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ドーハ会合前の「偽りの夜明け」か!
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原油価格の反発で、グローバル投資家のリスク選好度が回復している。日本株は大幅続伸、ドル/円JPY=EBSも切り返した。世界景気にも明るい兆しが見え始めてきているが、あくまで先が見えない最悪期からの戻りに過ぎない。買い戻しの中心はヘッジファンドなど海外短期筋。17日にドーハで開かれる産油国会合で増産凍結合意が流れれば、マネーの逆回転が起こりかねない。
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今年に入って、日本株がリバウンド局面を迎えるのは3度目。1月下旬と、2月半ばから3月半ばにかけて、そして今回だ。2月15日を底にしているものの、前2回は上値を切り下げる展開となっており、チャートの形状は悪い。
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主要株価指数の中で、日経平均がイタリアに続いでパフォーマンスが悪いのは、円高による日本企業の業績悪化懸念があるからだ。短期的な戻りがあったとしても、本格的な円安進行がない限り、日本株が上昇トレンドに回帰するのは容易ではない。
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バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが4月に実施したファンドマネジャー調査によると、世界の投資家による日本株のポジションは、2012年12月以来のアンダーウエートとなった。いわゆるアベノミクス相場は12年11月半ばから始まっており、グローバル投資家の日本株に対する姿勢が、大きく変化したことを示している。
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ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問業者)など動きの速い短期筋が、日本株の買い戻しに動いたとしても、長期投資家が短期間に投資判断を変えてオーバーウエートに戻すということは起こりにくい。一方、短期筋のポジションがニュートラルに戻れば、売り仕掛けもしやすくなる。
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13日のアジアの主要株価指数で、最も高かったのは日経平均.N225だった。年初からの下落率がアジアで最も高いのも日経平均だ。足元のリバウンドは、あくまでグローバルマクロなどのヘッジファンドが原油価格反発のなかで、売り込んだ株式を買い戻したにすぎない可能性が大きい。
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原油価格の下値は堅くなってきたが、ドーハ会合で増産凍結の合意ができなければ、短期筋主導による再下落もありうる」と話している。
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原油需要に関しても、楽観はできない。中国やロシア、ブラジルなど新興国景気はやや落ち着きを取り戻しており、米景気も製造業に持ち直しの兆しがある。ただ、それは足元のドル安が大きな要因だ。米国のインフレ率は上昇傾向を示し、世界景気が回復してくれば、米利上げ再開観測も強まる。
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ドル高が再び進行した時に、世界経済が持ちこたえることができるか──。市場がその点に自信を持てないのは、今回のリスク回復局面でも続く世界的な低金利が示している。
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足元の原油反発やリスク選好回復が、世界経済や市場の「夜明け」かどうか、現時点で確信できる材料はまだ少ない。
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サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は同国が石油の減産を行う可能性を否定した。現地紙アルハヤトが13日伝えた。
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減産の可能性に関する同紙の質問に対し、ヌアイミ石油相は「その話題は忘れるべきだ」と述べた。
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