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   2018.05.04.
   露・2017年の軍事費:前年比20%減!
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経済制裁により1998年以来のマイナスに!
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NATOの軍事費・世界全体の52%を占める!
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 スウェーデンを本拠とする研究機関の「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」が5月2日に発表した調査報告書によれば、2017年のロシアの軍事費は、前年比20%減となり、1998年以来初のマイナスとなったことが判明した。
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 2017年のロシアの軍事費の総額は、西欧諸国との緊張が高まっている中で、663億ドル(約7兆2,700億円)と前年から急減し、サウジアラビアに抜かれて世界第4位となった。西欧諸国からの相次ぐ経済制裁の影響が大きいという。ロシアが軍事費を削減せざるを得なかったのは、大規模な経済危機を経験した1998年以来であり、約20年ぶりのことだ。
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 SIPRIのシーモン・ウェゼマン上席研究員は、「ロシアでは、軍備の近代化は優先順位であることに変わりはないが、2014年以来同国が経験してきた経済問題により、軍事予算が制限されている。」と、ウクライナのクリミア半島併合を巡り、ロシアに対して西欧諸国が科している制裁を引き合いに出して説明した。
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 ロシアのNATO(北大西洋条約機構)諸国との関係は、冷戦以来最悪と言えるほど冷え込んでいるが、シリアでの対立や、最近の英国での元スパイ毒殺未遂事件などにより、一層悪化している。英国と西側同盟諸国は、ロシアの元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ氏とその娘が、3月4日にイングランドで神経剤により襲撃された事件に関し、ロシアを厳しく非難している。一方、ロシアは一切の関与を否定している。
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 ウェゼマン氏によれば、ロシアはこれまでインフラや教育予算は削減しても、軍事費には殆ど手を付けることはなかったが、もはや高額の軍事予算の維持や増額は不可能となっており、2017年には痛みを伴う措置の拡大以外には、選択肢はなかったという。
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 SIPRIによれば、2017年の世界の軍事費は冷戦以来最高を記録し、前年比1%増の1兆7,390億ドル(約190兆円)に達した。NATO 29加盟国の軍事費は9,000億ドル(98兆6,600億円)で、世界全体の52%を占める。ロシアからの脅威の高まりなどにより、中欧諸国で12%、西欧諸国で1.7%、それぞれ前年から増加した。
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 米国の軍事費は世界最高額を維持しており、6,100億ドル(約66兆8,700億円)だった。世界全体の35%に相当し、2位以下の7カ国、中国、サウジアラビア、ロシア、インド、フランス、英国、日本を合わせた額より多く、今年はさらに大幅に増えることになる。
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