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無人島で騒音問題なく絶好の地だったが!
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土地確保には至らず・他を探す!
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米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転先となる馬毛(まげ)島(鹿児島県西之表市)の用地買収をめぐり、政府と土地所有者の開発会社との間で契約のメドが立立つのではないかとみられていたのは、空母艦載機の拠点が岩国基地(山口県)に移駐するタイムリミットが迫っていることが大きかった。
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FCLPは米軍パイロットが空母に着艦するための資格を得る訓練で、硫黄島でのFCLPはあくまで暫定措置だ。昭和57年から厚木基地(神奈川県)で行われていたFCLPは騒音問題が深刻化し、代替施設が確保されるまでの間として平成3年から硫黄島を暫定使用してきた。
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18年に米軍再編の日米合意で空母艦載機の拠点を厚木から岩国に移すことが決まり、FCLPも21年をメドに移転候補地を選定すると決定。19年には候補地として馬毛島が浮上したが、21年に発足した民主党政権が普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で迷走したあおりで用地取得交渉を停滞させ、地元の西之表市から反発も受け、膠着状態に陥った。
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艦載機の拠点の厚木から硫黄島は約1200kmと遠く、米側には不満がくすぶり続けた。拠点が岩国に移ると、硫黄島までは約1400kmでさらに遠くなる。
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馬毛島に移転できるなら、岩国からは約400kmで、無人島のため騒音問題も生じにくい。土地が平らで大規模造成が不要な上、X字形に滑走路2本も造成されており、「これ以上の適地はない」(防衛省幹部)と指摘されてきた。
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用地取得交渉では開発会社が売却ではなく賃貸契約を求めたことが膠着状態に陥った一因だった。政府側には売却額をつり上げてくることへの警戒感も強かったが、タイムリミットを前に「妥当な売買額で決着できる見通しがついた」(政府高官)という。
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菅義偉官房長官は2016年11月7日午前の記者会見で、米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転先として位置づける馬毛島(鹿児島県西之表市)の用地買収交渉について、「(島の大半を所有する)土地所有者とは交渉をしてきているが、必要な土地の確保には至っていない」と述べた。
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防衛省が米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転先と位置づけてきた馬毛島に代わる候補地を選定することが2017年9月16日、分かった。島の大半を所有する開発会社との用地買収交渉が暗礁に乗り上げ、買収断念に追い込まれる恐れが強まっているためだ。艦載機は米軍厚木基地から岩国基地に移駐するため代替候補地は九州か四国が軸で、適地が見つかり次第、馬毛島の買収交渉は打ち切る。
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FCLPは空母艦載機が陸地の滑走路を空母の甲板に見立てて離着陸する訓練で、パイロットの空母着艦資格の取得や技量向上に欠かせない。昭和57年から厚木で行われていたが、騒音の深刻化で代替施設が確保されるまでの暫定措置として平成3年から硫黄島(東京都)で実施されてきた。
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在日米軍再編で横須賀基地に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機は2017年8月、厚木から岩国に拠点を移し始め、早期警戒機E2Dが岩国に移駐。FA18戦闘攻撃機や電子戦機も11月以降に移り、来年5月までに計61機の岩国移駐が完了する。
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防衛省は岩国からの距離が硫黄島よりも3分の1以下の馬毛島をFCLP移転先に絞り込み、平成23年から買収交渉を本格化。土地の大半を所有する都内の開発会社が賃貸契約を求め、安定運用には即時売却が不可欠とする防衛省と折り合わず、交渉は停滞した。
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昨年になり開発会社が即時売却に応じる姿勢に転じ、防衛省は買収額として数十億円を提示したが、開発会社はそれを相当上回る額を要求している。防衛省は妥結は困難との見方を強め、代替候補地の選定を進めることが得策と判断し、滑走路建設が不要な既存の民間空港を中心に選ぶ。
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馬毛島は岩国から約400kmと近く、政府内には土地所有者の譲歩に期待をつなぐ声もあるが、「譲歩する可能性は低い」(同)とされ、防衛省は最大の難局を迎えた。
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