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米がアジア配備なら対抗・ロシア外務次官!
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「INF条約」破棄を決断させた中国の脅威!
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米国のトランプ大統領は、2018年10月20日旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を表明した。INF条約はあくまで中距離ミサイルの禁止であり、核兵器自体の禁止や削減ではない。
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この条約は、中国が中距離ミサイルを大増強することを許し、米国にその抑止の対抗手段をとることを禁じてきた。中国の中距離ミサイルは日本を射程に入れている。この現実からみれば、米国の同条約離脱は、日本の安全保障にとって対中抑止力を高める効果を生む側面もある。
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INFは、米ソ両国に、核弾頭および非核の通常弾頭を搭載できる地上配備の「中距離ミサイル」を全廃することを課していた。水上や空中から発射する中距離ミサイルは除外されていた。
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中距離ミサイルとは、射程500kmから5500kmまでの弾道、巡航両方のミサイルを指す。この「中距離」の定義は、従来のミサイル区分の「短距離」(射程1000kmまで)、「準中距離」(1000から3000kmまで)、「中距離」(3000から5500kmまで)のすべてを含んでいた。だから米国もソ連、そしてその後継国家とされたロシアも、この条約を守ることによって、これらの幅広いカテゴリーのミサイルは一切開発も保有も配備もできないことになっていた。
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INF条約は核兵器の削減や破棄の条約ではなく、単に特定の種類のミサイルの全廃条約だったのだ。
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米国側は今回のこの条約破棄の理由として、まず「ロシア側の条約違反」を挙げた。ロシアが2014年ごろから条約に違反して新型の地上発射巡航ミサイルを製造し、配備しているという非難である。
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ロシア外務省のリャプコフ外務次官は10月5日、米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を受けて記者会見し、米国がアジアに中距離ミサイルを配備すれば対抗措置を取ると言明した。日本が米国から導入する地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」も攻撃用ミサイルの発射が可能との認識を示し、対抗策を検討していることを示唆した。
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INF廃棄条約が8月3日に失効した。エスパー米国防長官がアジアへの中距離ミサイル配備に意欲を見せたのに対し、リャプコフ氏は「脅威に対抗するための措置を取る」と述べた。ミサイル配備の場所は「米国次第」とした。日本のイージス・アショアについては攻撃に転用可能と主張し、「配備された時は考慮する」と警告した。アジアで軍拡競争の懸念が強まると予想される。
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2021年に失効する米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長に関する協議は進んでいない。ロシアは米国の同盟国である日本や欧州各国の危機感をあおり、米ロの軍縮協議を促す機運を高める狙いとみられる。リャプコフ氏は米国が中距離ミサイルを展開しない限り、ロシアも配備しないとして、米国と北大西洋条約機構(NATO)に配備を見合わせるよう呼びかけた。
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INF廃棄条約は射程500~5500kmの地上配備型ミサイルの全廃を定めている。米国がロシアの違反を理由に義務履行を停止し、失効した。ロシアは違反を認めていない。リャプコフ氏は「米国が条約を破棄した理由はアジアにおける政治、軍事情勢の変化だ」と指摘し、米国の責任を強調した。
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中距離核戦力(INF)全廃条約が失効したことを受け、アメリカが2020年末~21年にかけて、沖縄や北海道を含む本土への中距離ミサイルの配備を目指し、日本側と協議することが分かった。すでにその意向がロシア側にも伝えられ、日露平和条約の交渉にも影響を与える見込みであることを、琉球新報が3日、ロシア政府関係者の話として報じた。
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新しいミサイルの配備先は、日本、オーストラリア、フィリピン、ベトナムの4カ国が候補。アメリカは、尖閣諸島や南沙諸島の問題をめぐり、中国との限定的な軍事衝突が2~3年以内に起きることを想定し、米軍基地の増強を重視している。これに対しロシアは、ミサイルが日本に配備されれば、極東地域が射程に入るため、日露平和条約の交渉が白紙になる可能性を指摘したという。
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