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債務の利払い負担重い米財政!
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米国は既に債務の利払い負担が予算を圧迫しており、法人税減税を盛り込んだ税制改革が実現すれば政府は国債の増発を迫られそうだ。議会上院は12月2日に税制改革法案を可決。議会予算局(CBO)は税制改革によって財政赤字が今後10年間で倍増して約2兆8000億ドルに膨らむと推計している。
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高齢化に伴う医療費や年金の支払い増加が重しになっている財政は、税制改革で見通しが一段と悪化する。国債の増発で利回りが上昇すれば、国債に絡む支払いはさらに膨らむだろう。
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政府監査院(GAO)の債務・財務問題担当シニアアドバイザー、スーザン・アービング氏は「米国の債務は経済成長を上回るペースで増加し続けている」と話す。
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債務の支払い負担が重くなると、増税など国民の支持を得にくい方策を取らない限り、歳出は債務関連以外の分野の出動余地が小さくなる。アービング氏は「政府の利払いコストが増えれば、債務関連以外の歳出が圧迫され、予想外の事態への対応力が制限される」と述べた。
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政府の2018年度予算によると、17年度の利払い負担は2740億ドルと過去最高。負担は22年までに5280億ドルに増加し、歳出全体に占める比率も今年の6.8%から10.9%に高まる見通しだ。この間に利払い負担は歳出の主要項目で最大の伸びになると予想されている。
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さらに議会で審議中の税制改革案によって財政の見通しは一層暗くなる。
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ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の米金利戦略ヘッド、スバドラ・ラジャッパ氏は税制改革案について「国債発行残高が増える流れが大きく変わることはないが、発行を増加させる作用を持つのは間違いない」と述べた。
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公的債務の総額は2017年度の14兆9200億ドルが22年度には17兆5200億ドルに増えると予想されている。
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退任を控えたイエレン連邦準備理事会(FRB)議長も先週の議会証言で、連邦政府の債務の増加ぶりは悩ましい問題だと述べた。
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債務問題への対応は急務となりつつある。CBOの試算によると、議会が早期に債務の法定上限を引き上げないと政府は来年の3月末が4月初めには資金切れに陥る。
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議会は8日を上限引き上げの期限としているが、財務省は期限を延長する緊急措置を取ることが可能。
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国債の発行が増えて利回りが上昇すれば、予算への影響はさらに大きくなる。
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2009年の世界金融危機以降、国債の発行残高は2倍に膨らんだが、高金利の銘柄を低金利の銘柄に借り換えることで利払いコストは抑えられてきた。しかし既に金利は長期的にみて低い水準にあり、これ以上の利払いコスト抑制は余地が限られる。
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ムーディーズ・インベスターズ・サービスは最近のリポートで、国債の平均償還年限を伸ばしても全体的なコストを軽減できる効果をもたらすほど金利を引き下げるには、マイナス圏への金利低下が必要になると分析した。
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CBOの試算によると、FRBの国債買い入れ縮小などのために、政府は来年、国債発行を9000億ドル程度増やす必要がある。国債の供給量が増えれば政府の借り入れコストは上昇するだろう。
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一方、減税が実施されても成長やインフレが高まらなければ、国債による調達コストは上がらない可能性もある。
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DRWトレーディングの市場アナリスト、ルー・ブライエン氏は「供給量は重要ではない。
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