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民間居住地・国際法で禁止の兵器!
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ロシアは白リン弾を非難する資格が無い!
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ロシアは9月9日、シリア東部の民間人居住地域の軍事目標に対する爆撃に、米国が白リン弾を使用したと非難した。白リン弾の使用は、国際法で禁じられている。
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ロシア軍司令官は、「米軍のF15戦闘機2機が8日、デリゾール県ハジンを標的に、自然発火性を有する白リン弾を使用して爆撃を実施した」と指摘した上で、「これらの爆撃ですさまじい火災が発生した。死傷被害に関する情報を確認中だ」と明かした。
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シリアではイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、ユーフラテス川(Euphrates River)と対イラク国境に挟まれたデリゾール県内の孤立地域を現在も支配している他、広大なシリア砂漠にもとどまっている。
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米主導の有志連合は、IS掃討を目指して何か月も攻撃を行っているクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」の戦闘員らを支援している。
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白リン弾は、民間人に対する使用に加え、民間人が多く居住して いる地域内の軍事目標に対する使用についても、ジュネーブ条約で禁止されている。
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ロシアは9月9日、シリアでアメリカ軍のF-15戦闘機が国際法違反の焼夷兵器である白リン弾を使用したと非難しているが、この非難は三重に間違ったものであると反論。
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1.F-15戦闘機に搭載できる白リン弾は存在しない
アメリカ軍が使用している白リン弾は、榴弾砲や迫撃砲から発射する発煙弾や、位置を知らせる目的のマーカー弾などがあります。
しかしF-15戦闘機に搭載できるような白リン弾は兵器の種類として存在していません。無いものは積みようがないので、ロシア側の誤認だと考えられます。可能性としてはF-15戦闘機がフレアと呼ばれるミサイル回避用の囮熱源を放出していた場合、光弾が連続射出される様子から攻撃と誤認したケースはありえます。なおフレアの成分はマグネシウムなどで、白リンは使用されていません。
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2.白リン弾は発煙弾なら国際法で使用を禁じられていない
焼夷兵器の市街地での使用を制限する国際条約はジュネーブ条約ではなく特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の「焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)」になりますが、禁止されているのは攻撃用に設計された焼夷兵器に限られ、発煙弾やマーカー弾など焼夷効果が付随的なものは禁止されていません。
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攻撃用に設計された焼夷兵器であるなら市街地で使用しただけで条約違反となりますが、発煙弾として設計された白リン弾は使用しただけでは条約違反にならない。ただし発煙弾であっても攻撃目的で使用した場合は条約違反になるので、条約違反だと指摘する場合はその証明が必要になる。白リン発煙弾は条約上、明確に禁止されている存在ではない。そしてアメリカ軍は発煙弾として設計された白リン弾は保有しているが、攻撃用に設計された白リン弾は保有していない。
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3.ロシア自身がシリアで攻撃的な焼夷兵器を使用している
シリアではこれまで何度もロシア軍ないしアサド政権軍による焼夷兵器による攻撃が確認されている。使用された焼夷弾はロシア製クラスター型テルミット焼夷弾「RBK-250
ZAB-2.5」など種類まで複数が特定されており、これらは明らかに攻撃用に設計されたもので、市街地での使用は国際条約に違反している。またウクライナの戦闘でもロシア製多連装ロケット「BM-21グラード」用のクラスター焼夷弾型ロケット「9M22S」の使用が確認されており、ウクライナ軍またはロシア軍あるいは双方が使用していることが確実。
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ロシア自身が焼夷兵器の使用を止めなければ、ロシアが他国の焼夷兵器の使用を非難する資格は無い筈だが、ロシアは平然と自分たちの使用を否定し相手だけを非難している。
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【白リン弾(白燐弾、はくリンだん)】
手榴弾、砲弾、爆弾、煙幕弾の一種で、充填する白リンが大気中で
自然燃焼すると吸湿して透過性の極めて悪い五酸化二リンの煙を発
生させ、利用する。白リンは大気中で自然発火する。そのため、焼
夷弾として用いられた場合には消火後も再度引火する可能性がある
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