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   2018.06.18.
   ㈱フジタに対する排除措置命令等について:公取委!
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 公正取引委員会は,株式会社フジタに対し,本日,後記第1のとおり,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令を行った。
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 本件は,フジタが,独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項〔競争者に対する取引妨害〕)の規定に違反する行為を行っていたものである。
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 また,建設業者10社(注1)に対し,本日,後記第2のとおり,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定の違反につながるおそれがあるものとして注意を行った。
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 さらに,農林水産省に対し,本日,後記第3のとおり,申入れを行った。
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(注1)「建設業者10社」とは,農林水産省が東北農政局において一般競争入札の方法により発注する土木一式工事に係る競争参加資格を有する建設業者10社をいう。
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第1 フジタに対する排除措置命令について
1 違反行為者
法人番号 8011001039242
名称    株式会社フジタ
所在地  東京都新宿区西新宿四丁目32番22号
代表者  代表取締役 奥村 洋治
事業の概要  建設工事の請負等
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2 本件対象工事(注2)の発注方法等
(1) 農林水産省は,東北農政局において,本件対象工事について,WTO案件(注3)として,施工体制確認型総合評価落札方式(注4)の標準A-Ⅱ型(注5)による一般競争入札の方法により発注していた。
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 このため,農林水産省は,東北農政局において,本件対象工事を発注するに当たり,入札参加申請者に対して,入札説明書において技術提案の課題を示し,技術提案を記載した技術提案書の提出を求めていた。
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(注2) 「本件対象工事」とは,本件違反行為の対象となった農林水産省が東北農政局において発注した5件の土木一式工事をいう(詳細は別添排除措置命令書別紙1参照)。
(注3) 「WTO案件」とは,「政府調達に関する協定」及び「政府調達に関する協定を改正する議定書」の適用を受けて調達手続を実施するものをいい,平成26年度又は平成27年度に農林水産省が東北農政局において発注する土木一式工事にあっては,当該物件の入札公告前の決裁時の予定価格相当額(消費税相当額込み。)が6億円以上であるものをいう。
(注4) 「施工体制確認型総合評価落札方式」とは,入札価格と入札価格以外の要素を総合的に評価して落札者を決定する方式のうち,発注者が品質確保のための体制その他施工体制の確保状況を確認し,施工内容を確実に実施できるかどうかについて審査する方式をいう。
(注5) 「標準A-Ⅱ型」とは,農林水産省が東北農政局において実施する施工体制確認型総合評価落札方式のうち,品質向上に関する技術提案書の提出を求め,入札価格と技術提案を総合的に評価するもので,標準点(後記〔注6〕参照),施工体制評価点(後記〔注7〕参照)及び加算点(後記〔注8〕参照)を合計した数値を入札価格により除して算出した評価値が最も高い者を落札者と決定する方式をいう。
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(2) 農林水産省は,東北農政局において,本件対象工事について,入札参加者の標準点(注6),施工体制評価点(注7),加算点(注8)及び入札価格により落札者を決定することとしていたところ,いずれの工事も標準点及び施工体制評価点については入札参加者の間で点数に差が生じなかったため,入札参加者の加算点及び入札価格によって落札者を決定していた。
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 農林水産省は,東北農政局において,本件対象工事について,評価者3名が技術提案を評価した後,工事技術評価委員会(注9)において,当該評価者3名が評価した内容を検討した上で評価内容及び技術評価点を決定し,さらに,技術審査会(注10)において工事技術評価委員会での評価内容及び技術評価点を審議し,最終的な技術評価点を決定していた。その際,技術審査会は,本件対象工事について,工事技術評価委員会が決定した技術評価点をそのまま追認していた。
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(注6) 「標準点」とは,入札説明書において定める競争参加資格条件を満たしている者に付与される点数をいう。
(注7) 「施工体制評価点」とは,技術提案書の内容に応じ,品質確保の実効性,施工体制確保の確実性の評価に基づき付与される点数をいう。
(注8) 「加算点」とは,入札参加申請者の技術評価点(技術提案の内容に応じ,評価者が付与した点数の合計点)に基づき算出される点数をいう。
(注9) 「工事技術評価委員会」とは,東北農政局が設置した総合評価落札方式による工事の技術提案の評価を行う機関をいう 。
(注10) 「技術審査会」とは,東北農政局が設置した,工事技術評価委員会における総合評価落札方式による工事の技術提案の評価結果の報告を受けて審査する機関をいう。
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3 WTO案件として発注する土木一式工事の件数の増加等平成26年11月に,土地改良工事を行う建設業者を会員とする一般社団法人土地改良建設協会と東北農政局との意見交換会が開催され,フジタの東北支店(以下「フジタ東北支店」という。)を含む建設業者が出席した。当該意見交換会において,東北農政局は,出席者から,土木一式工事を大型化して発注するよう要請を受けた。
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 農林水産省は,東北農政局において,平成27年度から,WTO案件として発注する土木一式工事の件数を,平成26年度以前よりも増加させた。
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 フジタは,フジタ東北支店において,本件対象工事について,1件の工事を除き,その受注を目指すこととしていた。
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4 違反行為等の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
(1) フジタは,平成24年4月1日以降,農林水産省が東北農政局において施工体制確認型総合評価落札方式による一般競争入札の方法により発注する土木一式工事について,東北農政局を退職した後にフジタ東北支店に再就職した従業員(以下「フジタ東北支店に再就職した東北農政局元職員」という。)から,評価者であり,かつ,工事技術評価委員会に出席する立場にあった東北農政局土地改良技術事務所の職員(以下「東北農政局の評価担当者」という。)に対して,技術提案書の提出期限前に,技術提案の内容について添削又は技術提案についての助言(以下「添削等」という。)を依頼し,添削等を受けることがあった。
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(2) フジタは,本件対象工事について
 ア フジタ東北支店に再就職した東北農政局元職員から,東北農政局の評価担当者に対して,技術提案書の提出期限前に,技術提案書の添削等を依頼し,フジタ東北支店において当該添削等を踏まえて技術提案書を作成して東北農政局に提出し
 イ フジタ東北支店に再就職した東北農政局元職員から,東北農政局の評価担当者に対して,入札書の提出期限前に,入札参加申請者の技術評価点及び順位を問い合わせ,これらに関する情報について教示を受けフジタ東北支店において入札していた。
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(3) フジタ東北支店は,前記(2)の行為により本件対象工事の入札に係る取引を妨げ,本件対象工事の技術評価点において全て1位となり,本件対象工事のうち2件(注11)の工事を落札し受注した。
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(注11) 5件の工事のうち4件は,2件ごとに一括審査方式(技術提案等を共通化できる複数の工事を一括して公告し,技術提案等を一括して審査を実施する方式。また,入札参加申請者が,当該複数の工事に入札参加し,先に開札された工事の落札者となった場合,後に開札された工事の入札が無効として取り扱われるもの)が適用されたことから,一つの建設業者が落札・受注できる工事は最大で3件となる。
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(4) フジタは,農林水産省が東北農政局において発注した本件対象工事に係る取引において,自己と競争関係にある入札参加者である建設業者とその取引の相手方である農林水産省との取引を不当に妨害していた。
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5 排除措置命令の概要
(1) フジタは,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
 ア 前記4(2)の行為を既に行っていないことを確認すること。
 イ 今後,農林水産省が東北農政局において発注する土木一式工事について,前記4(2)の行為と同様の行為を行わないこと。
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(2) フジタは,前記(1)に基づいて採った措置を,東北農政局に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
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(3) フジタは,今後,農林水産省が東北農政局において発注する土木一式工事について,前記4(2)の行為と同様の行為を行ってはならない。
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(4) フジタは,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
 ア 官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定及び自社従業員に対する周知徹底
 イ 官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての,農林水産省が東北農政局において発注する土木一式工事の入札に関与する者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
 ウ 独占禁止法違反行為に関与した従業員に対する処分に関する規程の改定
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第2 建設業者10社に対する注意について
1 行為の概要
 本件審査の過程において,平成28年度まで,農林水産省が東北農政局において一般競争入札の方法により発注した土木一式工事について,建設業者10社に在籍する東北農政局の元職員が,入札前に,相互に入札参加の意向を確認し合っていた行為が認められた。
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2 注意の概要
 公正取引委員会は,前記1の行為は独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定の違反につながるおそれがあるものとして,建設業者10社に対し,注意を行った。
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第3 農林水産省に対する申入れについて
1 東北農政局の職員の行為について
(1) 行為の概要
 本件審査の過程において,少なくとも平成24年度から平成28年度までの間に,農林水産省が東北農政局において一般競争入札の方法により発注した土木一式工事について,東北農政局の職員が,同工事に係る競争参加資格を有する建設業者に在籍する農林水産省の元職員に対して
 ① 入札公告日等(未公表情報)の教示
 ② 技術提案の課題(未公表情報)の教示
 ③ 技術提案書の添削等(技術提案書の提出期限前)
 ④ 技術評価点及び順位(未公表情報)の教示
 ⑤ 積算金額(非公表情報)の教示
 ⑥ 他の入札参加者の施工済み又は施工中の工事に係る技術提案書(非公表情報)の提供を行っていた事実が認められた。
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(2) 申入れの概要
 前記(1)の行為は,独占禁止法違反行為を誘発又は助長するおそれのある行為であるとともに,競争入札の制度趣旨を没却する行為であることから,公正取引委員会は,農林水産省に対し,同省の発注担当職員(注12)に対して,同様の行為が再び行われることのないよう適切な措置を講ずることを申し入れた。
(注12) 「発注担当職員」とは,入札契約段階に限らず,設計から検査,確認,評価の段階までの発注事務を担当する職員をいう。
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2 建設業者10社に在籍する東北農政局の元職員の行為について
(1) 行為の概要
 本件審査の過程において,建設業者10社に在籍する東北農政局の元職員が,前記第2の1の行為を行っていた事実が認められた。
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(2) 申入れの概要
 前記第2の1の行為は,独占禁止法の規定の違反につながるおそれがある行為であることから,公正取引委員会は,農林水産省に対し,同省の職員が退職する場合には,当該職員に対して,退職前に,必要に応じて,同様の行為が再び行われることのないよう独占禁止法の遵守についての研修を実施することを申し入れた。
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