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   2018.02.10.
   ハリス米太平洋軍司令官:駐豪大使に抜てきなるか!
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対中強硬派の人物が1線から消えるのか!
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中国寄りの海軍作戦部長リチャードソン大将!
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 米トランプ政権は2月9日、在日米軍などを傘下に置く米太平洋軍のハリー・ハリス司令官(61)を次期駐オーストラリア大使に指名すると発表した。
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 アメリカ太平洋軍司令官は、太平洋からインド洋にかけての海域とその沿岸諸国を担当地域とする太平洋艦隊司令官、太平洋空軍司令官、太平洋陸軍司令官そして太平洋海兵隊司令官などを直接指揮し、広大なアジア太平洋地域におけるアメリカ軍全体の頂点に立っている。現在の太平洋軍司令官は、2015年5月に太平洋艦隊司令官から昇任したハリー・ハリス海軍大将である。
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 上院の承認を経て就任する。軍司令官から主要国大使への抜てきは異例だ。安全保障を中心に、日豪印などとの連携強化を重視する姿勢を示す人事といえそうだ。
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 ハリス氏は神奈川県横須賀市生まれで、母親は日本人。米海軍太平洋艦隊司令官を経て、2015年に太平洋軍司令官に就任した。
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 北朝鮮への圧力強化路線を支えたほか、対中強硬派としても知られる。南シナ海で中国の強引な海洋進出をけん制するため、中国が造成した人工島周辺に米艦艇を派遣する「航行の自由作戦」の重要性を唱えてきた。豪州は北部ダーウィンに米海兵隊が巡回駐留するなど、米国の戦略拠点の一つに位置付けられる。
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 対中強硬派の軍人が居なくなり、中国としては一安心というところである。それはなぜか、対中強硬派の米軍関係者たちは、海兵隊大将であったマティス国防長官の下、ハリス太平洋軍司令官を統合参謀本部議長(米軍人全体の最高位)に昇格させ、スウィフト太平洋艦隊司令官を太平洋軍司令官に昇格させれば、その態勢だけで中国人民解放軍に対する大きな抑止効果が生まれるに違いない、と“勝手”な人事案を期待していた。
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 ところが、海軍作戦部長リチャードソン大将からスウィフト司令官に対して、「次期太平洋軍司令官に貴官を推薦することはない」という申し渡しが直接なされたのだ。実質的な退任勧告とみなすことができる通告を受けたスウィフト司令官は、自他共に疑っていなかった太平洋軍司令官へのステップが突然絶たれたため、太平洋艦隊司令官の職責を全うし次第、退役する旨を申し出た。
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 これまでFONOPをはじめとして中国の南シナ海侵出に“最後の牽制”を加えてきたスウィフト司令官が、太平洋艦隊司令官(海軍だけの司令官)から太平洋軍司令官(海軍・海兵隊・空軍・陸軍・特殊作戦群など全ての司令官)へと“グレードアップ”してしまうことは、中国の南シナ海や東シナ海への侵出政策にとってこの上もなく好ましからざる状況となるわけである。実際に中国は、ハリス太平洋軍司令官を罷免するようにワシントンDC筋に圧力をかけた形跡もあるため、スウィフト司令官の昇進の妨害もしかねないと対中強硬派の人々は危惧していた矢先であった。
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 このような状況下、「このままスウィフト司令官が太平洋軍司令官に就任せずに退役してしまった場合、得をするのは中国だけだ」といきり立っている人々も少なくない。そのような人々の中からは「現状の軍事情勢を鑑みると、スウィフト大将が太平洋軍司令官に昇格しない場合、中国の東アジア制覇に拍車がかかってしまう。この際、マティス長官は誤った決断を下したリチャードソン海軍作戦部長を解任してでもスウィフト司令官の人事を正常な姿に戻すべきである」といった声まで上がっている状態である。
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 中国の魔の手が、トランプ政権の中枢にも伸びていると見るのが、正しいのではないか。安倍首相が、一人でトランプの片腕を気取っているが、外交とはそんな単純なものでは割り切れない。日本政府も、しなやかにインドや欧州と二重、三重の裏組をしなくては、米国にも肩透かしを食う事になる。
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