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単なる実施検討か・本当に実行できるか!
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共和党のドナルド・トランプ氏が、大統領に就任した後10年間で1兆ドル(約100兆円)を支出する公共投資の実施を計画していることが判った。
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この公共投資案は、道路工事などに3000億ドル、その他のインフラ工事などに7000億ドルを投じることで、老朽化が目立っている国内の公共基盤の再整備を行うと共に、雇用の創出を行うというものとなる。1年あたり1000億ドル(10兆円)の公共支出を行うというものだが、トランプ陣営では、財源については増税などには頼らず(当選したら大規模減税を実施すると公約)、公共投資事業を株式化し、民間から資金を調達することで、事業運営を行っていくとする独自の方式を検討しているようだ。
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この方式は、公共事業から収益を上げて、株主に利益還元をするが、トランプ陣営では収益換言については、景気回復によって生じる税収の増加を充てるとしている。
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米国内の高速道路、橋などのインフラは、60~80年代に作られたものが多く、その後は、緊縮財政の影響を受けて、メインテンスもされずに老朽化が目立つと同時に、インフラの老朽化は大きな社会問題化してきた。
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次期米大統領が提案する1兆ドル規模の新たなインフラ建設計画は完全に民間資金に依存するものだが、それでは道路や橋、空港の整備に十分な資金には遠く及ばない可能性が高いと業界の専門家らは指摘している。
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トランプ氏のインフラ整備計画は詰まるところ、そうしたプロジェクトに資本を呼び寄せることを願って税制を優遇するというものだ。トランプ氏は投資額の82%に相当する税額控除と引き替えに、投資家のプロジェクト参加を促したい考えだ。この計画は、失われた税収が建設労働者からの所得税収入や請負業者からの法人税収入で埋め合わされると想定している。つまり、政府のコスト負担は事実上なくなるという仕組みだ。
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資金源の詳細は明かされていない。この提案についてトランプ氏の側近からはコメントが得られていない。専門家や関係当局は、民間資金でできることには限界があると述べている。民間出資のプロジェクトは利益を出す必要があるため、有料道路、空港、水道システムといった大型プロジェクトには向いているが、公道の再舗装といった定期保守には向いていないという。
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関係当局は、老朽化が進むインフラを膨大な公的資金の投入なしで整備できるかどうかにも疑問を抱いている。米シンクタンク、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによると、米国は成長する経済の需要を満たすため、今から2030年までの間にインフラ支出を国内総生産(GDP)の0.7%相当増やす必要がある。
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業界の専門家らは、一部のプロジェクトについては民間資金が公的資金を補完し得るが、完璧な代替には決してならないと指摘する。
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