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   2018.09.26.
   米中貿易戦争:米国の真の目的はどこに!
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助けたのに・共産主義中国に恩をあだで返された!
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 米中貿易戦争の議論の中で抜け落ちているのが「貿易戦争」は本当の殺し合いをする戦争の一部であるということである。
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 「天井の無いアウシュビッツ」と呼ばれるウイグルの問題を米国が最近クローズアップしてきたのは、「貿易戦争」と呼ばれるものが実は貿易だけの問題では無いということを如実に示している。
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 米国を差し置いて「日中国交回復」を実現した田中角栄元首相は、米国の逆鱗に触れてロッキード事件でつぶされたと巷で噂されるが、米中国交回復は1978年。日中国交回復に遅れること6年でようやく実現した。
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 自由主義を信奉する米国は、もともと共産主義独裁国家を毛嫌いしていたのである。
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 ただ、米中国交回復以後は「豊かになれば共産主義独裁国家もいつか民主化するのでは無いか?」という考えで積極的に中国の発展を支援した。米国だけでは無く欧州でもその考えが主流であった。
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 ところが、米国の背中が見えるほど巨大になったにもかかわらず、共産主義中国の民主化は一向に進展せず普通選挙さえいまだに実現されていない。行われているのは共産党が仕切る翼賛選挙だけだ。
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 それどころか、習近平氏は、大躍進と文化大革命で中国人民を大量虐殺した毛沢東を目指すとまで言い始めている。
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 さらに、「天井の無いアウシュビッツ」は見過ごせない状況になってきている。また、南シナ海などでの領土的野心を隠さない行為も米国を大いに刺激しているはずである。
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 多くの日本人同様、米国民も「共産主義中国に恩をあだで返された」と感じているに違いない。
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 「いつか民主化するのではないか」という甘い考えが幻想であることが分かれば、共産主義中国にどのように米国が対応すべきかは明らかである。
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 関税だけでは無く、中国企業の米国内の活動そのもの国防上の観点から大幅に規制しようとするZTEに対するようなアクションは、まさに「戦争に備える国防問題」なのである。
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 北朝鮮のICBMが米国本土に届くかもしれないということが話題になり、それを阻止することがトランプ大統領にとって重要課題だが、共産主義中国の核兵器やICBMは、米国にとってそれをはるかに上回る現実の軍事的脅威なのである。
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 ただ、現在、徴兵制を停止(制度そのものは現在も存続。停止したのは議員の息子が徴兵されることによって、ベトナム反戦運動が激化したため)している米国が、米国の若者の血を大量に流す本物の戦争を長期間続行するのは、国民からの人気を人一倍気にするトランプ大統領が避けたいことである。
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 北朝鮮や共産主義中国などのならず者国家は、その事情を見透かしているフシがある。
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  米国は、どのような国も太刀打ちできない最新兵器に裏打ちされた強大な軍事力だけでは無く、血を流さない戦争=「無血戦争」においても圧倒的な強さを持っているのである。
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  前述の「貿易戦争」もその1つだし、本当の戦争で言えば「海上封鎖」に相当するような「経済制裁」も、ボディーブローのようにじわじわ効いてくる効果的な戦略といえよう。対北朝鮮では、この戦略を極めて有効に活用している。
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  「無血戦争」における米国最大の武器は「金融」である。
世界の資金の流れを支配しているのは間違いなく米国なのである。戦争用語の「制空権」ならぬ「制金権」を米国が握っているというわけだ。
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  例えば、北朝鮮やイランの高官の口座を経済制裁の一環として凍結したというようなニュースを聞くことがあると思う。その時に、「どうやって口座を調べたのだろう」という疑問を持たないだろうか? 
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  このような人物が本名で海外に口座を開くとは考えにくく、当然偽名やトンネル会社などを使用する。しかし、そのような偽装をしても、FBIやCIAの捜査官は、例えば田中一郎という口座名義人が、実は大原浩であるということを、口座間の送金履歴、入出金履歴などを解析して簡単に見つけ出すことができる。
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 この基本技術は、人間経済科学研究所の代表・有地浩が30年ほど前にFBIで研修を受けたときにはすでに実用化されていた。
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  その後、日本でもテロ対策、マネー・ロンダリング対策で銀行口座開設や送金の際の本人確認が非常に厳しくなって「面倒くさい」と思っている読者も多いと思う。これは日本政府や銀行協会の方針でというよりも、米国の指示による。つまり日本だけでは無く世界的な現象なのである。
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  以前、スイスのプライベートバンクの匿名性が攻撃され、口座情報が丸裸にされたのもこの戦略と関係がある。ナチス残党の秘密口座などがやり玉に挙がっていたが、本当のところは、米国の敵国(実は同盟国も……)の指導者の口座情報を得るための手段であり、スイス政府に猛烈な圧力をかけたのである。
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  米国の同盟国・親密国においては、どのような偽装をしても米国の監視の目からは逃れられないということである。
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  北朝鮮、共産主義中国など米国と敵対している国々のほとんどは、汚職で蓄財した個人資産を保管しておくには適さない。いつ政権が転覆したり革命が起きるかわからないので、米国やその同盟国(親密国)の口座に保管をするしかない。
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  米国と敵対する国々の指導者の目的は、もちろん国民の幸福では無く、建前は色々と言っているが、個人の蓄財と権力の拡大であるから、彼らの海外口座の個人資産を締めあげれば簡単に米国にひれ伏す。
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  孫子は「戦わずして勝つ」ことを最良の戦略としているが、まさに多くの手法を駆使した「無血戦争」で、連勝を続けているトランプ氏は、歴代まれに見る策士の才能を持った大統領なのかもしれない。
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  1989年のベルリンの崩壊と1991年のソ連邦の崩壊で冷戦が終了し、共産主義国家はいずれ消え去ると思われていた。ところが共産主義国家群はしぶとく生き残り、共産主義中国のように資本主義のいいとこどりをして、一時的に繁栄する国まで出てきたが、全体主義的・専制主義的国家が現代の先進的経済社会で繁栄し続けることはありえない。
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  小手先で市場化・民主化を気取っても、「国家の繁栄」によって国民が民主化を要求するようになることが、共産党にとって最大の脅威なのだ。だから、結局経済的繁栄よりも一党支配による独裁を選ばざるを得ない。
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  中間選挙でのトランプ氏の行く末が注目を浴びているが、それがどうなろうと、長年準備されてきた「対中無血戦争」は、中国が全面降伏するまで延々と続く。
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