わる見込みで、原油高が一服しそうだ。
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サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は総会後記者団に、「名目」で日量100万バレルの増産に合意したと述べた。
一部の産油国には増産の余力がないため、今年下期の市場に実質的に供給が増えるのは日量70万バレル程度になるだろうと、ナイジェリアのカチク石油資源担当国務相が述べた。
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原油高を緩和するための増産を1カ月にわたり主張してきたサウジアラビアとロシアの思惑が通った形だ。ただ、最終的な声明にはファリハ・エネルギー相が述べた増産の規模は明記されず、ベネズエラなどによる意図した以上の減産を巻き戻し、2016年に当初合意した生産水準に戻すことに焦点を当てるとしている。
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OPECは総会での合意を批准するため、ロシアなど非加盟の産油国を加えたOPECプラスの会合を23日に開く。
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OPEC議長国のアラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は記者会見で「減産目標を100%達成することで、市場に安定をもたらしたい」と述べた。今は減産目標より少ない生産量を、目標数値まで実質的に増やす方針を示した。各国への割り当ては「まだ決めていない」と話した。
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専門家によると、目標まで引き上げた場合、OPEC加盟国の生産量は5月の水準から1日あたり70万バレル超、増える計算になる。
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OPECは2016年11月、原油生産量を、それまでより1日あたり計120万バレル少ない水準に抑える目標で合意。ロシアなどOPEC 非加盟国も同調し、全体で計180万バレル少ない水準にすることを決めた。各国は米国のシェールオイル増産による原油価格低迷で採算が悪化していたが、減産で原油在庫は大幅に減り、価格は上向いた。
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ところが今年5月、米国がイラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁を再開すると発表。イランはOPEC3位の産出量で、1日あたり200万バレル以上を輸出するが、経済制裁で大幅に減るおそれが出た。南米ベネズエラも経済危機で原油生産が激減。世界的な供給減の懸念が強まり、国際指標のWTI原油先物価格は5月初め、約3年5カ月ぶりに終値で1バレル=70ドルを超えた。
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OPEC最大の産油国サウジアラビアやロシアは、価格上昇で原油需要が減ることを懸念し、減産緩和を検討。OPECと非加盟国で5月の水準より1日あたり100万バレルを増やす案を総会に提案していた。
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経済制裁で生産が減るイランは、原油価格下落と輸出減で経済的な打撃を受けることを警戒し、減産の緩和に反対姿勢だった。ただOPEC全体の生産量は、減産目標を大幅に下回っている。一定の減産緩和をしても、市況に大きな影響は出ないと判断した模様だ。
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