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田中準社長と親和銀行は1年前から買い先を探していた!
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㈱ケンコーが長崎県、福岡県の建設業関連に向かって作られ、社内に向けて配った自社が業界内のトップクラスであるという自己PR文書である。これらを見て、なるほどと思うほど業界は生易しいものでないが、過去の実績と現在株主、経営陣が福岡ファイナンシャル、親和銀行元専務執行役員(平成21年3月31日退任)の田中準氏が社長という事もあり、世間から見ると箔がつくのだろう。しかし、㈱ケンコーがHグレードの認定工場となったのは、昭和58年であり、平成29年2月でHグレード登録は2社であるが㈱ケンコーは協会登録はされていない。なぜなのだろうか。自社ホームページではHグレード認定工場となっているのだが、、、。
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以下に、㈱ケンコーが社内に配った資料を掲載する。
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九州のHグレードをもっている鉄鋼業は32社とされているが、2017年9月1日現在の数は以下の通り。
・福岡県 9社
㈱OMテック、㈱金子岐建、城戸鉄工㈱、㈱共栄工業、㈱久留米鉄工、白石鉄工㈱、㈱武末鉄工所、㈱鶴田工業、松井工業㈱
・佐賀県 1社 五光工業㈱
・長崎県 2社 岩永工業㈱ 永田鉄工㈱ ㈱ケンコーは記載されていない
・熊本県 5社 三栄工業㈱、㈱永井製作所、博陽工業㈱、明和工業㈱、雄健工業㈱
・大分県 5社 大分プラント工業㈱、㈱カマック、神崎鉄鋼㈱ 現在は3社のみ。
・宮崎県 3社 ㈱赤木鉄工、㈲斉藤鉄工所、㈱宮里鉄工建設
・鹿児島県2社 ㈱相良製作所、㈲姫城鉄工建設
・沖縄県 5社 社名省略
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三菱総研の「日本経済の展望」によると、
日本の人口減少が続く中、中長期的に持続可能な成長力を示す潜在成長率が、日本経済を展望すると、現状の延長では、労働力人口の減少や資本ストックの伸び鈍化を背景に、現在のプラス0.66%程度から2030年度にかけてプラス0.3%程度へと、低下傾向をたどることが予想される。2050年には1億人を切ると予想されル人口。 生産年齢人口( 15 -64 歳)は、少子高齢化の進行により1993年をピークに既減少局面あり、労働力人口は 1998年の 6,79 3万人をピークに減少傾向にある。こうした労働力人口の減少は、日本経済中長期的な成長力を示す潜在率の低下要因とる。 とある。
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製造業、特に建設業の中の専門業である「鉄骨加工業」は今でこそ採算ベースに乗っているが、鉄骨の支給による加工賃のみ、材工共の加工の場合と両方の注文があるが、市況次第では早めに鉄の確保が必要になり「ストック工場」が利益確保の一部を担っていたこともある。
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㈱ケンコーが経営悪化に至った原因は、平成20年(2008年9月)のリーマンショックで日本も猛烈な勢いで景気が後退した。この影響で、不動産建築業界も大打撃を受け、鉄工加工業も次々と倒産に追い込まれた。㈱ケンコーもこの波に飲まれ、資金ショートを起こし、親和銀行融資部から経営調査を受ける事態となった。
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実態調査のため、2013年10月にコンサルタントが銀行から送り込まれ、㈱ケンコーは親和銀行へ再建計画書(2013年を初年度とした10年計画)を出したが、2014年2月に税理士集団が再建検査に入った。
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この影響は2012年まで及び、平成24年(2012年)9月にさとうベネックが民事再生法を申し立て、売掛金が不良債権となった。
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このような経過の後、2014年1月31日に旧経営陣中橋親子と福岡キャピタルパートナーズとの間で株式譲渡契約が行われ、事故株式を含む9500株が譲渡された。この後、2月に元親和銀行の田中準氏が社長として就任した。
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リーマンショック以降、建設業界では一旦冷え込んだ建設不況でリストラや廃業によって建設技術者、技能者の人員削減が進んでいる最中、震災復興にかかる建設投資やアベノミクスによる公共工事が増加し、更に消費増税前の駆け込み需要や東京オリンピックの決定に伴う官民の施設整備事業などにより、建設業界では急激に増えた建設需要を賄う体制が整わないことも現在の建設価格の上昇の大きな要因となっている。
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建設価格の上昇は今も続いており、2018年がピークとなり、建設需要と共に2020年のオリンピックから徐々に下がっていきますが、2011年の建設市場価格まで下降するのは10年年後くらいではないかと予測されている。
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とはいうが、従業員の高齢化と若年層の雇用確保が難しい時代に入り、業績と資産のバランスを取ると「業績がピークになる前が売り時」と考えるのは金融業界上がりの社長が考えることであり、福岡キャピタルパートナーズに利益還元させ田中社長も厚労退職金を受け取るには絶好のタイミングでもあっただろう。
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2014年1月31日に旧経営陣中橋親子と福岡キャピタルパートナーズとの間で株式譲渡契約がされる前に、田中社長が中橋親子に「良くなったら返すから」という言葉は、従業員もほかの会社の社長も聞いていたことは事実で、約束事を書いた紙がないから反故にしようという魂胆も透けて見える。今回は次回に出す予定の再建計画の変更点を先に出す。次回の再建計画抜粋の参考としてほしい。
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【2013年当時の 金融機関への説明メモ】
次回から2013年に遡り、当時の資料を掲載しながら、何が起きていたのか検証する。
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次回は6月30日掲載です。
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