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4~6月期・経済鈍化で!
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7月15日公表された中国の4~6月期国内総生産(GDP)は前年同期比6・7%増で1~3月期から横ばいとなり、成長の減速基調を再確認する内容となった。日本経済は、全輸出のうち中国向けが約2割を占めるなど関係が深い。今後、英国の欧州連合(EU)離脱の影響なども加わり、中国経済の鈍化が鮮明になれば、日本企業の業績悪化懸念が強まりかねない。
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財務省によると、昨年の日本からの輸出総額のうち対中輸出は17・5%で、1位の米国(約20・1%)に次ぎ2位だった。品目は、建設、工作といった一般機械や電子部品が多い。
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中国の4~6月期GDPでは、同時に発表された指標で1~6月の設備、不動産開発への投資の減速がみられ、日系機械メーカーなどへの逆風が不安視される内容となった。
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中国の建設機械市場の現状について、神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は「新規需要は見込めない」と話す。同社は油圧ショベルの中国2工場の年間生産能力を、現状の1万2500台から1万500台に2割減らす計画を打ち出した。
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一方、中国の個人消費は堅調だ。日系自動車メーカーの1~6月の累計販売台数は、トヨタ自動車とホンダ、マツダが過去最高を更新した。ただ、追い風となったのは中国政府が昨秋、排気量1・6リットルの車を対象に踏み切った減税政策。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「需要先食いの要素がある」と指摘
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加えて今後、中国で鉄鋼や石炭の過剰生産設備の整理が本格化すれば、雇用が悪化して個人消費も減速する恐れがある。そうなれば、訪日観光客の「爆買い」も冷え込みかねない。
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円高もあってすでに悪影響が出ており、6月の国内百貨店大手5社の既存店売上高は2カ月連続で前年同月割れに。星野リゾートの星野佳路社長は15日、「中国からの訪日客への頼りすぎを改め、いろいろな国から呼び込みリスク分散すべきだ」と述べた。
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大和総研の長内智シニアエコノミストは「対中輸出の1割減が半年続くだけで、日本の名目GDPは5220億円減少する」と試算しており、日本経済全体への悪影響を懸念。