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根底には「安心感と永住権」!
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今に始まった事ではないが、中国の不動産買い漁りが米国不動産の価格にも影響を与え始めた。
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中国の北海道ニセコを中心とした土地の買い占めが、北海道は中国の植民地化を心配するほどだ。報道によると、北海道を中心に土地や建物などの不動産が次々に買収されており、2016年には水源地2411ha(東京ドーム513個分)が買収されたという。実際にはこの10倍以上もの土地が中国人の手に渡っているとみられる。国土の2%がすでに中国人に買収されたと推測されており、「日本の安全保障や主権が脅かされる」と懸念の声も出ている。
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世界中に土地を買い求めると言うという中国人の心理の底にあるのは、「永住権と安心感」という言葉があるという。日本でも不動産の爆買いが起きた2015年ごろ、日本だけでなく人気なのは、米国やオーストラリア、ニュージーランドなど。不動産などに一定の投資をすれば永住権が得られるためだ。一方の日本は在留ビザどまりだが、それでも投資先に選ばれるのは、資産を分散したいという考え方だ。
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中国には『不要把鶏蛋放在一个籃子里(卵を一つのかごに入れてはいけない)』という諺がある。経済変動とか政変(中国は基本的に為政者を信用していない)など、不測の事態が起きた時、資産や現金などを一つに纏めていては、すべてダメになるという事を大昔から知っているからだ。不動産にしても、中国、米国だけでなく、豪州、韓国、日本でも買う。通貨も、人民元、ドル、円を持つという人が多い。
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中国の土地は国家のもの、その土地を国民借り、建物を建てる。
中国には固定資産税は特に設けられていない。今後不動産税として取り組む考えであることを、中国当局が明らかにしたのである。財政相の肖捷氏は、中国共産党気管支・人民日報にて、「2019年までに不動産税導入への手続きを行い、2020年での導入を目指す」としている。この具体的な課税年次が言われたのは、土地売却益の代わりを立てるためだと予測されている。
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中国の土地国有制度と言うのは、地方政府は土地を不動産会社に売却することによって財源を得ており、地方政府にとって主要財源の一つだ。80年代後半から初めて土地の競売が行われてからは、地方政府は土地売却によって得られる財源に頼ってきた。
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都市化による土地供給量も減少し、収入減も細ってきている。中小地方都市の大半は土地価格も低下傾向にあり、土地売却による財源が破綻するリスクが徐々に高まっているのだ。
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このような財源獲得に代わり、中国当局は別税源として不動産税の導入を検討している。この不動産税の導入が行われると、住宅価格は1割減少すると言われているのだ。波及経済は、様々な分野で景気悪化を招きかねない。中国は現在国内総生産成長率の4分の1が不動産関連となっているため、全体の景気が影響されやすい状況にあるのだ。土地は国のものであり、家を建てようとするなら「国から70年分の使用権を購入する形」となり、プラス建築代金となる。
不動産を所有している人にとっては大きな痛手となってしまう。
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このような背景のもと、中国の企業も人も、海外の投資に目を向け始めた。その主要先が米国である。
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全米リアルター協会(NAR)によると、2016年3月から2017年4月までの外国人による中古住宅購入額は前年比49%増の1,530億ドル(約17兆円)でした。もちろん、2015年につけた記録を抜き過去最高を更新しています。おかげで中古住宅購入者に占める外国人のシェアは、約10%に。物件数では前年比32%増の28万4,455軒で、伸び率は金額の分に届かなかった。
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中国企業による海外での大型買収が相次いでいたが、市場ではその買収価格に対して、「高すぎる」との評価が強く、結果的にこの高額買収案件が不良債権化し始めたわけである。安邦同様に積極的な買収を繰り返してきた復星集団(フォースン・グループ)、大連万達集団(ワンダ・グループ)、海航集団(HNAグループ)も流動性危機に陥っており、現在、それらの企業体も危機的な状況にあるとみられていた。
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国内の投資物件が高値で投資に不向きとなり、中国企業が競り合う形で海外の投資物件の価格を釣り上げてしまっていた。高値買いは、利回りに圧迫を加え、逆ザヤ現象が起きてしまう。高値で購入する者がいる間は、何とかなったが、利回りが悪化し、転売も効かなくなると金利に押しつぶされ破たんすることになる。中国の金融監督当局は昨年6~7月、外貨不足への対応と金融リスクの拡大懸念から、海外投資の規制を一気に強化し、投資拡大をしてきた企業に対しての締め付けを強化した。企業財務の懸念から、金利は高騰し、資金調達が困難になり手元資金調達の為、購入価格より安く売却し、売却損発生による企業手元資金はひっ迫。
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中国の海外不動産投資のピークは2016年、約3兆7000億円となったが、2017年中国政府は海外投資に対し規制をかけた。中国では外国人の不動産投資に関して、「中国国内で1年間以上留学もしくは労働に従事している外国人のみ不動産購入が可能」とする規制が設けられていたが、近年北京などの数都市においては、このような規制が解除されている。
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中国政府が懸念するのは、金融当局の理財商品などの金融商品やインターネット金融に対する規制強化策を打ち出していたが、2018年は安定した経済成長を維持しながら債務圧縮や資産バブル抑制に一段と力を入れていくものと見られる。
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金融政策は、結果的に緩和気味だった2017年のスタンスから2018年は明確な中立へ、すなわち引き締め方向へ変化すると見るべきだろう。人民銀行(中央銀行)が資金供給を抑制していることが背景であり、事実上の政策金利引き上げ、すなわち引き締め方向への修正である。
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