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   2019.11.17.
   過剰な地下水利用:今世紀半ば18億人に打撃!
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水資源の危機を招く!
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過去50年で地下水頼みの農地が急増 !
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 気温上昇と、米麦など穀物の需要増加で、世界の地下水は今後数十年のうちに激減する可能性があるとする研究結果が発表された。
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 食料のほぼ半分が、温暖で乾燥した地域で生産されている。そうした場所では、穀物に水を供給するために地下水の過剰なくみ上げが行われており、帯水層と呼ばれる地下の貯水層の水量が急速に減少している。
最新の研究によると、今世紀半ばには、「インド、パキスタン、ヨーロッパ南部、米国西部の広い範囲」で帯水層が枯渇する可能性があり、そうなれば食料供給が打撃を受け、また18億人もの人々がこの貴重な水源を利用できなくなる。
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 米国コロラド鉱山大学の水文学者インゲ・デ・グラーフ氏は、具体的にいつ、どこの帯水層の水が限界に達するのかを予測するため、1960年から2100年にかけての地域ごとの地下水の動向をシミュレートするモデルを開発した。
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 その結果、カリフォルニア州の農業の中心地であるセントラルバレー、トゥーレアリ盆地、サンホアキンバレー南部では、早くも2030年代には利用可能な地下水がなくなることがわかった。
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 インドの上ガンジス盆地やスペイン南部、イタリアでは、2040年から2060年の間に地下水が底をつく。
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 米カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州の地下に位置するオガララ帯水層南部は、2050年から2070年の間に枯渇する可能性がある。
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 こうした乾燥地域では、過去50年間で急速に農業が発展した。降水量が少なく、川や湖もほとんどないため、地下からくみ上げる水だけが頼りだ。
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 1960年以降、世界各地での過剰な水のくみ上げにより、すでにミシガン湖ひとつ分ほどの水が使われており、今後は気候変動と人口増加により、地下水の使用にさらに拍車がかかるものとみられる。地下水位が約90mよりも深くなり、くみ上げ費用が多くの利用者にとってあまりにも高額になってしまった時点で、その帯水層は枯渇したものとみなしている。
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 論文の共著者でオランダ、ユトレヒト大学の水文学者、マルク・ビエルケンス氏は、地下水の減少により、世界の食料供給は打撃を受けるだろうと述べている。現在、世界の食料生産の40%は地下水を使った灌漑に頼っている。同氏の試算によると、もし利用できる地下水の量が半減すれば、農業生産高はおよそ6%減少するという。つまり、それだけの割合が、持続不可能な地下水利用に完全に依存しているということだ。
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 地下水の枯渇によって影響を受けるのは食料だけではない。湿地帯の環境破壊や地盤沈下も引き起こされる。
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 2015年に行われた衛星観測による研究では、世界の主要な帯水層の大半(37カ所のうち21カ所)で、水が溜まるよりも速いペースで減少していることが明らかになった。「数多くの研究が、地下水の過剰な利用と、水や食料の安全がとてつもないリスクにさらされていることを指摘しています」と、NASAジェット推進研究所の水文学者ジェイ・ファミグリエッティ氏は述べている。「問題は、地下水があとどのくらい残っているのかがわからないことです」
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 グラーフ氏の研究は、帯水層の抱えるそうした問題に取り組もうとするものだ。通常の状態では、砂や透水性の高い岩の層は地中に染み込む雨、雪解け水、川の水などによって水が溜まり、涵養される。ところが猛烈なペースで水をくみ上げている現在のような状況では、特に降水量が少ない地域においては、水が減っていく量に涵養が追いつかない。
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 英農業灌漑の少なくとも20%が持続不可能な状態にあり、その半数近くが小麦や米といった商業作物に使われている。そして、こうした過度の地下水利用の3分の2は、パキスタン、インド、米国によるものだ。
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 持続可能な地下水の利用法についての専門家でもあるハーター氏は、セントラルバレーの地下水が2030年までに枯渇することはないと考えている。同地域の帯水層では、過去数十年間にわたって過剰なくみ上げが行われてきた上、近年カリフォルニア州全土を襲った干ばつにより、事態はさらに悪化している。それでも、この貴重な水源を守る望みはまだ残されていると同氏は指摘する。カリフォルニア州は数年前、地下水規制法を成立させ、地域ごとの管理機関に持続可能な使用計画を立てることを義務付け、無秩序なくみ上げを制限する権限を与えた。
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 日本政府も農協も企業も個人も、日本全体で農業のありかたそのものを根本的に見直していくことが重要だが、それでも2050年の日本の自給率は5割がせいぜいではないかと予測されている。そのわけは――。
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 2050年、世界の人口が90億人を突破する一方で、日本の人口は1億人を下回ると予測され、日本の食の未来はどうなるのか。
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 日本の農家の7割以上が零細農家であり、農地の約4割が山地と平野の間の傾斜地(中山間地)にあり、生産量を増やすための有効手段である農地の大規模化をするのは難しい。
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 世界の食料危機が現実となったときに日本がその難を少しでも回避するためには、国内の農業資源をフル活用することが必須だ。それにはすべての農家がすべての農地で効率よく作物をつくることが重要であり、うした問題を踏まえて日本の農業の生産性を高めていくには平地と中山間地を分けて考える必要があると専門家は言う。
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 日本がいま輸入している3000万トンの穀物を日本で生産するとなると新たに1200万haの農地を開拓しなければならないという。また、現在1000万トンの食料を生産するのに約600億トンの水が必要だが、日本で恒常的に使われている水量は800億トンほどであり、新たに3000万トンの食料を生産するための水を確保するのは非常に難しい。
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