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生コン不正・再利用!
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2022年2月21日付でJIS認証を取消し!
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業界団体、・適切処理呼びかけ!
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川崎市の生コンクリート製造販売業者が日本産業規格(JIS)に反する生コンを製造し、この生コンの使われた神奈川県や東京都内の住宅など約70件が違法建築になる恐れがあるとして、各自治体が調査していることがわかった。JISに適合しない生コンを建物の主要部分に使うと、建築基準法に抵触するだけでなく、安全性に影響が出る可能性もある。調査対象の一部の住宅は引き渡しや工事の停止を余儀なくされている。
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調査対象の建物があるのは、川崎市と横浜市のほか、東京都府中市、町田市、稲城市、狛江市、世田谷区の計7市区に上る。このうち、川崎市が約50件と最多だ。国土交通省や各自治体によると、多くは引き渡し前や工事中の戸建て住宅だが、店舗ビルやアパートもあり、中には既に使用中の建物もあるという。
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生コンを製造・出荷したのは、川崎市宮前区の有限会社「小島建材店」。同社は建築現場で余った生コンを再利用するため、新しい生コンを混ぜて出荷するといった不正を繰り返していたとして、2月21日にJISの認証を取り消された。
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JISでは、セメントに水や砂利などを練り混ぜる生コンの製造方法や原料の計量方法などを厳格に定めている。原料の使用割合が不明瞭となり、品質の安全性を保てないためで、古い生コンに新しい生コンを混ぜる行為は認められていない。
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建築基準法は「建築物の基礎や主要な構造部などに使うコンクリートは、JISに適合するか、国交相の認定を受ける必要がある」と定めている。国交省の担当者は「耐震性を含む建物の安全性を確保するためだ」とした上で、「すぐに安全性に問題が出るとは言い切れないが、不適合の生コンが使われると、長期的には強度不足になる恐れがある」と指摘する。
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国交省は同社の生コンが使われた建物の実態を把握するため、JISの認証取り消し後、同社に納入先の情報を出すよう要請。3月末、提供された建築現場のリストを自治体と共有した。
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各自治体は4月以降、建物の施工業者への照会などを通じて、生コンがどこに使われたかを調べている。調査中の段階では建物を建築主に引き渡せず、施工に携わったある住宅メーカーは「一部の住宅が引き渡しや工事の停止に追い込まれている」と明かす。
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問題の生コンが建物の主要部分に使われていれば、同法違反と認定され、建築主らが自治体から解体や改修を命じられることもある。既に建物の基礎に使われた物件も確認されており、ある自治体の担当者は「基礎が問題だとすると一部の修繕では済まず、解体せざるを得ないのではないか」と話している。
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主要部分の成分や強度を分析し、安全性に問題がないと判断されれば、国交相の認定を受けて適法な建物とみなされる余地もある。国交省は「入居中か引き渡し前かなど各物件の事情や調査結果を踏まえ、各自治体が対応を判断することになる」としている。
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民間調査会社の帝国データバンクによると、小島建材店は1974年7月に設立され、2021年3月期の売上高は約5億8000万円。
<日本産業規格(JIS)>
製品の品質改善などを目的に、産業標準化法に基づき制定される国家規格。認証を得るには、国に登録された審査機関による審査や試験をクリアする必要がある。鉄鋼、化学などの素材分野や電化製品など対象は多岐にわたり、5月末時点の認証取得者数は約8200。
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生コン業界では、2008年7月、神奈川県藤沢市の製造業者がJISに適合しない原料を混ぜた生コンを各地に納入していたことが判明。同社はJIS認証を取り消され、生コンが使われたマンションやホテル、戸建て住宅などが違法建築と認定された。
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この問題を受け、業界団体「全国生コンクリート工業組合連合会」などが法令順守や再発防止に向けた研修を強化。加盟社には、現場に運んだ生コンが余った場合、運搬車を洗浄するなど、適切な処理を行うよう呼びかけている。
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しかし、今回JISの認証を取り消された小島建材店は業界団体に加盟しておらず、業界の取り組みが不正の防止につながらなかった可能性もある。同連合会の幹部は「余った生コンの処理には誰もが苦労しているが、品質を保つために真面目にやっている業者ばかり。今回の不正は論外で許されない」と話す。
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