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取り掛かりは富裕層へのメス!
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中所得層を拡大したい意向!
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中国の習近平国家主席が、富の再配分計画の具体化に乗り出した。8月17日の共産党中央財経委員会で示した声明によると、習氏は「不当な所得」を抑制し、賃金を引き上げ、中所得層の拡大に乗り出した。
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習氏が最近、富裕な企業人を厳しく取り扱っている理由の一端が分かる。企業は今後、中所得層への財政移転と社会保障への貢献を求められ、新たな荷物を背負う可能性がある。延び延びになっていた不動産税も、ついに導入されるかもしれない。
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クレディ・スイスの報告書によると、中国では最も富裕な1%の人々が国全体の富の31%を保有している。20年前はこの割合が21%だった。
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零細企業と貧しい労働者を最も痛めつけた新型コロナによって、格差はさらに拡大。一方で金融資産の価格は上昇したため、新たに超富裕層に加わった人の数は2019年に比べて50%も増えた。
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習主席にとって、富裕層の富を少なくすることはわけもない。当局と国営メディアが電子商取引大手やビデオゲーム、個人学習指導、不動産開発などの企業を厳しく叩いたことで、中国の上場企業の株式時価総額は2月時点から1兆ドルも吹き飛んだ。
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消費よりも投資による成長に適した中国の制度において、一般の人々の可処分所得を増やすのはもっと難しいだろう。都市部住民の可処分所得は2020年は1%しか増えていない。新たな財政移転や社会保障の拡充が必要になり、企業と富裕層がそれを支えるために駆り出されそうだ。
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インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の馬化騰(ポニー・マー最高経営責任者(CEO)から食品出前会社、美団の創業者、王興氏に至るまで、大企業トップは既に慈善活動を強化している。
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それでも政府が、インターネット企業の税率引き上げを踏みとどまることはなさそうだ。長期間に渡り優遇税率の10%が維持されてきたが、法人税率の標準である25%に引き上げられるだろう。
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最大の変更は、導入が遅れていた不動産税の実施ではないか。北京師範大学の所得配分専門家、リー・シー氏によると、不動産は中国の所得格差に70%寄与している。習国家主席は不動産価格を鎮静化させる取り組みを行っているが、なかなか実らない。
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不動産税の導入は、
1)一般の人々にとって不動産保有を金銭的に手が届きにくい状況にしている投機の抑制、
2)空室のアパートを賃貸市場に回す、
3)主にアパート保有によって富を得ている人々の納税を引き出せる――の3利点だ。
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一方で、直接、間接に国内総生産(GDP)の25%占める不動産業界をたたきのめしてしまう恐れもある。とはいえ、現時点で投資家が習氏の決意に逆らおうとする気配はない。
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