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   2022.01.12.
  西松建設:伊藤忠が新筆頭株主に!
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旧村上ファンド系から約145億円で市場外取得!
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みずほ銀行も漁夫の利!
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 村上系投資ファンドが、複数の準大手や中堅のゼネコンの株を買い進めていることは大量保有報告書の発表資料を見ていくと良くわかる。村上系が物言う株主(アクティビスト)として、大量保有していたのはゼネコン準大手の西松建設。株主還元の大巾拡大や、成長事業への投資を強く求めていた。
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 西松建設は村上系の要求を受け入れ、2021年9月から10月にかけて、総額544億円となる自社株の株式公開買い付けを実施した。
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 西松建設の公開買い付けで、25.0%保有の持ち分比例で、3分の2強を売却。売却処分後の保有は7.24%に下がった。村上系の買占め騒動は西松建設にとって終始苦しいものだった。結果良ければすべて良しというわけではなく、業界で言われている「最後に笑ったのは村上系」、ぎょふのりは「みずほ銀行」であると、、、。
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 ゼネコン業界、景気に左右されやすく、中堅や準大手ゼネコンは常にスーパーゼネコンの風下でしか受注が出来ず、叩き合いになったら採算度外視のスーパーゼネコンの敵ではない。
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 ゼネコンとしては優良の部類の西松建設だが、安定株主を持っていないところがファンドに狙われるところでもあった。また、スーパーゼネコンのように何千億も開発投資につぎ込めるわけでもない。手堅い会社なのであるが、中途半端な手堅さが狙われた面もある。
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 伊藤忠商事と西松建設は2021年12月15日、資本業務提携すると発表した。伊藤忠は旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンス(東京・渋谷)などから市場外の相対取引で西松建株を取得。取得額は約145億円で、議決権比率10.16%を保有する実質的な筆頭株主となった。
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 伊藤忠は業務提携で施工機能を加えた建材から不動産までのバリューチェーンを構築し、SDGs(持続可能な開発目標)や国土強靱化など社会課題対応に取り組む。西松建は伊藤忠グループの不動産運用ノウハウを取り入れた開発・不動産事業の循環型不動産ビジネス確立や資産効率の改善を図る。
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 西松建設は今後、伊藤忠との協業の成果を市場から問われる。
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【提出日】令和3年12月15日
伊藤忠商事株式会社 代表取締役社長COO 石井敬太
発行済株式等総数(株・口)(令和3年12月15日現在)55,591,502
株券等保有割合 7.24
取得単価 @3610円
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【提出日】令和3年12月16日
株式会社シティインデックスイレブンス
処分 令和3年11月12日 市場外 西松建設へ  @3626円 6.82%
処分 令和3年12月15日 市場外 伊藤忠商事へ @3610円 2.78%
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株式会社エスグラントコーポレーション
処分 令和3年11月12日 市場外 西松建設へ  @3626円 6.75%
処分 令和3年12月15日 市場外 伊藤忠商事へ @3610円 2.75%
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株式会社南青山不動産
処分 令和3年11月12日 市場外 西松建設へ  @3626円 4.19%
処分 令和3年12月15日 市場外 伊藤忠商事へ @3610円 1.71%
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伊藤忠商事㈱ 記者発表
西松建設株式会社との資本業務提携について
2021年12月15日
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 本日、伊藤忠商事株式会社は、西松建設株式会社と資本業務提携契約を締結致しました。伊藤忠商事は西松建設の実質的な筆頭株主(所有株式数4,022,800株、議決権比率10.16%)※となる予定です。伊藤忠商事は、本資本業務提携により、施工機能を加えた川上(建材)から川下(不動産)までのバリューチェーンを構築することで、建設業界の優良企業群とのアライアンスを強化し、SDGsや国土強靭化等の社会課題対応に取り組んで参ります。
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 伊藤忠商事と西松建設は、これまで共同での不動産開発事業や工事発注・資機材調達等を通じて良好な協業関係を築いており、それぞれが有する経営資源やノウハウを結集しながらより一層の連携を深めていくことが、これまでにない新たなシナジーを創出し両社の企業価値向上に資するとの共通の見解から、この度の資本業務提携に至りました。
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 伊藤忠商事は中期経営計画に「『マーケットイン』による事業変革」ならびに「『SDGs』への貢献・取組強化」を掲げています。本資本業務提携により、「建設アライアンス構築」「安心安全、脱炭素社会の実現」「循環型不動産事業モデルでの協業」「顧客基盤拡充・競争力向上」を推進することで、両社の中長期的企業価値の向上を実現するとともに、持続可能な社会の発展に貢献して参ります。
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※本日(2021年12月15日)現在、西松建設の株式を議決権比率で10%以上保有する内容の大量保有報告書は提出されていないことから、上記の表現をしております。
業務提携 概要
(1) 建設アライアンス構築
現場課題を解決する技術や工法を持つ建設業界の優良企業群との建設アライアンス構築により、業界の省人化・効率化・DX化を共同推進。
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(2) 安心安全、脱炭素社会の実現
脱炭素社会の実現や国土強靭化といった社会課題を成長分野と捉え、公共施設・インフラPPPへの共同事業参画や再生可能エネルギー事業の共同取組等により事業領域を拡大。
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(3) 循環型不動産事業モデルでの協業
不動産開発・収益不動産への投資・運用を通じた循環型不動産事業を両社で推進することで、西松建設の安定成長基盤を確立するとともに、伊藤忠商事の不動産開発事業のモノづくり力向上による安心安全を強化。
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(4) 顧客基盤拡充・競争力向上
国内外のグループ会社・取引先等のネットワークや資機材調達機能、エンジニアリング機能等両社の持つ顧客基盤や機能を融合することで、両社の事業収益力・競争力や安定性を強化。
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 伊藤忠と西松建設の業務提携の接点はアルジェリア高速道路にあったのかもしれない。
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 大成建設などゼネコン3社がアルジェリアでの工事損失を巡り鹿島に対して損害賠償を求めていた問題で、鹿島は2021年11月18日、仲裁機関の日本商事仲裁協会から仲裁判断を受け取ったと発表した。鹿島が約55億円を3社に支払う判断で、約3億円の仲裁手続きの費用は3社が負担する。鹿島は2022年3月期の業績への影響は軽微としている。
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 問題となったのは、06年に鹿島を筆頭に大成建設、西松建設、ハザマ(現・安藤ハザマ)のゼネコン4社と伊藤忠商事が加わった共同企業体との間で、損害賠償等を求める仲裁の申立てを受け、仲裁手続を継続していたが、2021年 11月17日に、一般社団法人日本商事仲裁協会から仲裁判断を受領した。
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【仲裁判断の内容】
 本仲裁申立てにおいて、申立人は、当社に対して、損害賠償等として 821億1,590万6,833円、252億6,223万352アルジェリアディナール(1 アルジェリアディナール= 0.8296 円換算で約 209億5,755万円)、及び 27万 3,316ユーロ(1 ユーロ=132.77 円 換算で約 3,629万円)の支払いを求めておりましたが、本仲裁判断は、申立人の請求の一部のみを認め、当社が申立人に対して 55億8,348万2,797円を支払うことを命じる判断を示しました。当該判断は当社の義務違反に基づく損害賠償請求を認容したものではなく、当社が共同企業体の財産として管理している余剰資金の分配請求を認容したものです。なお、併せて上記認容金額に対する商事法定利率による金員の支払いを命じています。その一方で、本仲裁判断は、仲裁手続の費用(当社が支出した弁護士費用等を含む。)のうち3億1,847万6,562円を申立人が当社に対して支払うよう命じる判 断を示しました。
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 平成4年度の約84兆円をピークに官民工事を合わせた建設投資の総額は平成19年度には50兆円近くまで下落。主要ゼネコンは次々と脱落。準大手の一角を占めていた佐藤工業は経営破綻し、飛島建設は準大手から中堅ゼネコンに陥落、熊谷建設、フジタ、ハザマ、東急建設、三井建設の各社は大幅に売上を落として債務免除等の金融支援を受けざるを得ない状況となった。
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 このような試練切り抜け、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害の復興工事は建設業界にとっては慈雨となった。
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 震災による復興特需で建設投資が増え、ゼネコン各社も受注を伸ばし息を吹き返した。震災と度重なる甚大化した自然災害がもたらす被害によって『国土強靭化計画』が声高に叫ばれるようになり、必然的に各地で公共土木事業が増え、それはアベノミクスによって強力に後押しされ、また首都圏を中心に大規模再開発が計画され、それに呼応してインフラ工事、特に高速道路や鉄道の整備も動き出した。加えて、東京オリンピック関連の施設及びインフラ工事による需要が拡大して、ゼネコン各社は売上を大きく伸ばした。
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 しかし、公共工事で潤ったのは関東の土木中心業者で、民需頼りの建築業者は資材高騰と人手不足で採算割れに見舞われた業者が多い。根本原因は、受注段階でのダンピング競争だ。浅沼組、戸田建設、安藤建設、銭高組など、建築主体の竹中工務店も中堅ゼネコンと同様いずれも赤字転落となった。

【東北大震災3年経過後のゼネコン30社 受注ランキング】
※3年合計受注額(百万円)、土木比率、完成工事純利益率の順
1、五洋建設:58,302百万円・52.2%/7.5%
2、鹿島建設:61,632百万円・27.7%/7.1%
3、東洋建設:46,914百万円・72.8%/6.9%
4、大成建設:49,393百万円・22.7%/8.9%
5、清水建設:54,387百万円・20.7%/5.7%
6、東亜建設工業:35,008百万円・64.8%/8.5%
6、ハザマ:39,935百万円・49.3%/8.4%
8、前田建設工業:40,845百万円・36.4%/7.4%
9、大林組:28,895百万円・23.3%/8.4%
10、東鉄工業:0百万円・0%/13.0%
11、戸田建設:30,183百万円・17.9%/4.0%
11、西松建設:18,746百万円・49,2%/4,6%
13、熊谷組:20,600百万円・35.1%/4.7%
14、三井住友建設:17,676百万円・34.2%/5.2%
15、鉄建建設:8,660百万円・47.2%/5.1%
16、飛島建設:1,859百万円・61.9%/5.3%
17、フジタ:9,018百万円・26.5%/7.1%
18、ピーエス三菱:3,401百万円・43.2%/6.3%
19、大豊建設:4,151百万円・46.2%/4.4%
20、大鉄工業:0百万円・63.3%/9.6%
20、太平工業:0百万円・9.3%/12.1%
22、鴻池組:12,394百万円・33.7%/6.3%
22、奥村組:12,296百万円・34.7%/5.7%
24、東急建設:3,733百万円・19.2%/5.2%
25、大本組:4,469百万円・33.3%/7.3%
26、長谷工コーポレーション:0百万円・1.0%/7,8%
27、安藤建設:0百万円・4.7%/5.1%
28、銭高組:5,848百万円・22.9%/4.0%
29、竹中工務店:0百万円・3.9%/6.9%
30、浅沼組:808百万円・15.5%/▲1.0%
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 ファンドが狙うのは何処か、、、。
建設業もさることながら、不動産、再開発業者も調べる必要がありそうだ。
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