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   2018.09.14.
   「一帯一路」鉄道計画:エチオピアで頓挫!
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中国融資減速!
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原因はGDPの59%が債務!
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 エチオピアは、シルクロード経済圏構想「一帯一路」の「モデル国家」として、中国共産党の専門家から称賛されている。中国政府は一帯一路に1260億ドル(約14兆円)を投資して、自国とユーラシア、アフリカ大陸をつなぐ鉄道、道路、海路の構築を目指している。
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しかし、「アフリカの角」に位置する人口1億人のエチオピアは債務返済で苦境に立たされており、同国の主な債権者である中国が、一部のインフラ計画の収益性に懸念を強めて融資を鈍化させる兆しが見えている。
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 「出資者は、エチオピアのGDP(国内総生産)の59%に及ぶ債務の返済リスクが非常に高まっていることを懸念している」と、エチオピアの首都アディスアベバのアフリカ連合(AU)本部への中国代表団は7月、ウェブサイトで表明した。
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 それによると、中国の対エチオピア投資は減速しており、中国輸出信用保険公司はエチオピアへの投資規模を縮小しているとしている。
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 米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の中国アフリカ研究所(CARI)によると、エチオピアは天然資源に乏しいにもかかわらず、中国からの融資においてアフリカ諸国のなかでトップを占め、中国国有の政策銀行は2000年以降、121億ドル以上融資を拡大している。
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 1991年に軍事政権が崩壊後、同国を率いる与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)の連立政権は、2015年までに中所得国になることを目指し、道路や鉄道、工業団地の建設など製造業主導の産業国になるという野心的な構想を進めている。だがそれにより、債務は増加の一途をたどっている。
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 エチオピア中央銀行のYinager Dessie総裁は7月、ロイターに対し、同国政府は中国からの債務を減らしたいと考えていると語った。同総裁によると、エチオピアの2国間債務の大半は中国からのものだという。
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「向こう数カ月間にわたり、協議がもたれるだろう。債務返済の選択肢を広げる上で、落としどころがどの辺になるかまだ分からない」と同総裁は語った。
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 内陸に位置するエチオピアにおける交通整備プロジェクトの収益性に対する中国の懸念は、なかでもアディスアベバとジブチ港を結ぶ標準軌間の鉄道に集中しているが、中国が融資するエチオピア首都アディスアベバ周辺の軽量鉄道とエチオピア─ジブチ間の鉄道プロジェクトを挙げ、「プロジェクトの持続可能性は低い」との見方が党機関紙の光明日報で掲載されている。
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「追加のインフラ整備やサービス、保守において十分な検討がされていない」と指摘されている。
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 鉄道プロジェクトの主要部分は2016年に開通したが、ウォルディアからメケレまで北方に路線を拡張するための中国からの融資は度々遅れており、中国輸出入銀行からの完全な融資パッケージはまだ実行されていないと、清華大学のTang
Xiaoyang教授は語った。同教授はエチオピアで実地調査を行っている。
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 同教授によれば、遅れを生じさせている主な懸念は、プロジェクトの経済的な持続性と実行可能性だという。
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 中国輸出入銀行と中国交通建設(CCCC)はコメント要請に応じなかった。
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 「中国輸出入銀行は新規プロジェクトに対し、ますますリスクを回避するようになっている」と、前出CARIのYunnan Chen研究員は言う。
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 エチオピアはFOCACで、プロジェクトの打開を期待していると、同研究員はみている。
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 「このように突破口を探ることはFOCACの活動の1つであり、同フォーラムへの注目が、エチオピアのようなアフリカの国にとって中国から言質を取る格好の機会となる」と語った。
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