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戦々恐々・安定株主を失う地銀!
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生保業界・地銀株は妙味なし!
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日本生命が地銀株の売りに動く、しかも業績の低調な地銀株から優先して売るというので、地銀が戦々恐々となっている。
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日本生命は2021年度から3年間で、保有する地銀の株式を簿価ベースで250億円程度売却する方向で調整に入っている。すでに地銀40行超にその旨を伝えており、売却額は時価ベースでは1000億円規模となるもようだ。
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日生が地銀株を売却するのは、25年に導入される国際的な自己資本規制で保険の支払い能力を示すソルベンシー・マージン比率を引き上げなければならないためだ。このためリスク度が高い割に低採算の運用資産を売却する方向で、同様の動きが生命保険会社全般に広がることが予想される。とくに日生は全地銀の約80%で主要株主となっていることから影響は甚大だ。
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「前金融庁長官の遠藤俊英氏が言っていたように、高いコストや配当を垂れ流して上場を維持している地銀は、この際、無理せず上場をやめるところが多く出るのではないでしょうか」(地銀幹部)というが、その前に、日本生命の株式売却は業績の思わしくない銀行から先発して売却ということであれば、それこそ生保が地銀を選別し、危機をあおりかねないと危機感を強めている。
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証券アナリストによれば「リターンから資本コストを差し引いたネットの地銀株式の採算性はそもそもマイナス」とみられている。
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地銀株は純粋な投資の観点でみても、すでに妙味がない資産となっている。地銀は、人口減少と地元経済の縮小に喘いでおり、政治・行政サイドからは経済の規模縮小に比して地銀の数が多い、オーバーバンキングが指摘されている。
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「安定的な大株主であった生保が株式を売却する間隙をぬってアクティビスト(物言う株主)に大量に株式を持たれ、経営陣の入れ替えなど無理難題を浴びせられることにでもなれば大変なことになる」(地銀幹部)と身構えている。
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首相が地銀の再編を標榜しているなか、日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の大手生保4社が保有する地銀株は、総額7000億円に達しており、日本生命が地銀株の売却を表明したことは、SBIHDも地銀の再編に手を出しているし、りそな・マネックス証券も動き出す可能性もあり、ファンドも地銀再編に名乗りを上げ始めている。
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国内独立系投資ファンドの日本産業推進機構(NSSK)は5月15日、資本提携などで地方銀行の再編を支援していく方針を明らかにした。傘下の地域活性化ファンドでは、既に地銀約40行から資金拠出や企業融資で協力を受けている。この連携網を約2年以内にほぼ全ての地銀に広げ、再編の新たな軸になることを目指す。
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