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   2022.04.08.
  東芝:今の状況を抜本的に解決できるか!
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3Dインベストは3つの施策を要求!
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非上場化を特別委で本格検討に舵を切る東芝!
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 東芝の筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが、米ベインキャピタルが東芝株を公開買い付け(TOB)した場合、保有株をすべて応募する方針であり、合意契約していることが分かった。エフィッシモが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。同届出書によると、エフィッシモの東芝株保有比率は9.90%。
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 ベインは「現時点で何ら決定した事実はない」とのコメントをホームページ上で発表。東芝の非公開化は解決すべき課題が多いとした上で、経営陣や日本政府、金融機関など利害関係者と慎重に対話を重ねる必要があるとした。
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 東芝は、エフィッシモとベイン間の確認書などの内容について何ら関知していない、とコメント。企業価値向上のため、あらゆる戦略的選択肢の検討を引き続き行っていく、とした。
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 ロイターは2021年4月、ベインが東芝買収案の策定を検討していると報じていた。他にも複数のプライベートエクイティファンドが東芝の非公開化に関心を寄せている。うち1社が2022年1月、東芝側に興味があれば提案できると打診したことが、複数の関係者への取材で分かっている。
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 東芝は3月24日の臨時株主総会で、会社を2分割する議案を諮ったが否決。非上場化などの検討を求めた株主提案も否決された。エフィッシモは会社側提案に反対し、株主提案に賛成していた。
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 東芝の第2位株主であるシンガポールの資産運用会社、3Dインベストメント・パートナーズは4月6日、東芝の取締役会と代表執行役に公開書簡を送付したことを明らかにした。
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 3Dは、「中期経営計画の策定と発表」、「買収提案の公募」、「取締役会の構成に関する株主との協議」という3つのアクションを定時株主総会の前にとる必要があると要請した。
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 東芝は「3月24日の臨時株主総会で示された株主の意見を踏まえ、株主との信頼関係構築に努めるとともに、企業価値向上のためあらゆる戦略的選択肢の検討を引き続き行っていく」とコメントしている。
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【 3DIPの書簡内容】
 執行部は東芝の可能性を十分に反映した中期経営計画を速やかに策定し、開示すること。新たな中期経営計画の内容を吟味することなく、株主が定時総会で適切な議決権行使をすることは不可能です。
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 取締役会は戦略検討プロセスを再開し、東芝の全部または一部の買収提案と、マイノリティ出資提案を募ること。取締役会は、中期経営計画の策定を待たずして、買い手候補から買収意向表明書(価格を含む)の提出を募り、定時総会前にその受領を完了させるべきです。その上で株主に対し、定時総会前の議決権行使の判断材料として、意向表明書の受領状況を報告すべきです。その後、合理的な価格を提示した有望な買い手候補者に対しては、正式な提案を行うに足る環境整備(各種詳細資料、執行部による種々の協力等)を整え、2次入札の機会を提供すべきです。
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 主たる株主(ガバナンスや戦略について公に懸念を表明している株主を含む)との対話を直ちに開始し、取締役会の構成について意見を求めること。過去2年間、貴社は株主総会で株主との対立を繰り返してきました。その事実を鑑みれば、島田氏(代表執行役社長CEO)と柳瀬氏(代表執行役副社長COO)の指名を含め、取締役会は定時総会に臨む取締役会の構成を独断で決めるべきではありません。株主の意見を客観的に考慮し、少なくとも株主から推奨された者を複数名、取締役候補者として選定すべきです。
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東芝の現経営陣、小手先の対応で切り抜けられなくなったのを悟ったのか、ファンド株主と対峙するのをあきらめたようだ。
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 東芝が株式の非上場化に向けた本格的な検討に入る。強まる株主からの圧力で、上場を維持しながら企業価値を高める従来の方針から外部のファンドなどによる東芝の買収に舵を切るようだが、4月6日の3DIPの要望を吟味することもなく受け入れを意味する特別委員会の設置と検討とは情けない。東芝ほどの会社になったら、非上場化の手順を決めるだけでも実現は容易ではない。
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 東芝が新たな事業計画の策定に向けて設置する特別委員会は、6人のメンバー全員が社外取締役で構成される。委員長はジェリー・ブラック氏(元イオン専務執行役)が務め、経営トップを選任する指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏ら5人が委員となる。ゼイジ氏は3月、東芝が反対していた非公開化の検討に支持を表明した。
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 東芝経営陣は、非公開化を求める筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントなど「物言う株主」の意向に配慮しながら事業計画を練り上げるとみられる。分割計画の策定は、ゼイジ氏ら社外取締役で構成する「戦略委員会」が主導したが、特別委設置に伴い7日付で解散した。分割計画の中断に伴って事業分割、売却計画は白紙に戻す。
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 特別委の検討結果を踏まえ、3月1日に就任した島田太郎社長ら経営陣が6月の定時株主総会前に、新たな事業計画を発表する。
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 エフィッシモをはじめ「物言う株主」側は、外部のファンドなどが東芝株を買い取り、上場廃止にすることを検討すべきだと繰り返し求めてきた。買収時には株式を時価より高く買い取るのが一般的で、既存株主の利益になる。東芝側にも経営改革を迅速に進められるといったメリットがあると主張する。
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 しかし、東芝を丸ごと買収するのは容易なことではない。東芝の株式時価総額はおよそ2兆円。買収資金を外部ファンドが単独で用立てれるとは思えず、「国内外を含む複数のファンドや金融機関などが連合を組む必要がある」のだが、物言う株主の意向だけを聞いていたら、銀行系や生保・損保系の意向は取り入れられない可能性がある。
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 原子力や防衛関連など日本の安全保障に関わる事業を抱える東芝は、外資を規制する外為法の重点的な審査対象だ。「政府は海外の投資ファンドが主導する買収には慎重にならざるを得ない」との見方もある。
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 逆に見るなら、ファンドが要求する6月の定時株主総会までに、非上場化の筋道を立てられるのだろうか。せっつかれて作る試案で成功したためしはない。
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