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生コン需要17年度比・0.7%減!
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国交省・生コン情報の電子化を試行!
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全国生コンクリート工業組合連合会(東京・中央)は3月27日、2018年度の生コンクリートの国内需要予測を発表した。出荷量は8150万m3と、17年度見通しに比べ0.7%減る見込みだ。前年実績を下回るのは5年連続。再開発が進む首都圏などでは伸びるが、公共工事が低調な地域では減るなど、地域間の差が鮮明となった。
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国土交通省は18年度、直轄工事で生コンクリート情報の電子化を試行する。生コンの製造から出荷、運搬、現場受け入れ、試験、打設までの時間情報などを製造、施工の両者で共有。現場での待ち時間や戻りコンなどのロス削減、帳票作成や検査などの効率化といった効果を把握・検証する。試行工事での結果を踏まえ、現行は紙でやりとりしている生コン伝票の電子データ化を検討する。
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コンクリート工の生産性向上は建設現場の生産性向上策i-Constructionの柱の一つ。コンクリート製品の調達・製造・運搬・組み立てといったサプライチェーンを効率良くマネジメントする取り組みの一環として、生コン情報の電子化を試行する。
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生コン情報は製造、施工の両者がそれぞれ管理している。このため互いの状況が分からず、予定の供給ピッチで生コンが打設できなかったり、規定時間を超過した「戻りコン」が発生したりといった課題を抱えている。
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国交省の直轄現場で生コン情報の電子化を試行する。工場側の出荷システムと、現場側のコンクリート打設管理システムを共有サーバーでつなぎ、電子情報をやりとりするイメージ。生コン工場の出荷担当者、現場の受け入れ担当者、工事担当者、発注者の監督官が、パソコンやタブレット端末で打設状況などを確認できるようにする。
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出荷や打設の情報を共有することで、円滑な生コン供給を実現してロスを最小限にする。無駄な処理作業を省き、コストの低減や業務の省力化だけでなく環境負荷の低減にも貢献する。
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打設後の生コン伝票の整理作業も軽減できる。発注者も検査資料などの電子化によって、記録確認の効率化が期待される。試行工事を通じて製造、施工、発注それぞれで課題の把握と効果の検証を進め、より具体的で効果的なサプライチェーンマネジメントの実現を目指す。
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長期的な取り組みとしては、生コン伝票のペーパーレス化について関係機関と検討。現在、JISで生コン納品書は紙ベースと規定されている。試行工事で得られた効果などを踏まえ、電子化(電子認証)もJISに追加することなどを協議していきたい考えだ。
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2018年3月6日、セメントの値上げ交渉が難航している。大手各社は重油の値上がりなどを理由に10月からの値上げを打ち出したが浸透していない。過去には出荷を停止して値上げを押し通した例もあるが、今回は供給を止めれば東北の復興の足かせになるだけに強硬な手段をとれずにいる。
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値上げ交渉は本格化しているものの、需要家の生コンクリート会社の反発は強い。
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太平洋セメントなど各社は1トンあたり約千円(9%)の引き上げを目指す。円安などにより重油価格が上がり、船舶やトラックの物流費が上昇しているのが背景だ。今年は4月と7月に各社がばらばらに値上げを打ち出したが浸透しなかった。今回の再値上げで足並みがそろい、一気に浸透するかに思われた。
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だが、需要家の抵抗は予想以上に強い。生コンクリート会社は「今春から原料に使う砂利や砂など骨材の価格が1割上がった。セメントの値上げまで受け入れられない」(東京の生コン会社)と反発する。
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最終需要家である総合建設会社(ゼネコン)も反発している。建設現場では職人不足から人件費が上昇するなどコストが増えており、セメントの値上げを受け入れる余地は小さいという。
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公共工事の増加に伴う販売増でセメント各社の業績が好調なのも需要家側が抵抗する理由だ。太平洋セメントの今年度通期の営業利益は過去最高、住友大阪セメントも純利益が過去最高となる見通しだ。ゼネコンからは「これだけ業績が良いなかでの値上げは受け入れられない。下げてほしいくらいだ」との声も聞こえる。
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セメント各社は「年内の値上げ実現を目指して交渉姿勢をさらに強める」(住友大阪セメントの関根福一社長)と強調する。ただ、被災地への配慮は欠かせず、自らの好決算も需要家が反発する材料になっているだけに交渉は長期化するとの見方が強まっている。
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