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   2018.12.19.
   世界を20分も駆け巡った謎の地震!
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誰も揺れを感じていない!
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推論は沢山あるが原因は特定されていない!
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 2018年11月11日の朝、世界時(UT)で9:30になる直前に、謎の揺れが世界を駆け巡った。
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 その地震は、アフリカ大陸の東海岸とマダガスカルの北端とに挟まれる、仏領マヨット島の24kmほど沖で発生した。震動はザンビア、ケニア、エチオピアといったアフリカ諸国のみならず、チリ、ニュージーランド、カナダ、そして1万8000km近くも離れたハワイにまで到達した。
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 加えて、地震は20分以上続いた。にもかかわらず、揺れを感じた人間は誰もいなかった。
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 異変に気づいたのは、米国地質調査所のリアルタイム地震観測モニターを見ていた、ある人物だった。ハンドルネーム「@matarikipax」という地震マニアが、この奇妙なジグザグの波形の画像をツイッターにアップロードした。このちょっとした行動は、世界中の研究者たちが震動の原因を探ろうとするという、別の波紋を広げた。隕石が衝突したのか? 海底火山の噴火なのか? 海の底から古代の怪物が現れたのか?
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 通常の地震では、地殻にたまったひずみが解放される際に、ものの数秒で揺れが起こる。
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 最も速い波はプライマリー波、略してP波と呼ばれ、波が進む方向に伸び縮みが伝わる圧縮波である。次に来るのがセカンダリー波、略してS波と呼ばれ、波の進行方向に対して横に揺れる波だ。これらはいずれも実体波と呼ばれ、比較的高い周波数を持っている。最後に来るのは、ゆっくりとした揺れが長く続く表面波だ。マヨット島の奇妙な震動はこれに似ている。
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 ところが、マヨット島沖で記録された地震には、表面波を引き起こすような大きな地震は先に起きていなかった。加えて、科学者が「単調」と表現する不思議な性質があった。大抵の地震は多くの異なる周波数の波を生じさせるが、マヨットの場合は、きっかり17秒ごとに繰り返す、きれいな波形が1種類だけ記録されていたのだ。
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 今回の地震は、18年5月からマヨット島を襲ってきた群発地震と関連しているようだ。当時、今回の奇妙な揺れが発生した場所の少し東、マヨット島の約50km沖で、何百という地震が起きた。ほとんどは小さなものだったが、5月15日には、マヨットの観測史上最大のM5.8を記録した。11月11日に謎の震動が始まったとき、いわゆる普通の地震は起こっていないのだ。
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 フランス地質調査所(BRGM)が11月の地震を詳細に調べているが、どうやら沖合で新しい火山活動が始まっているらしいとわかってきた。
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 11月11日の出来事はやはり、マグニチュード5クラスの地震によって起きたのだろうと見ている。同氏の推察によれば、いわゆるスロー地震だったために、ほとんどの人が気づかなかった。こうしたゆっくりとした地震は大抵、火山活動によるものだ。
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 マヨット島でスローな揺れを起こしているのは何なのか? 海底火山の噴火がこうした低周波の震動を起こすことはあり得るが、今のところ、そうした証拠はない。
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 現在の仮説は主に、地殻の移動かマグマだまりの崩壊によって、マグマだまりの中で何かが共振したのが原因ではないかというものだ。エクストローム氏によると、共振そのものは、溶岩の揺れやマグマに伝わる圧縮波など、リズムを持った動きであれば何でも該当し得る。地震波の特徴を調べれば、地中深くでうごめく溶融物質の大きさや形を推測できるかもしれない。
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 「マグマだまりが崩壊するとき、膨張と収縮が両方同時に起こることがあるんです」と同氏は説明する。また、地球が呼吸するかのように、マグマだまりが膨張と収縮を繰り返すこともある。
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 この地域についてより詳しい情報を取得し、海底火山噴火の可能性を探るため、海底調査を行う予定だ。それまでの間は、今あるデータでの推測が続くことになる。原因がごく普通のことなのか、特殊なことなのか、それはいまだにわからない。
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