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飛散防止・措置せず!
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熊本地震の被災家屋を解体したがれきが運び込まれる熊本県内の仮置き場で、アスベスト(石綿)を含む廃棄物が露出したまま山積みになるなど、飛散の恐れがある状態で保管されていたことがNPO法人「東京労働安全衛生センター」などの調査で分かった。熊本労働局も現場の状況を確認し、仮置き場を設けている県内22市町村に安全対策の徹底を文書で通知した。
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同センターと熊本市が1月25日、市内3カ所の仮置き場を調査。国の石綿障害予防規則では解体現場などで出た石綿含有廃棄物は、飛散防止のためふたのある袋などに入れるよう定めているが、同市東区の仮置き場1カ所では石綿を含むがれきがそのまま山積みになったり、袋が破れて中身が飛び出したりしており、飛散防止の措置がされていなかった。
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同センターが厚生労働省に連絡し、熊本労働局が1月末に現場の状況を確認。同局は2月、がれきの仮置き場を設ける県内22市町村に対し、作業員が石綿を吸い込まないように石綿を含む廃棄物は耐久性の高いフレコンバッグなどに完全に収まっていることを確認することや、作業員の防じんマスク着用の徹底などを呼びかけた。熊本市も仮置き場を管理する委託業者に改善を指導した。
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市によると、問題があった仮置き場を含む市内すべての仮置き場(5カ所)での大気測定では、異常は確認されていないという。
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熊本地震では、4月25日現在で全半壊4万2375棟を含む18万9979棟が損
壊。約3万5000棟が公費解体の対象と見込まれ、3月末時点での進捗率は約6割となっている。うち最多の約1万4000棟の解体を見込む熊本市は、担当職員4人ですべての解体現場を巡回して安全確認を進めている。
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髪の毛の数千分の1程度の細さの鉱物繊維。燃えにくく断熱性に優れ、建材などに多用された。飛散した粉じんを吸い込むと中皮腫などを発症する恐れがあり、2012年に国内での製造と使用が全面禁止された。1995年の阪神大震災では、解体などの復旧作業をした4人が中皮腫になり労災認定されたことが分かっている。
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