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   .2022.11.07.
  エフィッシモ・矛を収めるか:1000億円上限に自己株取得!
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当面納得しても、再要求はあるか!
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 川崎汽船は、世界各国で海上貨物・旅客輸送を行う海運業者である。主に、コンテナ船・自動車船・不定期専用船・エネルギー資源輸送船などを中心に、損害保険代理・倉庫管理・陸上輸送サービスも提供する。主な貨物には自動車・穀物・原油・石炭・鉄鉱石・製紙原料などがある。
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 川崎汽船は11月4日、3523万6000株を上限に自己株式を取得すると発表した。発行済み総数に対する割合は12.41%で取得総額の上限は1000億円。取得期間は2022年11月8日から2023年3月31日まで。
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 村上系エフィッシモキャピタルマネージメントとみずほ銀行からそれぞれ、同意がありエフィッシモの保有割合は38.65%、みずほ銀は1.97%である。
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 11月8日から11日に東証立ち会い外で買い付け、上限に満たない場合は東証市場買い付けで取得継続する方針という。取得する自己株は原則として消却を予定している。川崎汽船の株価は午後の取引で下落幅を拡大し、一時9月29日以来の日中下落率となる前営業日比7.1%安の2056円まで売られた。
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 エフィッシモは物言う株主として知られ、川崎汽船の大株主としてこれまでも内田龍平氏を社外取締役に送り込むなど経営に関与してきた。
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 1000億円の自己株式取得に上乗せがみられず、上位2社が自社所有船舶を発注する中、川崎汽船は現状維持である。世界経済が軟調な中で、足元を見た堅実性を買う面もあろうが、海運上位3社間でも川崎汽船との格差は広がることになる。
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                               2022年11月4日
川崎汽船株式会社
 【自己株式取得及び自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による
   自己株式の買付けに係る事項の決定に関するお知らせ】

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1.自己株式の取得の理由
当社は資本効率を常に意識し、企業価値向上に必要な投資及び財務の健全性を確保のうえ、キャッシュフローも踏まえて積極的に自己株式取得を含めた株主還元を進めることで中長期的な株主利益の向上を図ることを基本方針としています。
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また、当社は 2022年5月9日に2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計を公表しており、現中計期間において4,000億円か 5,000億円規模の株主還元を行い、2022年度については既に公表済みの中間配当及び期末配当に加え1,000億円以上の追加還元を行う方針を公表しておりますが、2022年度の追加還元の手法としてはその規模に鑑み全額を自己株式取得の方法によることが望ましいと判断しており、今回の自己株式取得はこれらの方針に基づき実施するものです。
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また、当社は、当社株式の流動性及び市場価格に与える影響等に鑑み、当社の大株主である、「エフィッシモ社」及び株式会社みずほ銀行に対して、当社が行う自己株式取得への協力を打診しました。当該打診について、エフィッシモ社及びみずほ銀行からは、それぞれ、本適時開示により開示する総額 1,000億円の自己株式の取得について、当社が取得する株式の総数に対して概ね各社の現時点での持分割合(株券等保有割合)に相当する数量(エフィッシモ社については、その運用するファンドを通して保有する株式を含む)については当社の自己株式取得に応じる意向があることを確認。
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総額1,000億円の自己株式の取得を以下のとおり決定したものです。
2. 取得に係る事項の内容
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得する株式の総数 35,236,000 株(上限)
(発行済株式総数(??株式を除く)に対する割合 12.41%)
(3)株式の取得価額の総額 100,000,000,000 円(上限)
(4)取得期間 2022年11月8日から2023年3月31日まで
(5)取得方法 自己株式?会外買付取引(ToSTNeT-3)及び株式会社東京証券取引所における市場買付けを予定
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3.取得の方法
2022年11月8日から11日の期間において、東京証券取引所の自己株式?会外取引(ToSTNeT3)において買付けの委託を行う予定です。詳細は決まり次第、お知らせします。
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 保有する株式の一部を売却することで2社とも自社株買いに応じる意向があることを確認したと明らかにした。これにより需給面の懸念が生じているようだ、とも報じられている。
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 投資ファンド「エフイッシモ社」が保有する株式数109,869,900株(保有割合38.65%)の何割が対象となるのかであるが、未消化株数が多ければ問題再燃ということになるのではないか。2023年3月期の連結純利益が前期比9%増の7000億円になりそうだと発表した。
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川崎汽船は11月4日臨時報告書を提出した。
コンテナ船事業の活況で業績が上向いた企業で、前期の連結純利益は前の期比5.9倍の6424億円と最高益をあげ、共同出資コンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)から配当金を受け取ると発表。
<引用詳細>
(1)当該事象の発生年月日
2022年11月3日
(2)当該事象の内容
当社は、持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE.LTD.から、上記年月日開催の同社決議に基づき約1,707百万米ドル(邦貨約2,531億円)の配当金を受領します。なお、当該配当金の受領日は2022年11月15日を予定しています。
(3)当該事象の損益に与える影響額
本件に伴い、2023年3月期の個別決算において、受取配当金約2,531億円を営業外収益に計上します。
なお、持分法適用関連会社からの配当であるため、2023年3月期の連結損益に与える影響はありません。
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 川崎汽船など海運株が上昇している。国際的なコンテナ船運賃の指標となる「上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)」の下落基調が弱まった。現在SCFIなどコンテナ運賃指数と用船料はほぼ同じ傾向となっており、2022年6-12カ月の短期用船料は2022年4月をピークに6%減となった。
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 国際海運団体のBIMCOはコンテナ運賃市況の今後について、足元で軟化しているものの新型コロナウイルス感染前の非常に低い水準には戻らないと予想しています。コンテナ船の供給面では、新造船発注は2022年に入って減速傾向にあるものの、2022年第3四半期までの発注残は700万TEUと、船腹量の27・6%に相当する。
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 コンテナ船の運賃レベルは下落し、23年1~3月はコロナ禍前の水準までいくと見ている」「コンテナ運賃は年内いっぱい持ちこたえ、軟化するのは23年に入ってからでは。それでもコロナ禍前の水準にはならないのではないか」など慎重な意見も出ている。
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 エフイッシモ社が、川崎汽船の中途半端な提案でも同意した裏には、2015年以来所有している38%もの寝込み株の早期回収を考えてのことかもしれない。
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 これで終わるのか、新たな交渉が始まるのか、以前から燻っている合併問題が進むのか、、、、。
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川崎汽船は2022年8月3日に「1株につき3株の割合をもって株式を分割
(2022年9月30日時点の株主様が対象)することを決議」した。単位株価値をを引き下げることで、当社株式をご購入いただきやすい環境を整え、投資家層の拡大を図り当社株式の流動性を高めるためと説明しているが、株の取引はどの程度上がったのであろうか。発表直後は1株3200円だったが現在は1000円ダウンの1株2200となった。


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次回は、エフイッシモ株式取得と川崎汽船の対応をデータで示してみたい。
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つづく