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   2018.02.05.
   サウジ・腐敗損失11兆円:摘発で11兆6千億円を回収!
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拘束中は56人!
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公務員は1日1時間しか働かない・閣僚の言葉!
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 サウジアラビア政府が昨年11月に踏み切った王族や実業家、官僚らを対象にした大規模な汚職摘発で、同国のサウド・モジェブ司法長官は2月1日までに、逮捕者らから既に取り戻した現金などは4000億リヤル(約11兆6000億円)以上に達したと発表した。
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 大半の容疑者は資産の引き渡しに同意した後、釈放されている。司法長官の声明によると、これら資産は不動産、事業権益、有価証券や現金などが含まれる。召喚の対象となったのは381人。今なお拘束中なのは56人。
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 汚職捜査は11月4日に始まり、現在は縮小されている。容疑者の多くはリヤドの高級ホテル「リッツカールトン」に拘束され、取り調べなどを受けていた。釈放は汚職容疑の証拠不十分、容疑を認め政府側との和解成立などが理由になっている。
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 世界的に有名な大富豪ルワリード・ビン・タラル氏も容疑者となっていたが、先月27日に釈放されていた。釈放の条件は明らかになっていないが、自らへの「立件はなかった」と述べていた。
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 原油安による国家財政や経済への影響が懸念されているサウジアラビアで、閣僚が「サウジの公務員は1日1時間しか働かない」と述べて話題となっている。
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ハリド・アラジ人事相は、放送された討論形式のテレビ番組に出演し、同国の公務員の多くについて「(労働時間は)1時間を超えない。研究に基づいたデータだ」と述べた。
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番組では、原油安に耐えうるようにサウジ経済を改革するにはどうしたらいいかを ーマに討論が行われていた。
コンサルタント会社マッキンゼーによれば、サウジ国民の被雇用者のほぼ70%(3
00万人以上)は公共部門で働いている。雇用が安定しており給料も高いことから、
公務員は人気の職業だ。
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 マッキンゼーの推計では、公共部門の給与は2004~13年の間に平均74%も
上昇した。13年のデータでは、公務員の平均月給は2400ドル(約25万円)だ
った。
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 マッキンゼーは昨年出したリポートで「公共部門は雇用者数の伸びを抑えなくてはならなくなるだろう」と指摘した。アラジ人事相は公共部門と民間の間に不均衡があることを認めるとともに、公共部門に求職者が殺到している点を指摘した。
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 「人事省では応募者数が100万人以上に上る。このうち20万人はすでに民間で働いていて、賃金カットに備えて(公務員に転職しようとして)いるのだ」
経済政策に関する討論がテレビで放映されること自体、この国では珍しいことだ。
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 2017年11月27日、サウジアラビアの王子や政府高官が汚職にかかわった疑いで逮捕された事件で、同国司法長官は9日、腐敗による損失額は1000億ドル(約11兆円)に上るとする推計を明らかにした。
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 司法長官は「3年がかりの捜査の結果、数十年に及ぶ組織的な汚職や横領を通じて少なくとも推計1000億ドルが不正に使われていたことが分かった」と述べ、「この不正行為を裏付ける極めて有力な証拠」があるとした。
サウジ中央銀行は、捜査対象者の個人口座を凍結。アラブ首長国連邦の当局は銀行に対し、サウジの王族や政府高官ら19人の保有資産に関する情報を提供するよう求めたと報じられている。
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 首都リヤドにある高級ホテル、リッツカールトンは王族のための「留置所」として使われている様子で、一般の利用客は締め出され、2018年2月1日まで「満室」状態となっている。サウジ当局者は今回の逮捕について、ムハンマド・サルマン皇太子が目指す経済刷新と原油依存からの脱却を支援する取り組みの一環と位置付ける。
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格付け機関のフィッチは9日の報告書で、サルマン皇太子の権力強化は短期的には改革推進の原動力になるはずだとしながらも、政治的反動のリスクも高まると指摘した。
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 サウジ政府は2018年1月28日までに、昨年11月に実施した大規模な汚職摘発で回収した現金などを緊縮政策のしわ寄せを受けているサウジ国民に分配する方針を明らかにした。
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 ムハンマド・アル・ジャドアン財務相はスイス・ダボスで開かれた世界経済ォーラムの年次総会(ダボス会議)で、取り戻した現金の一部は国家公務員への分配金の財源になると説明。サウジ国民の7割が国家公務員とされる。
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 サウジ政府は今月、全ての国家公務員に対する年1回の特別報奨金を発表。また、政府職員への月額1000リヤル(約2万9000円)の手当金の1年間支給、学生奨学金の10%増加、兵士への報奨金や初めての自宅購入者への優遇税制なども打ち出していた。これらの措置の財源は約500億リヤル規模となっている。
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 王子らの王室関係者、政府幹部や実業家らによる汚職行為で喪失した資金は少なくとも1000億米ドル(約10兆9000億円)相当。一部の現金などは容疑者との合意を受け政府に返還されている。ジャドアン財務相は、容疑者の大半の資産は現金では有り得ないと指摘。不動産などもあり清算するのに時間を要すると述べた。
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 原油価格の低迷でサウジの国家予算は赤字を強いられ、大半の商品への5%の売上税課税やガソリン価格の2倍の値上げなどの措置を講じている。一方で、脱原油の経済構造への変換を目指す政策を進めている。昨年の大がかりな汚職摘発はこの政策の一環ともなっている。
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