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   .2020.03.08.
  潜水艦・おうりゅう:リチウムイオン電池・世界初使用!
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三菱重工神戸造船所で引き渡し式!
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南シナ海~マラッカ西まで!
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 防衛省は2020年3月5日(木)、(神戸市兵庫区)にて、潜水艦「おうりゅう」の引渡式および自衛艦旗授与式を実施した。
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 おうりゅうは「そうりゅう」型の11番艦で、建造費は約660億円。全長84×幅9・1×深さ10.3m、基準排水量2950トン、水中速力約20ノット。ディーゼル機関で発電し、蓄えた電気で水中走行し、世界初のリチウムイオン電池搭載潜水艦が就役しました。
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 神戸市兵庫区にある三菱重工業神戸造船所で建造された潜水艦「おうりゅう」の引き渡し式には三菱重工業や防衛省の関係者およそ85人が出席。
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 5日の式では、乗組員たちが順番に潜水艦に乗り込み、自衛隊艦旗を掲げて「おうりゅう」の引き渡しを祝いました。 「おうりゅう」は今後、広島県呉市の海上自衛隊第一潜水隊群に配備される。
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 おうりゅうは、水中動力を変更した最新艦である。従来は浮上状態ではディーゼル、水中では鉛電池とAIP(Air-Independent Propulsion:非大気依存推進)と呼ばれる水中エンジンを用いていた。そのうち後2者をリチウム・イオン電池に改めた新基軸艦である。
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 リチウム電池採用により水中行動力は一挙に拡大する。電池容量はおそらく8倍程度に増加する。リチウム電池の容量は鉛電池の4倍以上ある。また、撤去されたAIPエンジン部分にもおそらくリチウム電池が設置される。つまり容量4倍の電池を2倍積み込むのだ。
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 海自はこのリチウム潜水艦で何をしようとしているのだろうか?南シナ海でのゲール・デ・クルース(guerre de course)である。旧軍では「巡洋艦戦略」と訳された海軍戦略である。リチウム化による性能向上、具体的には長距離展開能力、戦域内移動力、接敵能力の強化はそれへの指向を示している。またAIP撤去も従来の待ち伏せ主要からゲリラ戦への変化を示唆している。
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 リチウム化により、海自潜水艦は倍以上も遠くまで進出できる。南シナ海展開は今よりも容易となる。あるいはマラッカ西口展開も実現性を帯びる。電池容量拡大と充電時間短縮の成果だ。
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 在来潜水艦は基本的には潜水状態で移動する。水中移動して、ディーゼルで充電してを繰り返す。スノーケル航行による移動はあまりやらない様子である。当然、移動力は制限される。鉛電池型では最大でも4kt(7km/h)、100時間、400nm(740km)程度だ。それで電池切れだ。そして充電を完了するまで10時間位はかかる。実際は放電量1/3~1/4で小充電をするのだろう。ただ能力はその程度である。
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 リチウム化により2-4倍となる。電力容量8倍はそれを可能とする。速力2倍で消費電力を4倍としてもなお2倍の時間移動できる。8ktで最大200時間、1600nmを移動できるのだ。
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 計算上、鉛電池では呉―バシー間は2週間程度を要する。それがリチウムでは6日半となる。さらには呉から10日で南沙諸島まで展開可能となる。
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 「潜水艦は乗員数で400~600倍の敵海軍を拘束する」ともいわれる。乗員65人の海自潜水艦1隻は1海面で中国海軍を3万人づつを拘束する計算となる。3海面並行しての対潜戦なら拘束規模は合計9万人にも及ぶだろう。
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