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贈賄側は社内決裁経て資金捻出!
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阪大教授3回目逮捕!
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大阪大の耐震技術研究をめぐる汚職事件で、贈賄側の建設部材メーカー「JFEテクノワイヤ」(千葉市)が社内の決裁を経た上で、収賄容疑で再逮捕された阪大大学院工学研究科教授、倉本洋容疑者(57)に多額の資金を支払っていたことが1月6日、大阪府警への取材で分かった。うち約190万円は共同研究での同容疑者に対する「技術指導料」や「指導料」としており、府警は賄賂と認定。同社が組織ぐるみで不正を認識していたかどうか捜査している。
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府警によると、同社は平成27、28年度に倉本容疑者と耐震技術に関する共同研究を実施。同社側は「技術指導料」などの名目での資金提供を倉本容疑者に持ちかけ、同容疑者も応じた。同社は担当者を集めた会議を複数回開催し、倉本容疑者が役員を務める「CES構造研究所」の口座に半年ごとに約60万円を振り込むことなどを決定した。
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これまでの調べでは、28年6月までの1年間で3回にわたり計約190万円が口座に振り込まれた。支出を主導したのは贈賄容疑で逮捕された同社常務の藤本隆史容疑者(62)だったという。
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倉本容疑者は建築耐震工学研究の第一人者として知られ、建物の耐震性能に関する研究成果や論文が高い評価を受けている。共同研究は当初、大学側に無断で実施していたにもかかわらず、同社側には学内の最先端設備を使用させるなどしていた。府警は同社側が倉本容疑者との関係を深めるため、賄賂の支出を決めたとみて調べている。
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一方、同社は「贈賄の意図は全くなかった」とコメントしている。
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同社は鉄鋼大手「JFEスチール」(東京都)の子会社で、15年以降、鉄筋を補強する金属の強度を検証するなどの共同研究を倉本容疑者と続けていた。賄賂は「技術指導料」名目だったが、同社は倉本容疑者への謝礼として正式に決裁して支払っていた。
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府警によると、倉本容疑者は平成27、28年度、鉄筋コンクリートの柱に巻き付けて耐震補強に用いる「フープ筋」に関する研究を同社と実施。倉本容疑者の再逮捕容疑は、27年6月~28年6月、研究で得たデータを提供する見返りなどとして、3回に分けて「技術指導料」などの名目で、賄賂として現金計約190万円を受け取ったとしている。賄賂は生活費や遊興費などに充てていた。
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阪大と企業の共同研究では、企業側は経費を負担する代わりに学内の最先端の実験設備を使用することが可能で、得た成果は共有できる。府警などによると、倉本容疑者は当初、大学側に無断で共同研究を実施し、倉本容疑者が役員を務める「CES構造研究所」(愛知県)の口座に現金を振り込ませていた。ところが、阪大では27年12月、大学院情報科学研究科の教授らによる研究費の不正経理問題が発覚したため、倉本容疑者は約半年後の28年7月に正規の共同研究に切り替えていた。
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捜査関係者によると、府警は同研究所の口座などに、複数の建築関連会社から総額1億数千万円が振り込まれたことを確認。入金の一部を賄賂と認定した。
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倉本容疑者は、いずれも東京都内の中堅ゼネコン「東亜建設工業」「飛島建設」の2社と23年度以降に実施した共同研究をめぐる収賄容疑で昨年11月に逮捕され、現金計約780万円を受け取ったとして起訴。翌12月には、公的な研究費を2社との無断研究に流用して大学側に約1千万円の損害を与えた背任容疑で再逮捕、追起訴されていた。
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