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   2018.06.26.
   千葉県:要求受け不正に入札中止!
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参加資格ない会社を救済!
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 千葉県は6月16日、安房土木事務所が発注する工事の指名競争入札で、参加基準を満たさない建設会社を指名するため、既に指名通知を終えていた入札を中止する不正があったと発表した。県は公正取引委員会などに通報したうえで、事務所の所長と次長を処分する方針だ。
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 不正があったのは、安房土木事務所が予定価格4800万円で発注手続きを進めていた南房総市にある法面の落石対策工事。事務所は指名会社を12社選び、5月11日に各社に通知していたが、開札前の同16日に入札の中止を発表した。 
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 県の調査によると、入札を中止する直前、指名されなかった南房総市の建設会社の社長が事務所を2回訪れ、同社を指名会社に加えるよう要望していた。この会社は、発注工種で直近2年間の平均完成工事高が工事金額を下回っていたため、入札への参加基準を満たさなかった。
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 要望を受けた安房土木事務所の所長と次長は、同社が今回の発注工事と同じ区域で施工実績がある点などを評価。入札の中止を決めた後、この建設会社を指名できるように工事の規模を縮小し、再び入札を実施するよう担当者に指示していた。
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 外部から「安房土木事務所が不正な意図で入札を急きょ中止した」との情報が県に寄せられ、発覚した。県は再発防止へ公共工事に関わる幹部に対し近く研修会を開く。
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<安房土木事務所での入札中止について>
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発表日:平成30年6月15日
            県土整備部県土整備政策課
            県土整備部建設・不動産業課
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千葉県安房土木事務所が発注を予定していた災害防除工事について
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、「不正な意図で入札を急きょ中止した」旨の情報が寄せられたため、公正入札調査委員会において、調査を実施した結果、指名業者の選定後、特定の事業者を指名業者に加えるために、本来中止すべきでない入札を中止し、工事内容を変更しようとしたことが判明しました。
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このような行為は、入札制度への信頼を揺るがしかねない極めて不適切な行為であり、御迷惑をおかけしました関係者の方々、また、県民の皆様に対し深くお詫び申し上げます。
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今後、このようなことが起こらないよう、入札制度の適正な運用に努めてまいります。
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1 対象工事
発注事務所:安房土木事務所
工事名:防災・安全交付金(災害防除)工事(根本・法面工)
発注予定金額:約48百万円(発注工種:とび・土工・コンクリート工事)
指名業者数:12者
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2 経緯
(1)調査に至る経緯
5月18日、県庁あてに、「安房土木事務所が不正な意図で入札を急きょ中止した」旨のメールが着信したことから、安房土木事務所への電話確認を行ったところ、「別の箇所も工事する必要が生じたため、そちらにも予算を充てるために入札を中止した。」との回答がありました。

上記回答では、詳細が不明であったため、同日、公正入札調査委員会を開催し、当該メールの内容及び、上記回答の妥当性を確認するため、職員を派遣し調査を行うことを決定しました。
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(2)調査の概要
公正入札調査委員会での検討を踏まえ、5月19日以降、関係職員からの聞き取り調査等を実施し、事実関係の確認及び法的評価等について検討を行いました。
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3 事案の調査結果
(1)安房土木事務所における経緯
4月中旬
南房総市白浜町根本地区の災害防除工事について、5千万円の予算が確保されていたことから、担当課において具体的な工事箇所・工事量・工期等を検討し、担当職員が設計書を作成
5月8日
指名業者選定審査会開催、指名業者を選定
5月11日
指名通知(入札予定:5月28・29日、開札予定:5月29日)
5月14日
所長不在時に事業者Xの社長が来所し、次長に対して当該工区での施工実績を理由に指名を要望
5月15日
事業者Xの社長が来所し、再度、所長・次長に指名を要望
5月16日
所長が当該工事の中止を決定し、指名業者に入札中止を通知所長が担当職員に対し、新たな設計書の作成を指示
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(2)聞き取り調査結果について
職員からの聞き取り調査の結果、入札制度への信頼を揺るがしかねない極めて不適切な行為であったことが判明しました。
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ア 確認した不適切な行為
<1>入札の中止は、事業者Xを新たに発注する工事の指名業者に加えるためのものであり、5月18日に回答した中止理由[2(1)]は、所長と次長が協議して考えたものであること。
<2>事業者Xを指名業者に加えるため、事業者Xの年間平均完成工事高に合わせた事業費での設計を担当者へ指示したこと。
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*年間平均完成工事高(完工高):直前2年で請け負った工事の平均額
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イ アの行為を行った際の認識
<1>施工区域で施工実績のある事業者については、「地域精通度」を評価し、多くの場合入札に参加しているという状況があり、落札できるかどうかは関知しないが、指名業者に加えるべきではないか、という考えに至った。
<2>指名業者選定審査会で、確認すべき項目である「施工実績」を確認しなかったことから、事務所に落ち度があった、と感じた。
<3>事務所として何らかの理由が説明できれば、入札を中止できると考えた。
<4>施工箇所や工事規模に関し、事務所は発注者として、指名後であっても工事を分割するなどの変更を行う裁量があると考えた。
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4 今回の発生原因(問題点)について
(1)入札制度の認識誤り ア 指名業者選定基準において、「地域精通度」(施工実績)は留意事項であるが、要素の1つに過ぎないものを過度に重視し、発注工事の規模を変えてまで優先すべきものと判断してしまったこと。
イ 入札中止は、関連工事の入札不調や談合情報等、正当な理由がなければ、中止できるものではないが、「理由が説明できれば中止できる」という甘い認識があったこと。
ウ 入札制度は、裁量があるからこそ、各段階の事務を適正に連続していかなければならないにも関わらず、一度決定した工事を遡って変更できるとの認識誤りがあったこと。
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(2)入札の中止理由を検証する仕組みがなかったこと。
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5 今後の対応
(1)公正入札調査委員会での調査について
県の職員調査の範囲では、所長・次長ともに、事業者Xを落札させるためではなく、指名選定をやり直すという認識で入札を中止したものであるため、官製談合防止法第8条※にある「入札の公正を阻害する行為」とまでは言えないと判断しています。
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ただし、入札制度への信頼を揺るがしかねない行為であることに鑑み、公正入札調査委員会の調査事案とし、談合情報対応マニュアルを準用した対応を行います。
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(2)中止している工事について
危険箇所の防除工事であるため、早急に工事発注が必要であることから、公正性を確保するため県土整備部において確認のうえ、入札を執行します。
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