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業務改善命令・本部も隠蔽関与!
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高い悪質性・役員減給処分で済む話ではない!
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職員はノルマに追われ、実績を上げるため取引先の書類を改ざんして融資していた。一部は以前に本部が把握しながら、隠蔽されたこともわかった。
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政府系金融機関の商工中金が、国の制度融資で本来は対象外の中小企業に不正に融資していた問題で、経済産業省と財務省は4月26日、商工中金に対し、行政処分を科す検討に入った。集団的な不正や、隠蔽工作が確認されるなど悪質性が高いとみており、業務改善命令を含めた厳しい処分になるとみられる。一方、商工中金が融資のために国から不正に受給したのは2億1300万円に上り、今後さらに膨らむ可能性もある。
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第三者委員会(委員長=国広正弁護士)が4月25日に公表した調査結果によると、不正があったのは震災や為替、景気などの影響で業績が悪化した中小企業を対象にする「危機対応融資」制度。実績を上げようと、融資先候補企業の業績を審査する書類を改ざんし、融資条件を満たすために実際より売り上げや営業利益が下がっているように書き換えるなどしていた。不正件数は制度が発足した2008年以降、92支店中35支店816件に上り、不正な融資額は198億円、利子補給は1.3億円に上るなど、全国に広がっていた。
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第三者委は「組織としての明確な不正の指示はなかった」と結論づける一方、「不正行為の多発が規範意識の低下を生み、さらに不正を促す負の連鎖が働いた」と組織全体で規範意識が欠落していた点を厳しく指摘。背景として「実態に沿わない過大なノルマ、プレッシャーがあった」点などを挙げた。
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調査では隠蔽工作も発覚した。商工中金本部は14年の段階で、池袋支店で融資対象を審査する書類の改ざんがあったことを把握し、15年までに110件の不正を確認していたが、内部規定違反として処理し、公表しなかった。第三者委は報告書で「不正行為に対する有効な統制が存在しなかった」とガバナンス(企業統治)の不備も指摘した。
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経産省は、商工中金が利子補給などに充てるために不正に受け取った全額を日本政策金融公庫に返納するよう25日付で指示した。また商工中金が効果的な再発防止策を策定し、企業統治の強化を図ることができるかどうかをチェックする方針だ。「国の中小企業支援の信頼性を損なう不正で、非常に大きな問題だ」(同省幹部)として厳しい行政処分を下すとみられる。第三者委の今回の調査対象は全体の12%で、今後の調査でさらに不正額が増える可能性もある。
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不正は2016年10月に発覚し、第三者委員会(委員長=国広正弁護士)が調査結果を25日公表した。 経営悪化企業へ国が行う「危機対応業務」の低利融資などを巡り、窓口となる商工中金が不正を行っていた。経営がそれほど悪化しておらず、制度が使えない取引先にも低利で貸して実績を上げるため、職員が書類を改ざんしていた。制度を使えるように、取引先の業績が悪いように見せかけたり、従業員が多いように偽ったりしていた。
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全国92支店のうち、35支店で99人が関与した。不正な融資は760件、約414億円分で、実際に制度の適用外だったのは348件、約198億円分だった。本来国から受けられない利子補給額は約1億3千万円だった。
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第三者委の調査は、同制度で融資した全22・1万件のうち、不正の疑いがある案件を中心に2・8万件を調べた。残る融資も今後調査し、さらに不正が見つかる可能性がある。
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世耕弘成経済産業相は9日の閣議後記者会見で、不正融資問題を起こした政府系金融機関の商工中金に対し、同日中にも業務改善命令を出す考えを明らかにした。融資業績を伸ばすため書類の改竄や不正の隠蔽などが大規模に行われたことを重く見ており、事態の全容解明や組織体制の見直しなどを求める構えだ。
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商工中金が実施したサンプル調査ではなく、「全件調査」を行わせて問題を洗い出し、「担当者の処分や役員の管理責任の明確化、ガバナンス(統治)の抜本的強化を求める」という。
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世耕氏は、不正融資が「過去何年にもわたり現場で延々と続けられてきたが問題」だと指摘。「(商工中金側が発表した)役員の減給処分で済む話ではない」と厳しく批判した。 不正融資問題では、融資実績の拡大やノルマ達成のため、職員が、低利融資の条件に見合うようにするため、業績を悪く見せるなどの手法で、本来なら条件を満たさない企業にも融資していた。商工中金の調査では職員約100人が関与し、融資額は計約200億円に達する。
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