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価格審査会議事録の審議概要・抜粋!
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今回は書店でも販売されている建設物価を毎月発行される前に外部有識者によって審査されているが概要の内容が一部掲載されている。
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この建設物価本は毎月発行され、建設業者だけでなく、ユーザーが現在価格を知る上でも貴重な本であると言える。同じ内容では積算資料という本もある。
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建設物価が発行される前に、掲載価格の妥当性等について毎月中旬に外部の有識者によって審査されているのをご存知だろうか。その中から、ここ1年間分の生コンに関係する項目部分を抜粋し掲載する。
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【2019年度第1回(2019.4月15日)】
<委員質問>
仙台地区の生コンのように、出荷量減少に伴う値上げは、よくあることなのか。
・物価調査会説明・回答
出荷量減少に伴う値上げは最近増えている。生産量が減ると製造原価の固定費部分が割高となるため、協組がこれを理由として値上げを行っている。
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<委員質問>
生コン価格が、地区によって上伸したり下落したりする要因は何か。
・物価調査会説明・回答
一般的に、製品市況は、需給バランスと製造原価などで決まるが、生コンは、これに加えて各地区の協組による共同販売事業も影響すると言われている。この協組による共販事業が生コン市況を形成する最も大きい要因とも言われている。
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【2019年度第4回(2019.7月12日)】
<委員質問>
建設物価に大阪府6地区の生コン価格が掲載されている。市況は大阪市について書かれていると思うが、その他地区の状況はどうなっているのか。
・物価調査会説明・回答
大阪市をエリアとする生コン協組は、大阪府全域と兵庫県大半を販売エリアとしている。この協組の販売エリアで、大阪府6地区、兵庫県10地区を掲載しているが、全16地区とも協組の値上げが浸透した。
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【2019年度第5回(2019.8月15日)】
<委員質問>
生コンとセメントの価格に連動性はあるのか。
・物価調査会説明・回答
無いとは言えないが、連動性はあまり強くない。生コン価格は原材料より協組による共販事業の影響が大きいと言われている。
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<委員質問>
新潟地区の生コン価格が安いが、今後値上がりするのか、
・物価調査会説明・回答
協組が値上げを表明しているが、員外社の出荷量が協組を上回っているため、現状ではなんとも言えない。
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<委員質問>
生コン協組が表明した値上げが、市場に浸透したと判断する基準はあるのか。
・物価調査会説明・回答
調査地区の大口取りひkが対象で、値上げ価格が多数を占めたかどうか(最頻値)で判断している。
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<委員質問>
新潟地区の生コンは、一時期より4,500円下落し7,500円となっているが、協組は12,000円に戻したいという説明があった。需給バランスを踏まえて今後どうなるのか。
・物価調査会説明・回答
新潟地区の生コンは、2017年10月までに12,000円を維持していたが、その後、段階的に下落した。協組は12,000円に戻したい意向にあるが、員外社との競争もあり少し時間が掛かると思われる。ただし、7,500円よりもさらに安い値下げ販売は払拭されつつある。
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<委員質問>
東京地区の生コンは、「再開発関連で需要増が見込まれる」とあり、異形棒鋼は「夏場以降も早期の需要回復は期待薄」とある。見方が異なっている理由は。
・物価調査会説明・回答
生コンは他地区から持ち込むことが難しいなどの理由から、当該地区の需要が市況に影響を与える。捉えるエリアの大きさの違いで少し異なる表現となっている。
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【2019年度第6回(2019.9月123日)】
<委員質問>
東日本と西日本で生コン価格の値上げ幅に差が見られるのは、地域性によるものなのか。
・物価調査会説明・回答
生コン協組が1回あたりに打ち出す値上げ額は、ここ数年、西日本が東日本より大きい傾向にある。
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<委員質問>
東京17区の生コンで、協組は新たな値上げを年明けに表明する方針とあるが、具体的な金額などの情報はあるのか。また前回打ち出した値上げは達成したということか。
・物価調査会説明・回答
協組は、前回の値上げがほぼ達成されたものとして、改めて値上げをしたい意向であるが、今の所金額などは発表されていない。今後、時期・価格について正式な発表があると思われる。
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<委員質問>
大阪地区の生コンはここ数年で急激に上伸したが、特に大きな需要があるとも思えない局面でなぜ大幅な値上げが達成できたのか。
・物価調査会説明・回答
大阪府全域と兵庫県大半をエリアとする広域協組が、原材料価格や輸送コストの上昇などを理由に、員外社を協組に取り込むなどで強固な共販体制を構築し値上げを勧めた結果、大阪地区では3年超で計7,000円の値上げとなった。
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<委員質問>
コンクリート製品は、多くの地区で上伸している。今後もメーカーの値上げが浸透して上伸する傾向にあるのか。
・物価調査会説明・回答
協組が主体的に販売している地域では値上げが浸透しやすい傾向にある。全国的には、運転手不足に伴う物流コスト高の状況も見られるが、地域ごとに状況が異なるため一概にはいえない。
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【2019年度第7回(2019.10月15日)】
<委員質問>
東京オリパラ期間を避けるため、生コンの前倒し発生があると新聞に報道されていたが、実際にあるのか。
・物価調査会説明・回答
東京オリパラ期間中の交通混雑への対応が建設業界にとって課題となっており、一部のゼネコンが生コン打設をGW期間中などに前倒す案を検討していると聞いている。
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<委員質問>
コンクリート製品の「協組やメーカーの値上げが浸透し、上伸」というコメントについて、需要はそれほど伸びていないとの説明があった。値上げの理由は何か。
・物価調査会説明・回答
原材料費や輸送費、人件費などの製造コストの上昇がb値上げの主な理由である。
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<委員質問>
新潟地区の軽量コンクリートの「協組の値上げが浸透し、上伸」というコメントは、生コンと同じ内容と考えてよいか。
・物価調査会説明・回答
同じと考えてよい。
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<委員質問>
軽量コンクリートは、生コン工場で一般的に供給されているのか。それとも一部の生コン工場でしか供給できないのか。
・物価調査会説明・回答
すべての生コン工場が供給できるわけではない。新潟地区の場合、JIS認定を受けた協組のプラントが供給している。
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【2019年度第8回(2019.11月14日)】
<委員質問>
長崎地区のコンクリート製品価格が上昇した理由は何か。
・物価調査会説明・回答
メーカー各社が4月から共同販売を始め、運転手不足に伴う輸送コストの上昇を理由とした値上げを打ち出した。この値上げがここにきて浸透した。
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<委員質問>
加賀地区の生コンが北陸新幹線工事の影響を受けてひっ迫していると聞いているが、長崎地区や北海道地区でも新幹線工事の影響は出ているのか。
・物価調査会説明・回答
長崎地区や北海道地区において、新幹線工事向けの需要が資材の需給動向に大きな影響を与えているとは聞いていない。
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【2019年度第9回(2019.12月13日)】
<委員質問>
新潟地区の生コン価格は上昇傾向にあるが、12,000円まで戻ると予想しているのか。
・物価調査会説明・回答
どの程度まで価格が上伸するかは予想できないが、協組は当面1万円を目標にしているようである。今後も需給や員外社等の動向を注視したい。
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<委員質問>
生コン規格の「18-18-25」は、何を示しているのか。
・物価調査会説明・回答
左から順に、強度・スランプ値・粗骨材のサイズを示している。地区によって代表する規格は異なる。
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<委員質問>
伊賀、名張地区の生コン価格は以前から高い水準にあったが、さらに上伸した理由は何か。
・物価調査会説明・回答
需要減少に伴う固定比率、骨材やセメントなどの原材料価格、輸送コストが上昇したためである。また員外社が県内に2社しかないことも影響している。
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<委員質問>
東京17区の生コンで「来年?受付分より1,000円の値上げを表明」とあるが、すでに駆け込み需要は出ているのか。
・物価調査会説明・回答
今のところ駆け込み需要は見られないが、値上げ直前の2029年3月ころから出てくると見られる。協組は、今回の駆け込み需要の適用には厳格に対応する方針である。
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【2019年度第10回(2020.1月15日)】
<委員質問>
運転手不足は、全国的なものか。
・物価調査会説明・回答
「標準貨物自動車運送約款」の改訂などもあり、全国的に運転手不足が指摘されている。特に、中国地区など災害復旧事業が本格化している地区では、多くの自在で運転手不足に伴う運搬費上昇を理由とした値上げが打ち出されている。
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<委員質問>
東京地区における生コンの値上げ理由は、千葉県産の砂が少なくなり北海道産を使用するようになったためと聞いたが、なぜ突然千葉県で砂が取れなくなってしまったのか。
・物価調査会説明・回答
千葉県産の砂は、陸砂であるため、将来枯渇が懸念されている。東京地区の多くの生コンプラントは、将来を見据えた安定調達のために、品質を満足する調達先の確保に努めている。
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<委員質問>
東京地区で、生コン出荷量が大幅に減少しているが、生コンをあまり使用しない設計(鉄骨造、プレキャスト化など)に代わっていると考えられないか。
・物価調査会説明・回答
東京地区の生コン協組は、生コンをあまり使用しない設計への移行をある程度見込んで需要を見通したが、見通し以上に需要が落ち込んでいる。また、RC造からS造への移行、現場打からプレキャストへの移行を定量的に表すことは難しい。
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【2019年度第11回(2020.2月14日)】
<委員質問>
再生砕石は、東京、大阪に対して、札幌、仙台の価格が倍以上も高く推移するなど地域差が非常に大きい。この理由は何か。
・物価調査会説明・回答
再生砕石は、製品価格に含まれる運搬費の割合が高いことから、遠方から持ち込むことが難しく、非常に地域差が大きい製品である。価格は、地区ごとの需給バランスや原材料である廃材の発生状況などで決まると言われており、廃材発生量が多い東京や大阪などの大都市が一般的に安価な傾向にある。
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<委員質問>
大阪のレディ-ミクスとコンクリートのモニター調査結果を見ると、大阪の協組の組織率は100%であるはずなのに協組の共販価格と異なる回答がある。この理由は何か。
・物価調査会の説明・回答
小口取引や変動前の価格を回答している可能性があるためである。
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【2019年度第12回(2020.3月13日)】
<委員質問>
佐賀、大分地区のコンクリート製品の価格が上がっているようだが、理由は何か。
・物価調査会説明・回答
佐賀、大分地区にはコンクリート製品を販売する協同組合がある。佐賀地区では、周辺地区に比べ安価な製品価格を是正するための取り組みが組合主導で行われている。大分地区では、需要の減少に伴い製造固定比率が上昇しているため、組合主導で値上げが進められている。
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【2020年度第1回(2020.4月13日)】
<委員質問>
生コン市場各地区の協組の値上げ理由として、原材料と輸送コスト上昇を挙げている。原材料の主な構成は「セメント」と「骨材」、輸送コストの主な構成は「燃料費と「人件費」と考えると、「セメント代」は大きな変動はなく、「燃料費」の現状は下げ傾向なので、コスト上昇の主たる講師要素は「骨材料費」と「輸送人件費」と考えてよいか。
・物価調査会説明・回答
協組の値上げ理由であるコスト上昇のうち、原材料コストは、セメント及び骨材調達コストであり、輸送コストは、輸送にかかる人件費のことを指している。セメント及び骨材価格は、全国的に上昇している。また、輸送にかかる人件費も、ここ数年の運転手不足の影響などで、全国的に上昇傾向にある。
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<委員質問>
レディーミクストコンクリート(東京17区)の駆け込み注文は、何か月先の分までが可能となっているのか。
・物価調査会説明・回答
協組は、今回の駆け込み注文に対して、6月末までに納入が開始された場合に値上げ前の価格を適用するとしている。
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【2020年度第2回(2020.5月13日)】
・上伸した資材
レディーミクストコンクリート(郡上、諫早)
軽量コンクリート(名古屋)
コンクリートに関する審議は、ない。
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【2020年度第3回(2020.6月15日)】
<委員質問>
いくつかの地区で生コン価格が上伸した。これは、かなり以前から協組による値上げ交渉がこの時期になってようやく合意達成された個別事例ということか。また、生コン価格の全般的な市場動向としては、コロナ禍の影響により出荷量は激減しており、かつ先行き需要不透明のため、現状価格で横ばいということか。
・物価調査会説明・回答
今月上伸した地区における背景は、協組が以前から取り組んでいた値上げが浸透したものである。4月の全国の生コン出荷量は前年同月比7.3%減だが、増加している地区もあるため、一概に激減とは言えない。価格動向についても、地区ごとの状況によるところが大きく、協組の値上げ姿勢が強い地区などでは強含みとなっている。
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<委員質問>
建設コスト情報のコンクリート工事打設手間で今後の動向説明において「外国人労働者入国規制による人手不足の懸念」が挙げられている。これは、他の市場単価(例えば、鉄筋工、鉄筋加工組立工、普通合板型枠工など)にも共通して言えることか。それとも技能レベルの高低があるため、外国人労働者問題は、コンクリート工事打設工において特に懸念されることなのか。
・物価調査会説明・回答
専門工事業全般について言えることである。鉄筋工、型枠工、コンクリート工など技能職種において、外国人労働者は主に補助的作業に従事している場合が多く、現場では欠かせない人材となっている。今回の調査の中では、入国が困難な状況下で、特にコンクリート工事事業者から人材不足を懸念する声が挙がっていたが、これは必要とされる技能の差によるものではない。
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【2020年度第4回(2020.7月15日)】
・上伸した資材
レディーミクストコンクリート(紋別、千葉、洲本、三田、都城A、都城B)
コンクリート用砂(鶴岡A、鶴岡B、酒田、いわき、小田原市、南足柄、甲府、富士吉田、大月、甲州、身延)
コンクリート用砂利(甲府市、富士吉田市、大月市、甲州市)
コンクリートに関する審議は、ない。
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【2020年度第5回(2020.8月13日)】
<委員質問>
レディーミクストコンクリート(目黒、世田谷)の上伸した背景として「大型土木物件の発注」とあるが、具体的にはどのような物件化。また、この影響により建築物件も一律の値上げとなっているのか。
・物価調査会説明・回答
大型土木物件は9万5千m3の和田堀給水所などで、建築も用賀1丁目計画や青葉台1丁目計画など6千m3規模の物件がある。協組は建築物件についても同様に値上げを進めており、全規格で一律300円上伸した。
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<委員質問>
レディーミクストコンクリートで「工事の遅れを避けたい需要家は値上げに理解を示しつつあり、販売店との交渉に進展の兆しがみられる」とあるが、需要家への調査において、値上げ受け入れを示す回答が多数であったということなのか。
・物価調査会説明・回答
販売店及び需要家への調査において、現時点では、横ばいとの回答が大勢だが、一部に値上げを受け入れた若しくは今後の値上げは止む無しとの回答もあり、先行き強含みとした。
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<委員質問>
レディーミクストコンクリートの価格は、全国的に前月比が変わらない中で、最低価格である新潟地区が500円上昇して10,000円となり、先行き横ばいとの予測をしているが、員外社の占める割合が協同組合を上回っているという地域特性を考慮すると、今後さらに上昇する可能性はないのか。
・物価調査会説明・回答
協組と員外社は、現在の価格では充分な採算を確保できないとしている。しかぢ、協組の更なる値上げに対する需要家の抵抗は強く、先行き横ばいとしている。
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