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獲らぬ狸の皮算用が失敗か!
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買収費の調達できずが原因では!
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イーロン・マスク氏は7月8日、ツイッターに対する総額440億ドル(1ドル130円で計算、約5兆7500億円・発表時)の買収合意を撤回すると発表した。
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4月4日にマスク氏がツイッター株9%を取得表明してから3カ月が過ぎた。この間、4月25日にはツイッターがマスク氏の株式100%取得による買収提案を受け入れた。
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買収額はツイッター株あたり54.2ドルで、総額440億ドルた。総額440億ドルのうち、マスク氏が210億ドル分を自己資金で受け持ち、残りは銀行借入となった。この210億ドル分の自己資金確保のために、マスク氏は4月26日、27日両日で約440万株のテスラ株を売却し(28日の米証券取引委員会への届け出による)40億ドル相当を捻出している。
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売却の結果、テスラの株価(終値)は、25日に998.02ドル、26日、27日は876.42ドルまで値下がりした。直後にマスク氏は「本日以降テスラ株の追加売却の計画はない」とツイートしたが、29日には追加で約45億ドルのテスラ株を売却したことも判明した。ここまでで、約90億ドル分のテスラ株を現金化したこととなる。残り120億ドルをマスク氏はどう捻出するのか?
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5月に入ってからはテスラの株価(終値)は10日の800.04ドルを最後に連日800ドル割れとなっている。
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買収資金のうち255億ドル(約3兆3200億円)を引き受ける銀行団も影響大きく、約半分の125億ドル(約1兆6300億円)はマスク氏が保有するテスラ株の価値を担保に貸し出す。株価が上がれば担保価値も上がり差し出すテスラ株は少なく済む。下がれば株数の積み増氏となるが、テスラ社内はマスク氏の持つ株式のうち25%までしか担保にできないルールを設けている。
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4月25日にツイッターと合意した後も、ツイッターに求めたmDAU(収益対象になる日間アクティブユーザー数)に占める偽アカウントやスパムの量の正しい情報提供に応じなかったことが背景にある。ツイッター側は、この偽アカウントやスパムの比率がmDAUの5%以内と主張しているのに対し、マスク氏側はこの調査に正確さを欠き、5%をはるかに超える数値の場合に重大な不利益を被ると主張する。この合意が取り消される場合、約10億ドルの違約金を支払う条項が付いている。
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マスク氏自身は、ツイッター買収に210億ドルの自己資金とテスラ株担保の125億ドル、計335億ドル(約4兆3600億円)という膨大なリスクを背負う。
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ツイッターは慢性的な赤字企業でもある。1株54.2ドルで100%マスク氏が取得すると合意したツイッターの株価は、合意後でも54.2ドルを上回らず、6月以降は40ドル前後を推移している。
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買収合意後、マスク氏は色々と条件を付けているが、ツイッターとテスラの相乗株価上昇が泡と消え、買収資金が調達できず、偽アカウントやスパムの量の正しい情報提供が来ないことは「買収契約の重大な違反行為で、契約を打ち切る権利がある」と主張。
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Twitterは、「マスク氏と合意した価格と条件で取引を完了させることを約束しており、合併契約を執行するために法的措置を取る予定だ」としている。
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マスク氏は2018年にも、テスラを株式公開買い付けにより非公開企業にすることを検討していると表明したが、17日後に撤回した前歴がある。SECが虚偽情報で市場を混乱させたとして提訴し、マスク氏がテスラの会長職を退くことで和解した。
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約10億ドルの違約金を支払えば解約できるとはいえ、マスク氏の屁理屈が通るかは、裁判にならないと決着が着かないだろうが、何ともお騒がせな経営者だ。
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