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2020年の株主総会・中国投資ファンド提案も反対多数で否決!
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今も変わらぬ創業家の個人商店的経営!
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大阪に本社がある「象印マホービン」は2020年2月19日、株主総会を開き、この中で、中国の投資ファンドが業績低迷を理由に新たな社外取締役の選任を求める株主提案を行ったが、反対多数で否決された。この一昨年の株主総会には、中国の投資ファンドの代表が出席していた。
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この中国ファンドは、別のファンドとともに中国の家電大手「ギャランツ」の創業家が運営するもので、合わせて13.5%の株式を保有していた。
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この中国ファンドは、新たな社外取締役として日銀出身の弁護士を選任するよう求める株主提案を行った。理由は、象印マホービンが3期連続で減収減益と業績が低迷していること、それにもかかわらず配当を増やしており、将来に向けた技術開発に資金を使っていないことなどをあげて、現経営陣を批判した。
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象印マホービン市川典男社長は創業家出身で、19年間トップの座にいる。採決の結果、投資ファンドの提案は反対多数で否決され。
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ファンドの代表の梁恵強氏は「提案が否決されたことは残念だ。会社の改善が進むよう、われわれの考えを、ほかの株主にも伝えていきたい」と述べた。これについて、象印マホービンは「株主の提案は、当社の価値向上につながるのであれば検討する」とした。
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象印マホービンは2022年1月11日、2月17日開催予定の定時株主総会で株主の投資ファンドが提案した人事案に反対すると発表した。中国系投資ファンドのエース・フロンティアが社外取締役の候補者として、元山形県知事の斎藤弘氏と関西学院大学大学院教授の石原俊彦氏の選任を提案した。象印マホービンは株主総会までに新株予約権の無償割り当てを軸とした買収防衛策を導入することも明らかにした。
この買収防衛策は、取締役会決議のみで導入し、有効期限は2月17日開催予定の定時株主総会の時までとしている点で、投資ファンドが株式を保有しており、このファンドが敵対的買収に動く可能性もあり、一刻も早く買収防衛策を導入したい表れなのだろう。
通常は株主総会で承認を得るのだが、通常手続きと違う手法に対し、総会はどう判断するのだろうか。
今回の提案は、グレート・フォーチュン・インターナショナル(14.0%)が2021年10月月14日に大量保有報告書を提出してあり、共同保有者エース・フロンティア・リミテッド(1.50%)、共同保有者ギャランツジャパン㈱(端株100株)の合計15.51%である。
三菱UFJ信託銀行が2022年01月17日に象印マホービン大量保有報告を関東財務局長提出した。内容は、報告前の6.72%から5.71%に下がっている。内容は貸株の清算で控除する株券等の数が1.01%であった。
象印マホービンは2022年1月11日の「買収防衛策」の導入についてと題し以下の文を掲載した。2月27日の株主総会で防衛策が否決されたら、この防衛策は廃止されるとある。
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4代目社長・市川典男は事業の選択と集中を進め、「本業回帰」を打ち出し経営改革に着手した。中心事業は、輸入品との競合や市場縮小で不振に陥っていた魔法瓶事業の立て直しで、2年後の03年3月、大改革に踏み切った。生産・物流を分社化し、本社は開発や販売に機能を集中。同時にステンレス魔法瓶の生産をすべてタイに移した。グループ従業員300人が転籍か退職するという決断で、社内は大騒ぎになった。
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手軽に持ち歩ける小さなステンレスボトルの魔法瓶を開発。子供たちは水筒を学校に持参していたが、大人にも好きな飲み物を持ち歩いてもらいたいとの思いからスタートし、こうしてステンレスボトルは魔法瓶の主力商品となった。現在は、ステンレスボトルと炊飯器が営業の2本柱である。
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売上高がピークだった15年11月期と営業利益が減益に転じる前の16年同期は、主力商品である炊飯器は中国人の爆買いという追い風が吹いていた。それも過去の話。ステンレスボトルも中国メーカーの技術力が追い付き、品質の違いを出すことが難しくなった。売上高の4割以上を炊飯器が占め、国内のトップメーカーではあるが、国内市場は年々縮小している。
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逆に生き延びるすべがなくなってきているのが現状だ。中国資本が狙うのは「象印マホービン」というブランド名だ。今後、家族経営的手法か、中国外資と協業するのか、M&Aで買収を待つのか、選択は多くない。
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