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領土交渉・平和条約、期限設けず継続!
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安倍晋三首相は6月29日夜、ロシアのプーチン大統領と大阪市内のホテルで会談し、北方領土問題を含む平和条約締結交渉を継続する方針を確認した。領土の主権を巡る隔たりが埋まっておらず、新たな目標期限の設定などは行わなかった。一方、ロシアが北極圏で計画する液化天然ガス(LNG)プロジェクトに日本企業が出資する契約を正式にまとめた。両政府は信頼醸成を図りながら決着を図る方針だ。
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首相は会談後の共同記者発表で平和条約交渉について「困難な問題で立場の隔たりを克服するのは簡単ではないが、乗り越えるべき課題の輪郭は明確になってきている」と述べた。プーチン氏は「綿密な作業が必要だ」と述べ、交渉長期化の可能性を示した。
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首脳はロシアの民間ガス最大手ノバテクが、北極圏のヤマル半島は、日露の8項目の経済協力プランにかかわるロシア企業関係者の査証(ビザ)緩和▽北方四島の共同経済活動のうち、観光ツアーとごみ処理は今年秋に試験事業を始める▽8月か9月に元島民による空路墓参を実施――も確認した。
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日露首脳会談で、北方領土問題に関する大きな進展はなかった。日本側では2018年11月以降、領土交渉への期待が高まったが、ロシアのプーチン政権は領土問題を棚上げにする思惑を鮮明にしてきた。ロシアの国内情勢と国際情勢の両面から、プーチン政権が態度を軟化させることは考えにくい。
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ロシアは平和条約交渉を進展させる条件として、「北方領土が第二次大戦の結果としてロシア領になったと認めよ」「日米安全保障条約に関するロシアの懸念を払拭せよ」という2点を突きつけている。前者に応じれば交渉は土台から崩れる。後者については、日米関係に揺さぶりをかける意図が明らかだ。
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政治、経済、文化など全ての分野で日露関係が発展すれば、領土問題は後面に退き、解決が容易になる-。ロシアはこんな論理を主張し、日本にビザ(査証)の緩和や積極的な投資を求めている。
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プーチン政権の基盤が弱体化している中、対外強硬路線や領土拡大で支持率を高めたプーチン氏が、日本に「弱腰」を見せるのは難しい。
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米中関係が「新冷戦」と呼ばれるほどに悪化していることも逆風となった。ロシアは日本を「米国の同盟国」とみなす傾向を強め、安全保障と経済の両面で中国との結束をいっそう重視している。ロシアは、過度の中国依存を避けるために日本との友好関係が必要だとは考えているが、現時点での日本の重要度はそれ以上でない。
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