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なぜ井ノ口理事の指図で医療コンサルへ送金したのか!
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日大の背任事件で東京地検特捜部が田中英寿理事長(74)を参考人として任意聴取をしたのは日大や㈱日大事業部、田中理事長、井ノ口理事自宅、医療コンサル等の家宅捜索の翌日9月9日である。田中理事長は知らぬ存ぜぬの一点張りのようだった。12日に田中氏は検察側に診断書を提出し、入院。特捜部が複数回、聴取を重ねても一貫して事件への関与を否定しているという。
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2020年、日大医学部付属板橋病院の建て替え工事を巡り、設計会社佐藤総合計画との契約実務を委託された株式会社「日本大学事業部」を通じた指示2億円超が医療コンサルタントへ不正に流出した疑いが浮上。特捜部は、田中氏の最側近理事で事業部を差配し、業務を牛耳る井ノ口忠男氏(64)が資金流出を主導したとみている。
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板橋病院
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この2億円は、井ノ口理事が佐藤総合計画側に大阪市の医療法人グループ錦秀会(大阪)の医療コンサルに送金するよう指示したとされ、医療法人側も特捜部の捜索を受けた。家宅捜索を錦秀会は大阪を中心に12病院、14介護施設、看護学校、薬店、医療コンサルを擁し、全体で約6000床を誇る関西最大級の医療グループである。
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佐藤総合計画入所ビル
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事件の舞台となった板橋病院は1000床以上の病床を抱える大病院です。建設からすでに50年以上が経ち、老朽化が進んでいる。地震による倒壊の危険性があることから、数年前から建て替えが検討されていた。
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日大が100%出資して出来た㈱日本大学事業部は、「医薬品、医療用品の販売」「日用品雑貨、文房具の販売」「旅行業」「洗濯業」「冠婚葬祭業」「美容院の経営」「下宿業」「建物の建設工事」など事業目的は山ほどあり、卒業式の記念品や医学部で使用する実験材料なども一括して調達し、鉛筆1本から日大の公式グッズ、日大生向けの保険の加入、学生寮の斡旋や管理、清掃から高価な医療機器に至るまで、管轄。自販機の設置に関する業者窓口をしており、板橋病院の医療コンサルの紹介もしている。
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この日大事業部の実質切り盛りは日大理事の井ノ口忠男氏である。事業部設立のプロジェクト段階から関わり、理事長付相談役として出入り業者に無理難題を吹っ掛けるなど、やりたい放題だった。結果として、売り上げを伸ばし、評議員になったばかりだった17年、田中理事長に功績を認められ、日大の理事に抜擢された。日大事業部に役員は7人いても、常駐者はおらず、実質仕切っている井ノ口氏もほどんと大阪にいる。
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板橋病院の設計で佐藤総合計画が20数億で落札し、井ノ口理事の指示で2億円を錦秀会理事長が設立した医療コンサルへ振り込んだが、振込名目は何であったのか、設計事務所と実質の業務のやり取りはないという。この医療コンサルは、錦秀会藪本雅巳理事長が設立した㈱Nisiki Corporation (大阪住吉区)であり、資本金は3億9650万円で、事業内容は「経営・業務改善サービス、医療機器販売サービス、臨床検査受託サービス、ITソリューションサービス、介護サービス給食サービス」が業務である。
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錦秀会グループ
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今なお、板橋病院の規模や設計などについて明らかにされていないが、佐藤総合計画に決まったと言うことは、水面下で建築概要が決まり、MRI、CT、PETと言う特殊機器を中心とし、手術室の機器・装置、病棟や病室の装備品に至るまで医療コンサルが病院当局に提示するわけで、佐藤総合計画はコンサルと病院当局の合意した概要に基づき設計する。何社がコンペをしようが、初めから佐藤総合計画ありきで入札したわけであるから、佐藤総合計画の言うような公平な入札でないことは業界の常識である。
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医療コンサルに送金された2億円は、田中理事長や井ノ口理事、藪本理事長らの私腹を肥やすための金であろうか。私腹を肥やすためなら、㈱日大事業部へ送金したほうが分かりやすい。
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板橋病院の建替え事業は総事業費としたら数百億円になるだろう。幾ら金持ち大学でも、資金負担は大変だ。事業費補助を厚労省や文科省にもお願いしなければならにだろう。まさか、省庁への事前運動費を㈱日大事業部からは出費できない。藪本理事長の医療コンサルから関係方面へ配るのが一番やりやすいだろう。
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関係方面への献金が動いた事実を把握した地検特捜部が、早速動き出したと見るのが一番分かりやすい。
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2021年春、太陽光発電所で融資詐欺を働いたテクノシステム社の家宅捜索は4月27日で、生野社長が逮捕されたのが1か月後の5月27日であった。今回は、登場する人物会社が複数おり、年内一杯かかるであろうが、場合によっては政界にも飛び火するかもしれない。
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