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市長・移転を撤回!
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老朽化した柏市立柏病院(同市布施)の建て替えを巡り、秋山浩保市長は3月3日、移転をいったん断念する考えを表明した。市議会最大会派の賛同が得られなくなったことなどが理由。ゼロベースで見直し、市長の諮問機関で最大2年間検討した後、改めてどう建て替えるかを判断するという。2016年度着工、19年度開院の予定は間に合わない。
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市は14年9月、小児病棟(2次救急)を充実させて現在地から4km離れた柏の葉地区に移転する方針を表明。現在地の周辺住民が強く反発したため、昨年2月に事業を凍結した。
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3日の市議会で秋山市長は「市が一つの方向に収れんさせるのは大変難しい。建設地の議論はいったん白紙としたい」と表明した。
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その後の会見で、「(最大会派から)原点に返って方向性を明らかにすることが最善の策と提案いただいた。議会の賛同は得られなくなった。説明足らずで時間がかかったことを市民におわびしたい。失政だ」と話した。
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今後は、最新医療の水準を保つための部分改修をしながら診療を続ける。建て替えについては、市健康福祉審議会に分科会を組織して検討していく。住民団体「現地建替え対策委員会」のメンバー、坂巻勝さん(70)は「地域医療が崩壊するので現在地に病院は残すべきで、白紙撤回は歓迎。今後の審議に住民参加がないと納得できない」と話した。
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現在地で建て替えるか、移転するかで賛否が割れ、事業が凍結されている問題で、秋山浩保市長は3日の市議会で「膠着こうちゃくしている建設地の議論はいったん白紙とする」と述べ、前提としてきた柏市正連寺の「柏の葉地区」への移転を断念することを表明した。
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理由について秋山市長は報道陣に対し、「市民の代表である市議会からも『考え直せ』と言われた。我々の進めてきたことが駄目だということで反省している」と説明。「いい病院を早く造るのが私の仕事だが、1、2年足踏みした。失政と言えば失政だ」とも語った。
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同市は今後、市長の諮問機関の健康福祉審議会に分科会を設置し、市民や医療関係者、学識経験者らで改めて議論する。
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現在地の地元住民でつくる「市立柏病院現地建替え対策委員会」の坂巻勝さん(70)は市議会を傍聴し、「病院がなくなれば地域医療は崩壊する。移転撤回はとりあえず歓迎」と語った。
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◇柏市立柏病院を巡る経緯◇
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14年
・3月 建て替え候補地を現在地と柏の葉地区に絞り込む
・9月 秋山市長が柏の葉地区への移転を表明
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15年
・1月 市議会の公明党会派が移転凍結を申し入れ
・2月 秋山市長が建て替え事業の凍結を表明
・5月以降 町会などとの意見交換会を開催
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16年
・3月 秋山市長が柏の葉地区への移転断念を表明
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