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無謀な経営の実態とは!
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金融庁は地方銀行・西京銀行、信金大手、西武信用金庫(東京都中野区) に立ち入り検査する方針を固めた。不動産会社TATERUの不動産投資向け融資で業者の書類改ざんを見抜けず、多額の貸出を行っていた可能性が高いという。
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不正は今年8月、東証1部上場の不動産会社TATERUでの、新築アパート向け投資で判明した。同社の従業員が融資審査を通りやすくするため、新築アパートに投資したい顧客のネットバンキング画面を改ざんして預金残高を多く装っていた。
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オーナーがスルガ銀行のニュースを聞いて不審を覚え、東京ローンセンターを通じて、書類を確認したところ、不正が発覚。弁護士に相談し、契約解除となった。
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西部信金は、「日本一儲かっている信金」とも言われたが「儲かっているところに限って叩けばほこりが出る」ような次第になっており、「早くも“第二のスルガ銀行か”と取り沙汰され始めた。杜撰な融資の背後にあると指摘されているのが、落合寛司理事長(68)の存在です」(金融庁関係者)
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10年に理事長に就任した落合氏は、独自の経営スタイルで“信金界の麒麟児”と持て囃されてきた。定年制を撤廃し、人事異動も自己申告に変えるなど“働き方改革”も断行。落合氏が語ったところによれば、「年収400万円の若手が支店長になり、一気に年収1300万円になったケースもある」という。自身の年収も8000万円前後とメガバンクのトップ並みとされる。
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「言葉遣いも独特です。融資量の伸びを『お客さま元気度曲線』と呼び、『商品は“解決力”』をスローガンに掲げてきました」(同前)
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理事長に就任してからの8年間で、貸出残高は約1兆7000億円(17年度)へとほぼ倍増させている。さらに、信金界の平均預貸率(預金に占める貸出の割合)は50%程度にとどまる中、西武信金のそれは驚異の85%超だ。
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“落合マジック”の実態とは、「他の信金が低金利下で貸出先に苦慮する中、その手腕は“落合マジック”と称された。落合氏が掲げる解決型の提案営業が功を奏した結果と見られていたが、実態はお客様を元気にするどころか、不動産投資向け融資に依存した無理な経営だったようです」(地銀幹部)
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その落合氏の後ろ盾だったのが、スルガ銀のことも「地銀の優等生」と持ち上げてきた森信親前金融庁長官だ。
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「そもそも信金は銀行とは異なり、会員の相互扶助が目的の非営利法人ですが、森氏は拡大路線を取ってきた西武信金を『信金の雄』と呼んできた。16年11月に開催された第5回産業金融フォーラムでも、森氏がまず基調講演で西武信金を褒め称え、続けて落合氏が対談企画に登壇していました」(同前)
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森氏は今秋から米コロンビア大国際公共政策大学院で非常勤教授として、日本の金融政策などを教えている。スルガ銀と西武信金の実例こそ、最大の教材だろう。
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TATERUは今年5月、投資用アパートの融資にあたってオーナーの預金残高を改ざんして金融機関に提出していたことが発覚。今月4日に外部の専門アドバイザーを中心とした特別調査委員会を設置し、ほかに預金残高の改ざんがあったかどうかを調べているが、取材に対して複数のオーナーが「預金残高の改ざんが行われていた」と証言した。
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TATERUが無理に融資を通そうという姿勢は、創業当初から一貫していたようだ。
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「当時は20、30人規模の会社で、社長が家まで来てアパート経営のメリットを説明してくれたりしました。買いたいという要望がある人には、何が何でも融資を引っ張ろうとしていたという印象でした」
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TATERUが「インベスターズ」という社名だった2007年から3年続けて計3棟購入した愛知県の50代男性は「インベスターズは当時スルガ銀行とタッグを組んでいて、高い金利でも融資を引いて1、2年経てば借り換えできるという説明をしていました」と語る。「毎月インベスターズのオーナーの集まりがあったんですが、営業マンは口をそろえて『スルガ銀行からならいくらでも引っ張れます』みたいなことを吹聴していたので、よっぽど融資が通りやすいんだなと感じた記憶はあります」
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㈱TATERU 会社謄本
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